第一章 第四十九話 交易都市【堺】での混乱⑩
〈【焔チーム】チームリーダー【火蓮】視点〉
(本当に【雷流】は凄いわね!)
そんな心の声が、思わず口から吐いて出そうになるほど、私は感心してしまっていたの。
先頭を切って突入する姿は、それだけの実力が有るのは当然だけど、何よりもその精神の強靭さが尋常で無さ過ぎるわ!
確かに幾つかの対策を施して突入したとは言え、相手が何らかの此方が想定していない方策を持っていないとは確信できない様ね。。
実際に屋上に有る大展望台には、全く想像して居なかった高機能な石像という、伏兵が用意されていたのだから・・・。
だが、【雷流】はその経験を踏まえて恐らく彼自身がある意味では囮になり、相手の我々への対抗策を明らかにさせて後続の危険を予め取り除き、全ての注目を自分一人で引き受けるつもりなのだろう。
そしてその事を【雷流】は寧ろ喜んでいる可能性が有ると思えるわ。
実際に彼の口から、最近は時間が経つにつれてドンドン身体の動きがスムーズになり、頭脳の記憶の復活は欠片も進んでいないが、身体に染み付いていたらしい身体記憶は、身体を動かせば動かす程、勝手に筋肉や関節が筋力の入れ具合や関節の曲げ具合、更には気力や魔力の循環方法を思い出して行くらしいの。
それも身体の運用を特に敵との対戦をすればする程、身体記憶を思い出しやすくなるので、率先して戦いに自ら突っ込むのは、それを理解しているかららしいわ。
かと言って、余程自身の格闘能力に自信が無ければ、そんな事は出来ないに違いないわね。
そんな事を考えて、戦況を見ながら後方から弓矢での支援を行っていると、【雷流】を先鋒として第二陣を【朝倉宗滴】殿とそのチームが率いた陣形が構築されて、各々が思う存分力を振るいまくっているわ。
此の陣形は、あの【阿倍野ダンジョン】の時から自然自然に出来上がった陣形で、既に皆が此の陣形で戦うのが当たり前の様になっているの。
然も、【雷流】は戦う経験を積めば積む程、周囲の敵兵に対する目の配り方が良くなり、敵の動きを把握する領域が広くなった事で、敵の動き事態を敵の足を引っ張る様に利用する幅が大きくなっているのが傍目にも判るわ。
当初20人居た敵兵も、【雷流】が襲い掛かって来た2人を簡単に蹴散らし、後続の襲撃者に向けて跳躍し、奴等の頭上から強襲すると途端に空中の【雷流】に敵の注意は向けられて、注意の向けられていない私達から弓矢や攻撃魔法での遠距離攻撃、そして槍刀での接近戦を間隙を突く様に挑まれて、奇妙に歪んだナイフらしき刃物しか持っていないらしい敵兵は、忽ち劣勢に陥ったの。
一旦勢いが片方に傾いた、此の様な少人数同士の戦いは、ワンサイドゲームになってしまいがちだわ。
案の定此方は、誰も怪我をする事無く、全ての事件の首謀者を無力化して縄で拘束した上で、玉座に座ったままで居る執政官【摂津晴門】と思われる人物に詰め寄ったの。
「執政官【摂津晴門】! お前の此の場にいる味方は全て取り押さえた!
神妙に縄を打たれるが良い!」
そう言い渡した【朝倉宗滴】殿に対し、どういうつもりなのかずっと玉座に座り続けて妙な笑いの表情を浮かべていた執政官【摂津晴門】と思われる人物は、いきなり立ち上がると両手を天井に向けて広げ、何やら奇妙なイントネーションで呪文の如き言葉を上げ始めたわ!
それが30秒程続いた段階で、此れは会話が成立しないと見た【朝倉宗滴】殿は、自身のチームメイトと【雷流】に目配せし、そのまま奴を拘束する様に指示したのだが、そのタイミングで縄で拘束していた事件の首謀者である外国人共が、いきなり縄で拘束されたまま立ち上がると、全員が地面に向かって自身の頭を叩きつけて、絶命し始めたの!
そのあまりにもあまりの行動に理解が追いつかず、私達がごく僅かな時間の空白を生み出してしまうと、その一瞬に執政官【摂津晴門】と思われる人物の手から伸びだした紐の様な触手が、絶命したばかりの事件の首謀者である外国人共の身体に突き刺さる!
既に理解の範疇外の状況に陥ったので、私達は【朝倉宗滴】殿を中心として寄り集まり、状況の変化にはその都度対処すると云う、臨機応変な対応を出来る陣形に移行したの。
そして、私達が状況を観察していると、紐の様な触手で絶命したばかりの事件の首謀者である外国人共と繋がっている、執政官【摂津晴門】と思われる人物の身体が、奴等の身体の養分を取り込んだのか段々と膨れ上がり始めたわ。
私は既に思考を手放して、そのままの状況を受け入れて見ていると、やがてその膨れ上がった肉体は、全ての手下と思われる肉体の養分を吸い尽くしたのか、カサカサに干からびた皮だけを残して立ち上がったの。
巨大だわ・・・。
その肉体は、此の大きな大広間の空間においても、圧迫感を此方に感じさせる巨大さを示しつつ、どうやら襲い掛かるつもりらしく、此方に迫って来たわ!
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