第20話
ありのままの自分の心を歌う。
まっすぐに。
正直に。
全力で。
それだけでいいんだ。
めめは自分の音楽にそんな気持ちを込めて歌った。
思いは言葉になり、言葉はやがて音楽になった。
るう。
あなたに会いたい。
初めてるうと会った思い出の場所で、めめは歌う。
全力で、思いっきり歌を歌う。
すると歌を聞いてくれている人たちの中にずっと探していた顔を見つける。
それはるうだった。
るう。
目と目が合った。
瞬間、めめは涙を流した。
それはるうもおんなじだった。
めめの歌が止まった。
めめの歌を聞いていてくれている人たちからざわめきが起こった。
すると少しして「頑張って」と声が聞こえた。
女の人の声。
めめにそう言ってくれたのはるうではなかった。
るうは目にいっぱいの涙を貯めてめめをじっと見つめていた。
誰だろう?
ありがとうって言いたくて声をかけてくれた女の人を探したけど見たからなった。
すぐにたくさんの人が同じように「頑張って」とか「頑張れ」とか言ってくれたからだった。
「ありがとうございます」
涙声でめめは言った。
それからめめは歌を歌い始めた。
そして歌が終わると「本当は今の曲で終わりにしようと思っていたんですけど最後にもう一曲だけ歌を歌ってもいいですか?」とめめは言った。
するとみんながたくさんの拍手をしてくれた。
「ありがとう。では歌います。東京にきて初めて作った曲です。曲名は『君の音楽が好き。』です」




