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最近、ドラゴンフルーツ(別名:ピタヤ)には
「白」と「赤」ある事を知りました
おいら?
おいらは「白」が好きです、可愛くて(は?)
「競馬」とは
騎手が馬に乗って走って着順を競い合う「競技」だ
其の着順を予想し金銭を掛ける事で
「競技」としての一面、「賭博」としての一面が楽しめる
然して王室所有の華麗なる
社交場としての一面があるのも「競馬」だ
言わずもがな、競走馬は生き物だ
見た目が違えば性格が違うのも、言わずもがな
因みに毛の色は八種類の分類され真っ白な毛色は「白毛」と呼ばれ
美しく可愛い事もあり白毛の馬の「愛好者」は多い
関係ないが白毛の馬を見ると
何故か白狐は今は短髪の黒髪をウザったく掻き上げる
競走馬が「初登場」するのは早くて二年
生産牧場で種付け、育成
厩舎に入厩して調教師を始め、調教助手
厩務員に「初登場」する其の日迄、面倒を見てもらう
「馬主」は誕生して入厩する前に
競りに掛けられた馬を落札し、資金を出した結果
競走馬に成り得る訓練や食事の管理が施される
「初登場」後、騎乗するのが騎手だ
競馬は「馬7:騎手3」と、言われるくらい馬の力が大きい
出走前、馬の状態を観察出来る下見所を訪れる
何も競馬玄人に雑じり
競走馬の歩様を確認して出走予想に生かす訳ではない
単純明快
彼(馬)等と会話をする為だ
「今日は何奴が一着だ?」
単刀直入に訊けば
彼方此方から嘶きが上がり
彼(馬)等を先導する、厩務員達が吃驚した顔を白狐に向ける
毎度、此の青年が下見所に現れる度
競走馬達は何時にない反応を示す
好い加減、訝しがるも件の青年は「何処吹く風」だ
[俺だな]
[何何、私]
[今日は乗り気じゃない]
[御前、見た?]
[見た見た、花が咲いてた]
[何、其れ]
[え、違うの?]
[勝つのは当然、僕さ]
[何故なら僕の父さんは・・・]
[出たよ]
[親の七光り改め、芦毛の七光り]
競走馬に於いて血統は非情に重要な要素だ
不図、眼の前を物憂げな表情を浮かべて横切る
黒鹿毛が是又、物憂げな口調で語り掛けた
[「御願いします」と、言われたら考える]
[嗚呼、飽く迄、考えるって事ね]
伊達眼鏡越し、翡翠色の眼を細める白狐が顎を刳る
すずめにも指摘されたが思いの外、眼の色を弄るのは難しい
出来る「者」を一人、人伝に聞いたが
哀哉、自分とは格が違う
故に伊達眼鏡は苦肉の策だ
其れは然うと俺の知っている「黒毛」は程程、可愛げがあるのだが
御前の其れは丸で「金狐」の様だ(笑)
等と、旧友を懐かしむ白狐の耳に芦毛の怒声が届く
[僕を侮辱するのか?!]
[僕を侮辱する事は延いては父さんを・・・!]
[はいはい]
適当な返事をしつつ、下見所を一足先に後にする
栗毛が止せば良いのに捨て台詞を吐いた
[精精、偉大な「父さん」の為にも一勝はしてやれよ]
[!!きいいいいいい!!]
十人(馬)十色だ
「馬7:騎手3」とは言うものの
競走馬の能力を最大限に引き出すのは偏に騎手の手腕に掛かっている
らしい、と顔馴染みの「常連」に御高説を賜ったのは記憶に新しい
人馬一体
強い「馬」が存在する様に
強い「騎手」が存在するのも道理だ
何周目か
再び、眼の前を横切る黒鹿毛と目と眼が搗ち合う
抑、競馬予想に「正しい」予想方法等ない
馬相手
「常連」相手、世間話をして日銭を稼げれば上上
事実、此の関わり合いが面白くない、と言えば「嘘」になる
「兄ちゃん、何奴に賭ける?」
何時しか隣に陣取る「常連」に驚きはしないが
気配を感じ取れない愚鈍な自分に多少、焦る
「下」に居過ぎた所為だ
其れでも
『巫女を追いたいのに』
『巫女を追えないのは白狐の所為じゃない』
然う思ってくれた、すずめが俺の帰りを待っている
「分かった」
「御前に御願いするから、頑張ってくれ」
途端、豪快にヘッドバンギングを噛ます黒鹿毛の行動に
「常連」も厩務員も目を丸くして青年を見遣るが矢張り、我関せずの姿勢だ
踵を返す、白狐が
「何事もなく還って来い」
我ながら安っぽい言葉だが
口にした瞬間、下見所内の競走馬が一斉に嘶いた
「!!合点承知の助!!」
結果は芦毛の鼻差勝ち
「!どんなもんだい!」的に鬣を靡かせ、ウイニングランを披露する
其の姿を一瞥し、観覧席を立つ
「兄ちゃん、残念だったなあ」
如何にも笑顔だが
如何にも立ち塞がる態度に白狐が訊ねる
「貴方、黒鹿毛に賭けたのか?」
其の問い掛けに「常連」は「当然だろ?」と、頷きながら聞き返す
「兄ちゃん?」
「兄ちゃんもだろ?」
「俺?、俺は芦毛に賭けたよ」
「?!はあ?!」
素頓狂な声を出す「常連」の気持ちは、斯うだ
白狐の「予想」に便乗した挙句
外れ馬券を買う羽目になったのは当然、自己責任
其れでも謐きの一つも聞いて欲しかったが真逆の「芦毛買い」
仕方なく
言葉を失ったままの「常連」の脇を会釈して通り過ぎる
黒鹿毛には悪いが
「俺」の為に頑張る御前よりも
「父親」の為に頑張る、芦毛の方が強いだろ
なんという言い草
黒鹿毛が聞いたら怒りで卒倒しそうな屁理屈だが
「次回は賭ける」と心中、謝罪する白狐の足元
散らばる外れ馬券に紛れて転がる新聞を見遣れば
小さい記事が眼に飛び込む
『未だ行方不明の学生、男女、失踪から二か月』
彼の日、すずめに頼まれて
ちどりの「身体」を探したが結局、見付けられなかった
ひく先輩とやらも同様だ
すずめには言えないが
其の身体は輪廻の輪を外れて何処ぞの闇の中なのだろう
2022年 天皇賞(秋)は
イクイノックス(黒鹿毛→青鹿毛)が勝ちましたね
おめでとう♪