第33話 ホームレスvs学者
結局、偽装工作で、ポール大佐は2日間ほど時間を食いつぶした。
俺たちが高台に補給している様子は一切見られなかったことからやっと気がついたようだ。
ただし、大佐軍が高台に突入した時は、すでに誰もいなくて旗しか残っていない状況だったが……
『くそ、やられた。すぐに進軍を再開だ。このような卑怯な工作をする敵など恐れるに足らない。一気に攻め潰す!』
大佐は悔しそうに叫んでいた。よしよし、冷静さを失いつつあるな。こっちの土俵に上がってくれれば最高だ。
「敵軍の侵攻スピードが早まります! 予定のCルートに向かっている模様!」
リーニャ大尉は冷静に状況を分析する。
Cルートまで確定すれば、あとは一直線だ。
アムル平原。
そこで俺たちはぶつかり合うことになる。
俺たちのチームメンバーは頷いて、アムル平原に全戦力と物資を集めた。
すでに、あうんの呼吸みたいなものができ始めている。
いいチームになったぜ。これで俺は作戦指揮に集中できる。
※
そして、両軍はアムル平原に布陣した。
ポール大佐は突撃能力が高い魚鱗の陣形だな。名前の通り、魚のうろこのような陣形で全体を見ると三角形のように布陣し、敵の最前線を食い破ることを目的とした陣形だ。騎兵の攻撃力を生かすつもりだな。
それに対して、俺たちは鶴翼陣形で布陣した。これは鳥が翼を広げた姿に似ていて、包囲をおこないやすい。ただし、各所の防御力がそこまで高くなく、食い破られると連鎖的に戦線が崩壊しやすい。
つまり、この戦いは食い破るかそれを防げるかの勝負だ。
俺たちは、鶴翼陣形の守備を補強するために馬防柵と空堀を作った。これは長篠の戦いを参考にしている。今回の作戦は少しでも時間を作ることができればいいからな。
両軍は布陣して、にらみ合いを続けている。もうすぐ開戦だ。
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人物紹介
アリーナ大尉
知略:56
戦闘:12
魔力:49
政治:72
スキル:建設スピード上昇
リーニャ大尉の士官学校からの友人。貴族階級(男爵家)出身の女性士官。
リーニャ大尉が気が強い分、彼女は気弱で優しい。2人1組でバランスが取れているとも言われている。軋轢を作りやすいリーニャをうまく補佐している。
ゲームではシナリオ2以降に登場する。
前線向きとは言い難い能力値だが、貴族階級出身のため政治能力がそこそこ高く、スキルの建設スピード上昇もあって内政官としてはそこそこ優秀。砦建設や城壁の改修など建設部門で活躍する。俗にいう、本拠地でのお留守番要員。




