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第58話 ホームレス作戦を作り上げる

 その次の日の夜。俺たちは動き始めた。

 日中は散発的な魔力攻撃はあったけど、突撃などはおこなわれなかった。要塞に突撃するのは、甚大な被害を生むだけだからな。もうしばらくは、戦線はこう着するはずだ。敵も第二波攻撃のための準備をおこなっていると考えられる。


 歴史的に考えれば、要塞に対して単純な突撃戦法をおこなったことは何度もある。

 有名なところで言えば、日露戦争中の「旅順要塞攻防戦」だ。

 要塞と機関銃を組み合わせたロシア軍が守る旅順要塞に対して、乃木希典将軍率いる日本軍は総攻撃を敢行した。


 結果は、敵の堅牢な守備と新兵器である機関銃の威力によって、日本軍はロシア軍の2倍以上の死傷者を出してしまった。


 要塞の防御力を奪わずに突撃するのはとてもリスクがあるんだ。


 だからこそ、敵陣は砲撃を集中させて要塞の防御力を奪う戦略だったんだろう。

 だが、俺の魔力障壁とガトリング砲作戦で、攻撃は要塞に致命傷を与えることはできなかった。敵は第二波攻撃の準備をしている。そのために、現状は各地から砲弾などの物資を集めているものだと思われる。


 要塞の攻略法として、要塞の地下にトンネルを掘って、地下を爆破する方法もあるが……

 あまりにも準備に時間がかかる。よって、その方法を採用する危険性は低いはずだ。


 あとは要塞を包囲して兵糧攻めにする方法もあるが……

 もうすぐ季節は冬だ。寒冷地帯の敵国の状況を考えるとそのようなやり方はリスクが高すぎるだろう。


 これらのことから、俺は敵軍は物量作戦によって砲撃の嵐で要塞を無力化する方法を採用するものだと結論付けた。


 大砲の弾丸は有限だ。国全体の生産ラインをそこに投入するとしても、限界は必ずやってくる。さらに、この世界は産業革命も発生していないんだ。砲弾の量産はそんなに簡単なものではない。


 いくら大国であってもあの量の総攻撃はあと2回か3回が限界だろう。

 そこをしのぐが俺たちの作戦の根幹。


 だが、守ってばかりでは被害は増える一方だ。俺の防御だって限界が来てしまうかもしれない。

 敵地攻撃も必要だ。


 俺たちは事前に集めていた敵国の地理や物流の状況からいくつかの補給物資集結場所を特定した。

 そこを叩けば、敵の継戦能力を奪うことができる。


 だが、敵地の奥深くにある補給ポイントを強襲するのは普通なら不可能だろう。

 だから、普通じゃない手段を使う。


 陸上から国境を超えるなら普通に捕まる。だから、俺たちが使うのは《空》だ。

 ダンボールにできないことはない。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ダンボール爆撃・・・(笑) かな?
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