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1.よくある手違い?

「シャレにならないってー!!!」


 知らない土地の誰も居ない森で、一人天に叫ぶ超絶美少年(三十路)。今日から元気にショタライフを送っていこうと思います。




 と、まずはなんでこんなことになったのか一から説明させていただきたい。




 事の発端は少年を助けたことだった。


 そう、テンプレート。よくある展開だったんだ。




━━━━━━━━━━━━━━━




「あ゛っち゛ぃー……」


 冬が過ぎ、例年よりも暖かい春のおかげで過ごしやすく……なるはずも無く、体温調節機能を徐々に失ってきている肉体から目を逸らしながらネクタイを緩める。


 雲ひとつない快晴。ジリジリと燃えるような暑さに、故郷の涼しさを懐かしく思う。


 歩いていればそこまで暑くないのに、信号待ちで動きを止めた途端に汗が流れてくるあの現象は何なのだろう、と考えながらぼーっと信号が青に変わるのを待っていた。


 目の前を黒猫が通って行った。瞬間、右の視界の端に映るのはそれを追っていく少年。と、こちらに気付いていなさそうなトラック。


 考える間もなく、俺も飛び出して行ってしまった。


「待っ……」


 まてまてまてまて、なんで飛び出た!?


 とりあえずこの子だけは何としても後ろに引っ張らなきゃならん!


 ごめんよ少年、痛いかも知らん。だが死ぬよりはマシだからな! 許せ!


 そんな事を思いながら少年のランドセルに手をかけ、思い切り自分の後ろに引っ張った。


 まずい、反動で身体が硬直している……。


 こうして、享年32歳。運動不足を痛感しながら俺、三上優人の人生は幕を閉じた。




 様に思えた。




 目を覚ますと、知らない天井……所ではなく、知らない空間だった。


「はろ〜少年! 僕の世界へようこそ〜!」


「うおわっ!? は!? え、何!?」


 盛大なクラッカーの音とキラキラの紙吹雪。振り向くとそこには、クラッカーを片手にパーティグッズのサングラスをかけた青年が立っていた。


 信じたくない。信じたくない……が、流れ的にはこの意味不明な存在が神様って事になる。


「え、待って。待って……!? 誰おっさん!? 僕こんなおっさん呼んだ記憶無いんだけど!?」


「お前から呼んでおいて失礼な奴だな!?」


「え〜……萎えたぁ……も〜ほんと激萎え。なぁんでこんな冴えないサラリーマンが僕の空間にやってきてるの? 嫌なんだけど……」


 全身を上から下まで観察し、心底呆れた様にため息をついた。かと思いきや、こちらの事はそっちのけで床をいじりながら、リ〇ッシュ的なものを噴射してきている。失礼。あまりにも失礼。


 というか神様ギャルっぽいな。そんな感じでいいのか? 神様って。


「ショタ……僕のショタ……」


 まじでずっといじけてるな、この神。そんなに嫌なら別のショタを呼び寄せたらいいのに。


「それが出来たらもうやってるよ……」


「心読めるんかいっ!!!」


「けど、人をもう一人呼び寄せる為にはあと数十年は絶対にかかるんだ……。世界の均衡が崩れかねないし、何より力が足りない……」


 相変わらず居ないものとして扱われてるけど、よく無視出来てるな、このショタコン。


「いっそこのおっさん他の神に売り払って別の子を召喚してもらう……? いや、でも誰もこんな冴えないおっさん引き取ろうとする好事家は居ないだろうし……」


 ぶつぶつと物騒な事呟き始めてるな……。


 少年がショタコンの餌食になるのは可哀想だし、他の子をまた別で呼び寄せるってなったら別のまだ小さい男の子が地球上で死ぬって事だろ? 保護者が悲しむだろうし、まだ幼い内に友達が亡くなる、みたいな経験させたくないしな……。


 そんな事なら……



 なれるもんなら俺がショタになってやりたいよ。



「それだ〜!!!」


「え!? 何!?!?」


 頭の上にどでかい電球が見える程に、閃いた様子でこちらを指さしてきた。


「そ〜だよ! 君をショタにすればいいんだ! 僕好みの! そうと決まれば〜……」


 マズイ。しくったか。いや、でも他の子が犠牲になる、よりは……?


「黒髪黒目の王道ショタで〜、ちょっと猫っ毛っぽくて〜、身長は145cm位で〜……はぁ、はぁ……楽しくなって来たぁ〜!!!」


 判断……ミスっ、た、かも……?




 あれから十数分後。


「でっきた〜!!!」


 ずっとブツブツと呪文のように、それでいて楽しそうに空中を弄っていたかと思いきや、いきなり大声を上げて、ギラギラとした目をこちらへ向けてくる。


「お、お手柔らかにお願いします……?」


 意味の分からない返答しか出来ず、己がパニックになってるのを確認した所で、神様はまくし立てて話しかけてきた。


「君には今から僕の世界に転移してもらいます! 君の世界ではテンプレートって言うんだっけ? 剣と魔法の世界で自由に生きてねっていう感じ! 肉体はこちらが用意したものに入ってもらうから安心してね─────」


 と、話が長くなる上に脱線が多くなるため、神様が言っていた内容を以下にまとめる。


・神様が創造した剣と魔法の世界に転移してもらう


・肉体は神様好みのショタ


・努力次第でかなりの成長が見込める


・やってもらう事は特に無し

(ショタが自分の作った世界で楽しんでいるのを見たかったらしい)


・詳細は転移した後に「ステータス」って唱えて確認してね


・あ、神託スキルあげとくね〜


 という事だった。


「いやぁ、長くなっちゃってごめんね〜。んじゃ、僕の世界を楽しんできてね! あ、職業については向こうに着いてからのお・た・の・し・み! 行ってらっしゃ〜い!!!」


「え、ちょ、待っ……」


 そうして、眩い光に包まれていった……


 じゃなくて!!! 最後まで人の話聞かなかったなあいつ!? こっちは何十分も待たされてたんだが!? その間何も無い空間でとち狂った変態が段々と興奮していく様を見させられていたんだけどな!? 自分勝手にも程がある……!!! 絶対転移先でも俺にとって良くないこと起こるだろこれ!? てか職業お楽しみにってなんだ!? あぁ〜! もう!!! 嫌な予感しかしねぇ〜!!!!!


 次に目を開けた時は知らない森に居た。




━━━━━━━━━━━━━━━




 そして冒頭に戻る。


 なんだあのいい加減な神様。人をなんだと思っているんだ。人か、そうか、神よりは下の存在だものな。

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