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アーティファクト談義

読んでくださってありがとうございます!

予定通り本日二話目なんですが、全然話が進んでません。すみません。

 事件の情報共有が終わっていたこともあり、話題は自然にアーティファクトへと流れる。正直、何もわからないからやめてほしい。まあ、さっきからアレクなど置物みたいになってるし、気にすることもないか。俺も置物になっておこう。

 

 シルヴィエとラムがアーティファクト談義に花を咲かせているところ、俺は今日も起きてしまうだろう殺人に思いを巡らせる。

 

 殺害現場や被害者の共通点は見いだせていないし、殺人を未然に防ぐのはほとんど不可能。その現場に偶然居合わせるとかじゃないと無理だ。んー、解決できるのかどうか不安になってくる。

 

 個人的な直感では、血のない死体ってのがカギを握っていると思う。まだこの目で死体を見た訳ではないが、首を傷つけて現場に血が残っていないというのはおかしいよな。まさに吸血鬼のごとき犯行だ。

 

 だが、吸血鬼のごとき犯行なだけで、吸血鬼の犯行というのはありえない。それはシルヴィエにも指摘された。吸血鬼のようなことをできる人間。そんなのいるはずがない、と少なくとも俺はそう考えている。ということは、それを可能にする魔法なりアーティファクトなりが存在していると考えるのが妥当だろうな……

 

 一方、シルヴィエとラムの話は盛り上がっているようだ。ラムは間延びしたアホそうな喋り方をするが、シルヴィエと対等にアーティファクトの話ができるあたり、知識もあるし頭もいいんだろうな。初対面からのギャップがすごい。

 

 「お兄様はどう思われますか?」

 

 シルヴィエから急に話を振られる。何のこっちゃ。話なんて聞いていない。何もわからない。だが、そんなことは恥ずかしくて言えない。こういうときは、いつも曖昧でどうとでも取れるようなことを言っている。

 

 「別に大した問題じゃないんじゃないか?」

 

 今回も適当を抜かしておいた。

 

 「ほほー。その心は何ですかー?」

 

 曖昧にしてぼかしたところを、ラムが突っ込んで聞いてくる。面倒なやつだな。

 

 「俺にとって重要なのは、シルヴィエが幸せでいること、俺が楽に暮らせることの二つだからな」

 

 「お、お兄様ったら……」

 

 シルヴィエは頬を朱に染めている。後半のカッコ悪いところは聞こえていなかったんだろうか。聞こえていて、俺のことを恥ずかしく思ったがゆえの赤面なんだろうか。それだったら嫌だな……

 

 「エルさんも興味がないということは、この四人でペルペトに興味があるのは私だけですかー」

 

 ラムが唇を突き出して不満そうにしている。どうやら、話題はアーティファクトから海底遺跡ペルペトへ移っていたらしい。


 ……あれ、この四人でって言ったよな?アレクも話に混ざってたのか?俺だけ除け者にされてたのかよ。


 それはさておき、ペルペトだったら俺も興味がある。海底遺跡ペルペトは、歴史に興味のないロウマンド人にも比較的知名度のある例外的存在だ。とはいえ、いまさら俺も興味があるとは言えない。ラムと同じような趣味って言うのも嫌だし。

 

 「お前がそんなものに興味あるとは思わなかったな」

 

 そういうわけで興味ない風を装っておく。

 

 「遺跡とか迷宮って、アーティファクトが眠っているのが相場じゃないですかー。ペルペトから新しいアーティファクトとかが見つかれば面白いなーと」

 

 遺跡そのものというよりも、そこに眠っている宝物関係に興味があるらしい。いかにも冒険者らしい考えだ。となると、こいつはアーティファクトコレクターなのだろうか。だから貴重なファルなんとかを個人所有しているのだろうか。

 

 「アーティファクトを集めているのか?」

 

 少し興味があったので、ラムに聞いてみた。

 

 「別にそういうわけではないですよ?」

 

 すげなく否定される。食い気味に言われたのが少し癪に障るが、これがこいつの間なのだ。慣れなければならない。ラムが直すわけがないからな。

 

 「そうか、ならいいけどな。アーティファクトはまだまだ未知なものが多い。危険なものもあるし」

 

 「脅しですかー?軍がアーティファクトを集めてるからって―」

 

 「脅しじゃないさ。たしかに軍はアーティファクトを集めているし、俺は軍人だけど、軍のことなんてどうでもいいからな。そうじゃなくて、ただお前の身を案じてやっただけだ」

 

 「えー、絶対嘘ですよねー?」

 

 「あのアーティファクト持ってるんだから、本当だってわかるだろ?」

 

 「こんな世間話でいちいち使ってたら魔力がなくなっちゃいますよー」

 

 「それもそうだな」

 

 ラムが持っているファルなんとかは、魔力を消費するらしい。じゃあ、嘘がバレることを過度に心配しながら話す心配もないということか。先に言っとけ。ちょっとドキドキしながら話してたんだから。

 

 もしかして、緊張のドキドキと恋のドキドキを勘違いさせて、惚れさせようとしてたのか?危ない危ない、まんまと作戦に嵌められるところだった。だが作戦さえわかってしまえば、お前みたいなやつに惚れることなどない!いや、そもそも惚れねーわ。

 

 変な妄想に耽っていると、シルヴィエからお兄様と声が掛かる。お兄様、いつ聞いても素晴らしい響きだ。

 

 「なんだい?」

 

 「参考までにお聞きしたいのですが、危険なアーティファクトとは例えばどのようなものがあるのでしょうか?」

 

 「ん?シルヴィエなら何でも知っていると思ってたけど」

 

 「申し訳ありません。勉強不足で」

 

 「いやいや、別に責めてるわけじゃないよ。じゃあ、有名どころを教えてあげよう」

 

 図書館に通い詰めていた経験が役に立つ瞬間が、またも訪れるとは思わなかった。よーし、博識なお兄ちゃんを見せちゃうぞ!

 

 「私にも教えてくださーい」

 

 ラムが身を乗り出してくる。鬱陶しいやつめ、兄妹の時間を邪魔するんじゃねえ!

 

 「俺はシルヴィエに話すから、勝手に聞いとけ」

 

 「なんか冷たくないですか!?」

 

 ラムを軽くあしらい、抗議の声も無視しておく。シルヴィエに何かを教えるなどいつぶりだろう。滅多にない機会に、俺は意気揚々と話を始めた。おいそこ、急に饒舌になって気持ち悪いとか言うな。

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