第231話 立て直し
―アルフレッド視点―
ポール派残党はついに降伏した。戦力的にはほとんど無血開城のようなもので、中央軍主力はクニカズが連れてきた北方軍に吸収された。そして、遅滞戦闘を繰り返して撤退している南方軍と合流できれば、かなりの大軍となるだろう。
その兵力を用いて、いよいよ反攻作戦のはじまりだ。
ポール派は粛清された。俺はクニカズと共に大将に昇格。軍務大臣兼中央軍総司令として、対グレア戦争の地上部隊をすべて指揮権に入れた。
俺の補佐官として、クニカズの側近であるクリスタ・リーニャ両名が中央軍高級参謀となっている。両名は中将へと昇格後に、それぞれ補給と作戦を統括立場になった。
そして、クニカズは……
新設された航空軍総監に就任した。これはヴォルフスブルクが保有する航空戦力のすべてを統括し、指揮ができる立場である。元々、クニカズが作った航空魔導士という部隊の名実ともに頂点に立ったことを意味する。
さらに、皇帝陛下の婚約者という立場だ。あまり褒められたことではないが、政治・軍事共にクニカズの意見は強い意味を持つことになるだろう。
これで反攻作戦の準備は整った。
クニカズとは打ち合わせ済みだ。グレア帝国軍主力とは、我が国の中央部に位置するロダン高原で決戦を挑む。入り組んだ川があるおかげで防衛陣を敷くのに適している場所だからだ。問題は制空権になるだろう。そこはクニカズを信頼して任せる。俺の役割は、敵主力に大ダメージを与えて進軍をとん挫させることにある。
これに失敗してしまえば、首都は陥落だ。
「諸君、これより決戦の地に向かう」
一同は頷いた。祖国を守るという目的を持った軍隊の士気は異様に高まっている。
我々は決戦の地へと向かう。




