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第79話 ホームレス、室長になる

 室長。公務員だとたしか課長補佐クラスの役職だったよな。

 公務員の課長職は民間企業の課長職と比べて権限が大きいと聞いたことがある。

 

 テレビドラマによく出てくる警視庁捜査一課長なんて300人以上部下がいるとか。

 課員が下手な会社の社員よりも多いからな。


 役所の課長補佐が民間企業の課長みたいなはずだ。おそらく、俺も忙しいのだろう。そう思うとちょっと憂鬱だな。デスクワークとかできるかな?


 軍事参議官室長1日目。

 女王陛下の軍事アドバイザーという立場だからか、職場は軍務省ではなく王宮に用意されている。


 軍事参議官室の本来の仕事は、王国の重要な局面において、退役した軍の長老たちを招集し女王陛下の意思決定に必要な情報を分析したうえで上申する軍事参議官会議を招集したりするものだ。


 軍の長老会議のための事務室だな。それだけだと仕事が少ないので、もうひとつ重要な任務を仰せつかっている。各国の大使館に派遣している駐在武官の報告書に目を通して重要な情報がないかを判断しなくてはいけない。


 駐在武官。簡単に言えば軍人外交官だ。外交と軍事は切っても切り離せない関係だから職業外交官だけでは判断できない軍事的な問題が現地で発生する可能性もある。それを処理したり大使にアドバイスしたりする仕事が主だが……


 たいていは裏で軍事的な情報収集やスパイ活動をおこなっているのが暗黙の了解だ。

 日本でもたまに情報流出に外国の大使館職員がかかわっている疑惑があるが、まあそういうことだ。


 つまり、軍事参議官室が各地にいる駐在武官の元締めということになる……

 かなり重要なお仕事だよなァ。


 そして、もうひとつ女王陛下からは特命を帯びている。

 それは、戦略と輸送計画の総合的な見直しだ。俺が発案した浮遊魔力による空中からの強襲。これによって補給基地は無防備であることが判明した。各国は航空魔導士の研究にやっきになっているはずだ。膨大な魔力を消費する航空魔導士の育成は妖精の加護なしでは実現が難しいだろうが、もしかしたら簡易版でも開発に成功する国が出てくるかもしれない。


 それも踏まえて航空魔導士を有効活用する戦略の立案と空からの攻撃があるという前提に立って補給線の維持をどう確保するかが解決すべき課題になっている。


 ウィリーには「難しい仕事でしょうから、室長補佐はあなたの意見を優先する」と言ってもらえたので、もちろんあの男をお願いしてある。


 軍事参議官室の扉を開いた。

 そこには20人くらいのスタッフと俺の補佐役である親友が待っていた。


「お待ちしておりました、クニカズ室長。本日付で室長補佐の任を拝命しましたクリスタ少佐です、以後お見知りおきを!」


 

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