表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私が月になる  作者: 琴音
21/42

21. 痴女

「ねぇ、痴女ってどういうの」

その質問、難解です。

「きのう電車であそこ触られて、発車のベルに合わせて発射しそうになった」

まさか笑うと思ってるの。

その話、爽快な朝の食卓に相応しくないです。不快です。

なぜ、抵抗しない、なぜ反応してるんだ。

「触るだけでいいのかなぁ?顔を見て楽しんでるのかな」

「やめなさい」

まるで子供を叱るように声を荒げてしまった。

たぶん嫉妬。痴女に嫉妬する束縛陰険女(ソクバクインケンオンナ)

「いつもの電車、ずらすわ」

そう言ってカイは席を立った。

あなたを虎視眈々と狙ってる女豹はいくらでもいる。

狼と女豹だったら、女豹の勝ちだよね。心配・・・


会社に行ってからも、そのことが頭から離れなかった。

触られて満更でもないのか、その女は美人なのか、、、

一日中、仕事が手につかず失敗ばかりして落ち込んだ。

家に帰ってからもモヤモヤは続いていた。

夕飯を済ませ、珍しく見たいテレビ番組が一致してソファーでM-1を見ていた。


「今度はなに?」

「へっ?」

「四六時中、俺のこと考えてるのはいいんだけど、いま大事なこと言ったから」

「・・・・」

「聞いてなかったでしょ、まっ、いいや、先にそっちの聞くから」

「何もないよ」

「何もなくて、そんな顔しないでしょ、めんどいから早く言って」

「はぁ~、めんどくさいなら、聞かなきゃいいでしょ」

「それがめんどいの、気分下がるから」

「いいよ、もういい、、、」

「今朝の話でしょ。気になってるんでしょ。怒らないで聞いてよ、痴女の話」

続きがあるとは予想もしなかった。

「捕まってた。被害者は俺だけじゃなかった。男の痴漢はすぐ突き出されるのに、女は許されるのかって、ちょっと疑問だったけど。この人、痴女ですなんて言う勇気はなかった」

「だよね」

「あいつ、何なんだろうね、被害者面したあの男、女晒おんなさらして勝ち誇った顔して・・・殴りたい」

君は誰にでも優しい。その優しさに何人の女が絆されて来たんだろう。

でも、今は私だけを見ていて欲しい。

「殴っちゃダメでしょ・・・」

サラサラの髪をかき分け、手を頬に添わせ唇に触れてみる。

エビフライのカスが付いてるよ。しょっぱくてジャリジャリで柔らかい唇。

重ねて感触を確かめる。

唾液が混ざり合い、静かにのどぼとけが上下に動いて、唾をのみ込む音。

君の何もかもを私の身体に刻んで欲しい。

甘美な果肉でも、鋭利なナイフでも、私は喜んで享受する。

すでに発車オーライです <レベル90>

つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ