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私が月になる  作者: 琴音
30/42

30.誕生日の贈り物

カイが無謀にもバースデーケーキを作ると宣言した。

私の誕生日の料理は、すべて任せてくれとも言っていた。

色んなことを引っくるめて、不穏な予測しか思い浮かばなかったが反対はしなかった。

こうと決めたら人の助言なんか聞かないし、嬉々として準備しているのを見たら、誰にも止められない。


当日、市販のスポンジ台に生クリームを塗って、イチゴを載せたデコレーションケーキが完成した。

見栄えも完璧である。

ちょっと想像していたのとはズレていたが手作りには違いない。

そしてメインは海鮮の彩りの豊かなちらし寿司が振舞われた。

「これ、親父の得意料理。誕生日にいつも作ってくれたんだ」

「おれ、イクラより、とびっこが好きなんだ。このつぶつぶがたまんねぇ~」

「エビが茹でたら半分になっちゃって焦った。錦糸卵、失敗しちゃったからいり卵にしちゃった。食べたら同じだからいいよね」

どれも、とても美味しくいただいた。

「すんごく美味しかったから、また作ってね」

褒められて満更でもないような表情で悦に入っていた。

男は単純でわかりやすいのが何よりである。


最近のマイブームは質疑応答である。

就寝前に疑問を解決して明日に持ち越さないようにと、カイが提案した。

私からの質問の方がはるかに多いが、カイはそれなりに誠実に応えてくれる。


「はい、質問があります」

「どうぞ、絶賛受付中です」

「さっき、アレ?って思ったのでお聞きします。この間のは、私がプロポーズしたことになってるのですか」

「そうです、親父も逆プロポーズって言ってました」

「私は宣誓しただけで、カイに言ったんじゃないし、心の声が出ちゃっただけだし」

「同じことです、結果はおんなじです」

「ダメダメ、ここはハッキリしとかないと、ジジババになったら、絶対に揉めるんだから、プロポーズしたのはどっちが先だったとかで」

「こだわり、うぜぇ-]

隣りの部屋に逃げ出したカイに追い打ちをかける。

「女のこだわりスルーすると、あとで後悔するぞ」


しばらくして、戻ってきたカイは小さな青い箱を手にしていた。

この箱には見覚えがある。

私を現実に引き戻し、混乱させた下手人げしゅにんである。


「お誕生日おめでとう、これ、母さんの形見の指輪。ゆりっちにとって重たいかせかもしんないけど、俺の愛の重さだと思って受け取ってくれる」

「はめて欲しい」差し出した薬指に、カイの震える手が指輪をはめた。

「結婚してください。まだ一人前じゃないけど、百合のこと大切にします」

「・・・」

「こっちが正式なやつ」

「・・・うん」

「サイズ大丈夫」

「うん、、、うん、はじめての指輪だから良くわかんない、、、」

頬を伝う涙が、ビックリするほど暖かった。

こんな優しい涙もあるんだね。


ベットに入った後も、私の質問は続く。

「カイは質問ないの?私に興味がないとかじゃないよね」

「だって俺はゆりっちのことは何でも知ってるもの。ルールを守らないでゴミ出ししてるヤツラのまで仕分けしてるし、腰が痛い大家さんに代わって、草むしりしてるし、あとカラスともお話が出来る」

「ゲっ、なんで知ってる、地獄耳かよ」

「うん、聞こえた、誰としゃべってんのか気になって見てたら、飛んでいくカラスに手を振っていた、ちょっとビビった」

「今度、紹介するよ」


きょうも平和でおやすみなさい<レベル98>


つづく

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