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第97話 ホームレス、無双する

―1年後、ヴォルフスブルク南東・ボルミア公国―


「グルーダ将軍、砲撃来ます!!」

「伏せろーっ!」


 激しい砲撃音が前線にとどろく。

 つい2年前くらいは最弱国家であったヴォルフスブルクは巨大な力を手に入れていた。

 我がボルミア公国は、ローゼンブルク帝国の庇護下にあったおかげで、かの国に強く出ていられたんだ。


 だが、ローゼンブルクはヴォルフスブルクの新兵器の前に敗れ去った。ローザンブルクはヴォルフスブルクと不可侵条約を締結し、ボルミア公国を完全に手放した。このままでは、簡単にヴォルフスブルクに併合されてしまう。


 我が国首脳部は、半狂乱になりながらヴォルフスブルクとの決戦を挑むことにした。

 ローザンブルクからの賠償金で富国強兵が進むヴォルフスブルクの発展に焦りがあったのだ。


 このままでは国力ははるか遠くまで引き離される。

 ならば、まだ勝てる段階で勝負を挑むべきだ。首脳部の決断には一定の合理性があった。


 我が国は、より勝利を確実にするためにシュバルツ公国とも同盟を結びヴォルフスブルクに侵攻した。

 だが、我がボルミア―シュバルツ連合軍は、国境を越えた瞬間に待ち伏せしていたヴォルフスブルク軍の猛攻に苦戦していた。


「なぜだ、なぜ進軍ができないっ!! こちらが数的な有利なんだろう」


「敵の防御力が固すぎます。綿密に計算された守備陣から、魔力と砲弾が飛んできて進めません」


「ダメだ、早期決戦で勝たねば、このまま終わるぞ。敵の全力がこちらに来たら、勝機はない!!」

 それもヴォルフスブルクには切り札の航空魔導士がいる。

 スパイの情報では、やつらは女王直属。首都にいるはずだが、すぐにこちらに向かってくるだろう。魔導士部隊による対空攻撃は研究しているが、実戦でどこまで戦えるか……


 いや、弱気になるな。ボルミア―シュバルツ両国の精鋭魔導士がここに集結している。

 いけるはずだ。


「将軍、21時の方向に強力な魔力反応があります!! この速さ……騎兵の3倍以上の速度で進攻中。間違いありません。ヴォルフスブルク航空魔導士隊です」


「対空戦闘用意。圧倒的な火力で敵を撃ち落とせ!!」


「了解!」


 強力な対空砲火が空に向かって撃ちあがる。魔力は爆発系のものだ。空中で爆発することで広範囲に攻撃が可能。これなら地上からの攻撃でも一定の効果があるはずだった。


 だが……


「敵航空魔導士隊、強力な魔力障壁を発生させました。我が軍の対空砲火による戦果は確認できません」


「なんだと……」


 絶望が全軍に伝わる。そう、この方法が最有力の対処法だったのだから。これが効果を上げることができなかったとなると……


 次は、我が軍の崩壊する可能性しか残されていなかった。


「魔導士隊の護衛を強化し……」

 だが、その指示が全軍に届くことはなかった。こちらの魔導士隊は、空からの攻撃で一瞬で吹き飛ばされていた。


 空への対処法を失った我々には……


「将軍、伏せて下さ……うわああぁぁっぁぁぁああああああ」


 従卒の断末魔と共に私の意識は闇に閉ざされた。


――――

人物紹介


グルーダ将軍(ボルミア公国)

知略:54

戦闘:70

魔力:61

政治:50

スキル:統率


ボルミア公国の猛将。ゲームではパッとしない数字だが、ボルミア公国内では最も戦闘向きの能力値。

ローザンブルク帝国の同盟があるため、ヴォルフスブルクには強気で交渉に臨んでいたが、ローザンブルク撤退後は恐怖心に駆られて、最悪の決断をしてしまう。

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― 新着の感想 ―
[良い点] その力を調和と協調に使えば、こんな事にはならなかったのに・・・ と、後世で言われたり言われなかったり。 まぁ、ヨーロッパモデルなら滅ぼし滅ぼされ。 ですからね。 とりあえず、ゲーム1章の…
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