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第43話 ホームレス、要塞に赴任する

―ハーブルク要塞司令官室―

「アルフレッド閣下。ヤマダです。入ります」

 俺は1か月間の大学生活を終えて、無事に少佐に任官された。ヴォルフスブルク王国では、軍事大学卒業後は少佐へと昇進する。そして、アルフレッドに導かれて、このハーブルク要塞の作戦参謀として赴任したわけだ。


 アルフレッドは、この前のザルツ公国との国境紛争での功績で大佐から昇進し少将になっていた。親衛隊隊長からこのハーブルク要塞の司令官になったんだ。


 ハーブルク要塞とは、ヴォルフスブルク王国とローザンブルク帝国の国境を守るヴォルフスブルク王国最大の要塞だ。ローザンブルクは大陸最強の陸軍を保有しているため、国内の最重要拠点といえるだろう。


 実際、国境付近を要塞化することは有効的だと歴史も証明している。

 例えば、第二次世界大戦時のフランスとドイツだ


 フランスは史上最大の要塞ともいえるマジノ線を築き上げ、ドイツを約8か月国境に足止めしていたし、ドイツ側もジークフリート線と呼ばれる要塞でフランス軍の侵入を許さなかった、


 特にマジノ線は、内部に電気トロッコが走っていたらしい。

 ドイツはこの最強の要塞を攻略するために、80センチ列車砲など超大型の大砲をいくつも製造していたくらいだ。


「ようこそ、来てくれた。クニカズ少佐! 君が来てくれたからには、この要塞は難攻不落になるだろう」


「恐縮です、閣下」


「二人きりの時は閣下はやめてくれ。一緒に酒を飲み、背中を預けた友人だろう?」


「ならば、お言葉に甘えて。ありがとう、アルフレッド。これからよろしく頼む」


「こちらこそだ、クニカズ」

「さて、クニカズ。いきなりきてもらって切り出すのもあれだが、現在のヴォルフスブルクについてどう考えている? 君の考えを教えてほしい」


「難しい質問ですね。ただ、はっきり言えば絶体絶命としか言いようがありません。ザルツ公国の件は無事に解決しましたが、いまだにヴォルフスブルクは周囲に敵を多く作っています。さらに、周辺国の安全保障は複雑怪奇なほど入り組んでいる。独立保障や防衛協定、軍事同盟、君主の血縁関係。たとえ、我が国が直接戦争にかかわらなくても、複雑に入り組んだ外交関係がいつ火種になるかはわかりません。我が国のことだけならまだしも、他国の暴発すら我が国にとっては致命傷になる絶望的な状況かと……」


「うん。私も同じ意見だ。そして、目下最大の問題はね、ローザンブルクの第1軍団の動きが活発化していることだよ。先日から、大規模な軍事演習を繰り返している」


「示威的な行動か。いや、待てよ? ローザンブルクの第一軍団。もしかすると、指揮官は”永久凍土の荒鷲”ですか!?」

「ああ、そうだ。指揮官はニコライ=ローザンブルク中将。怪物だ」


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