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第74話 女王陛下、圧倒する

 翌日、講和会議が再開した。


「それでは、女王よ。昨日の我が提案を受け入れるかどうか教えてくれるかの?」

 腹黒タヌキは笑っていた。まるで結果はわかっていると言わんばかりの口ぶりだ。


「ええ、決まりました」


「ふむ、では1週間後までに軍を撤退するように要求する」

 勝ち誇った笑顔だ。


「陛下、お言葉ですが……我々はあなたの提案を受諾するとは言っておりませんが?」


「なんだとっ!!」

 余裕をもって話していた老人はいきなり激高した。


「私が決めたのは、皇帝陛下の提案を拒絶することです。勘違いしないでいただきたいですわ」

 この世界の列強国の長に、彼女は宣戦布告したのだ。

 彼女の眼は暗にこう言っている。


「老人たちの時代は終わった」と。


「であれば、ヴォルフスブルク包囲網を形成する国家群と全面戦争をするつもりか!? 少しは話が分かる小娘だと思っていたが、どうやら過信しすぎたようだなっ!!」


「ブラフはそこまでですよ、陛下? 我が忠臣クニカズ中佐から陛下に言いたいことがあるようです。発言をさせていただきますね。クニカズ、どうぞ?」


 女王陛下の眼は「やってしまえ」と笑っている。


「では、失礼ながら言わせていただきますよ、皇帝陛下? まず、あなたが発言しているヴォルフスブルク包囲網は本当に機能しているんですか?」


「な、なにを?」


「本来であれば、戦争が始まった瞬間、ヴォルフスブルク包囲網は連動して我が国に侵攻してこなくてはおかしいのです。ですが、戦端を開いたのは貴国のみだ。反・ヴォルフスブルク連合はむざむざ勝てるタイミングを逃している。おかしいじゃないですか? あなたは敗北してから包囲網を強調した。それもおかしい。どうして自国の軍隊の権威が失墜するのを防がなかったんですか? 同盟が機能しているなら盟主であるローザンブルクの敗北は許されないはずです」


 皇帝は苦虫を嚙み潰したような顔をして黙ってしまった。

 俺は目配せして女王陛下にバトンを渡す。


「よって、本当に追い詰められているのはローザンブルクです。私たちは包囲網が機能不全になっていると判断しております。陛下、2日目の講和会議の議題は、領土分割案と賠償金でいかがでしょうか?」


「くっ、返答は即決ではできない。もうしばらく時間が欲しい」

 一気に皇帝が劣勢になった瞬間だった。やはり、包囲網の件はブラフか。


 そこにウィリーがとどめを刺す。


「陛下、残念ながらあなたは敗者です。我々がそんな猶予を残す必要性がどこにありますか? 答えは簡単です。領土分割を受け入れるか否か。イエスかノーかです」

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