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私が月になる  作者: 琴音
12/42

12. 幸せの策略

健全な隣人関係の構築宣言から、およそ1カ月が経とうとしている。


最近の隣人は、やたらとプレゼントが多い。

買い過ぎたのでと、じゃが芋をダンボールいっぱい持ってきたのには辟易した。

ひとり暮らしの男子学生がいう、買い過ぎたのレベルではない。

「じゃがいもってカレーに肉じゃがにシチュー、使い道いっぱいあるでしょ」

笑顔でそう言われたら、断りようがない。

無駄にしないように、コロッケ、ポテトサラダとメニューを増やし、

腹を空かした狼さんに、せっせと食べさせた。

うまいうまいを連発して、お礼に人参やほうれん草を置いていく。

あれ?私って、うまく策略に嵌まっているのでは。

遠回しに、次はほうれん草のお浸しが食べたいなのサインでしょうか。

まっ、いいか、あえて策略に嵌まるのも悪い気はしない。

うまいと頬張る君の笑顔に免じて許してあげる。


君はよく食べるし、よく笑う。

君が笑うたびに、部屋の澱んだ空気が霧を晴らすように活性化する。

明るくなった部屋に相応しくカーテンを変えよう。

景品で貰った大きめのマグカップに花を飾ろう。

くたびれたローファーを捨て、ちょこっとヒールの高い靴を買おう。

迷ってたジャケットの色をビタミンカラーのオレンジにした。

ちょっと勇気を出して派手な色に挑戦してみるのも悪くない。

「ぼくもオレンジにしようかなぁ」

「やだよ、一緒に外を歩けなくなるじゃん」

「えっ、全然OKだよ」まだまだ、難題山積ですが取り敢えずはヨシとしますか。


きんぴらが好きだと言ったので、手をガサガサにしながら牛蒡を剥いた。

水でアクを抜いたり、刻むのも結構手間が掛かる。

パックの惣菜で充分満足だったのに、週1の定番メニューになってしまった。

「ヤバイよね、講義中おならが出そうになった」

そんな冗談が言えるようになったのが不思議だ。

君は素直で自分に正直だ。そんな君を見て私も変わっている。

苦手だった整った顔面も、少しづつ克服している。

気が付けば、身構えたり気を使ったりしないで、自然体で接することの出来る存在になっていた。

それは彼の性格によるところが大きい。

隣りで他愛のないことで笑いあっている。

そんな小さな発見が嬉しくて、それを幸せというのなら、この時間が永遠に続くことを祈ろう。

この笑顔をスクショして、心のフォルダにしまっておこう。

<レベル97>

つづく

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