表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/61

第32話 美星 恋をすること。

 美星


 恋をすること。


 広い海が見える。

 青色の海。

 朝の時間。晴れ渡っている空。

 少し歩くと道路の先に果てしない海が見えた。

 その風景は本当に綺麗だった。

 ずっと忘れていたなにか。

 感情。思い出。やりたかったこと。

 そんないろんなことをたくさん、たくさん思い出した。

「きてよかった」

 思わずそんな言葉が口から出た。

 こんな素敵な場所にあなたは住んでいるんだ。羨ましいな。と思うのと同時にとてもあなたらしいなと思った。


「こんにちは」

 声をかけると古い家のから「はい。どうぞ」と明るい声で返事が聞こえた。

「久しぶり。元気だった?」

「元気よ。そっちはどう? 元気でやってる?」

 里はにっこりと笑って言う。

「もちろん。元気よ。元気。私はいつだって元気いっぱいだったでしょ?」

 里に負けないようににっこりと笑って美星は言う。

「さあ。あがって、あがって。長旅で疲れたでしょ? まずは家の中でゆっくりして行って」

「どうもありがと。お邪魔します」家の中に足を踏み入れながら美星は言った。

 なんの気兼ねもいらない関係。本当に中学生時代に戻ったみたいだと思った。


「なにしてるん? 渡辺」

 階段の上からそんな里の言葉が聞こえた。

 上を見るとそこには里がいた。

「なんでもない」

「泣いてるんやけ、なんでもないことないやろ?」

「なんでもないって言ってるでしょ!」

 思わず大きな声で美星は言う。

 美星はその場を去ろうとする。

「外。雨降ってるで」

「そんなの、関係ないよ」

 美星はその場から逃げるように駆け出していく。

 でもその腕を里はしっかりと捕まえた。

「待てって。雨降ってるって」

 里の言葉が鬱陶しい。

 むかつく。

「離してよ」

 冷静な声で美星は言う。

「離さへんよ」と里は言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ