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第81話 ホームレス、仕事をがんばる

「皆おはよう。今日もよろしくな」

 俺が職場につくと、皆はほとんど集まって開始の準備を始めていた。


「「「おはようございます!」」」


 職場の人たちが堅苦しくならないようにあえて、始業のギリギリに部屋に入るようにしている。社畜時代のライフハックだ。


 上司がいると緊張でストレスがたまりやすいからな。

 過度なストレスは、仕事のパフォーマンスを低下させやすい。緊張感だけではうまくいかないから、メリハリが大事だ。


 女王陛下直属の軍事的な諮問機関ということで、やはり配置されている人たちはエリートが多い。

 他国の言語のスペシャリストさんとか暗号解読の天才とか学者で文献や風土に詳しい人などなど。


 それに、クリスタ少佐のような天才的な輸送計画者がいれば何でもできそうだぜ。


「じゃあ、いつものように言語班は他国の新聞記事に目を通してくれ。地理班はクリスタ副長とともに、王都周辺の物流についての報告書をまとめて脆弱性をあぶりだす作業を継続。総務班は夕方の女王陛下に報告するレポートについて精査してくれ。以上、今日もよろしく頼む」


 皆は「はい」と言ってさっそく作業を開始した。

 俺は室長室に入って、戦略論の資料作りだ。


 前世で学んだ軍事史の知識を思い出せるだけ紙にまとめていく。今はまだ明解に思い出せるが、時間が経てばどうなるかわからないからな。


 ゲーム関連で学んだ戦略について、それがどのように発展していったのかをまとめるだけでも、この世界では革新的な論文になるだろう。


 たとえば、海軍の戦略は100年くらい前は「大艦巨砲主義」と「艦隊保全主義」の理論が中心になっていて、それに対抗するために「潜水艦を使った海上輸送路破壊戦略」や「空母による基地攻撃」が登場した経緯がある。


 第二次世界大戦中に潜水艦によって海上輸送路が壊滅した日本は、戦後にその反省から航空機やヘリコプターを使った強力な海上哨戒網を作り出した。


 また、ソ連ではアメリカの強力な空母に対抗するために、ミサイルを使った飽和攻撃戦術を作り出し、それが中国にも継承された。


 こんな感じで軍事戦略にはストーリーみたいなものがある。

 俺も専門家ではないから、かなりデフォルメされた説明だが、その知識だけでもこちらの世界では大きなアドバンテージだろう。


「しかし、パソコンが欲しくなるな」

 原始的に紙とペンに頼る方法は、手が痛くなる。


 ちなみに、俺がハ―ブルク戦争で使った輸送基地をピンポイントで狙う作戦は冷戦終結後のアメリカ軍の戦略を真似したものだ。


 さて、できたものをランチの時にクリスタにでも見てもらってアドバイスをもらおうかな。

 いつの間にか3時間は仕事してしまった。


 昼食後は、女王陛下との面会準備がある。

 

「まさか、ニートだった俺がここまで社畜みたいな生活に戻るなんて思わなかったぜ」

 休憩のために、クリスタを誘い俺たちは食堂に向かった。

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