第245話 アルフレッドの決断
―アルフレッド視点―
味方の航空支援によって、地上軍を襲っていた敵の航空戦力は排除された。
最初の攻撃で被害を被ったがなんとか戦線を維持できそうだ。さすがだな、クニカズ。
『将軍。航空魔導士隊から連絡です。敵の確定撃墜数30。うち半数が、クニカズ総監によってもたらされた戦果です』
「うむ」
圧倒的な結果だった。おそらく、敵のエース部隊が含まれたいたはずだが……
『しかし、クニカズ総監が、敵の最精鋭部隊であるゴールデンホーク隊と交戦。全敵戦力の排除に成功したものの、総監が被弾。重傷を負った模様です』
「クニカズが被弾だと!? 容態は?」
『魔力の直撃を食らったようで、生きているのが奇跡だと……ゴールデンホーク隊からの攻撃で、被弾後に全戦力を撃ち落としたようです。現在、後方に下がり治療を受けているとのこと。意識を失っているようですが、命に別条はないそうです』
「そうか……クニカズの治療に全力を挙げてくれ」
エース部隊を被弾後に撃破。おそろしい男だ。だが、決戦においてクニカズの援護を望めなくなったことは痛恨だ。そして、あのクニカズが被弾するほど敵の戦略が巧みになっていることもわかる。
クニカズがいない状況で、敵の航空戦力も増援されるだろう決戦に挑むべきかどうか。
悩みどころだ。ここで敗北すれば、すべてを失う。
だが、決戦を遅らせれば、戦力の消耗が激しくなり、決戦に挑めなくなる可能性もでてくる。
「いや、ここはクニカズが開いてくれた突破口を無駄にしてはいけないな。全軍、前進を続ける。クニカズが負傷していても、彼が育てた航空魔導士隊は健在だ。私は彼らを信じる。グレア帝国軍を祖国から排除するために、皆、力を貸してくれっ! クニカズの献身を無駄にするな」
『おーっ!!!』
クニカズの負傷が士気に致命的なダメージを与える心配もあったが無事に乗り切れたな。
ここから祖国の命運をかけた決戦が始まる。




