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第23話 ホームレス、優等生を地獄に叩き落す

「リーニャ大尉軍の第1師団、逃亡兵発生。物資不足と合わせて30パーセント低下」

「攻撃側の第2師団と第4師団、物資をめぐり同士討ちが発生。両師団の戦力20パーセント低下」

「ゲリラ部隊、輸送隊を襲撃。判定、成功。攻撃側有効補給率25パーセント」


 教官の状況判断は、次々と動いている。しかし、リーニャ大尉はもう何もできなくなっていった。顔面蒼白となり、彼女は震えている。


 補給が届かずに、敵国の中心で孤立する。兵の統制は崩壊し、物資をめぐる同士討ちや逃亡兵が増え続けている。略奪すらおこなわれている。


「逃亡兵と略奪をおこなった兵士に厳罰を!! その場で軍事裁判ののち処刑しても構いません」

 崩壊しかける軍隊をおしとどめるために、恐怖による支配を選んだか。

 だが、それは終わりの始まりになる。


「守備兵力をアルテミス砦付近に集結させる。ここから反転攻勢を仕掛ける」

 恐怖によって何とか持ちこたえている軍隊などなにも怖くない。

 物資も不足しているため、抵抗もほとんどできないだろう。


 俺はアルテミス付近に1万5千の兵力を集結させて、リーニャ大尉軍と決戦を挑んだ。

 敵軍は、数こそ多かったが食料もままならない状況で組織だった抵抗は皆無だった。


 敵の大軍は数時間の戦いであっさり崩壊し、散り散りになって退却していった。しかし、撤退先の後方にはゲリラ部隊がいる。


 挟み撃ちだ。

 こうして敵軍は壊滅した。


 侵攻した時、5万人いたはずのリーニャ軍が無事に本国に戻るまでに1万2千人ほどに減っていた。

 7割を超える大損害だ。通常の軍隊なら役割分担の影響もあるので3割を失えば「全滅」扱いされる。軍隊は役割分担で作られているからな。3割も失えば組織は崩壊する。


 だが、今回はその2倍を超える兵士を失った。つまり、国家の安全保障自体が崩壊したことになる。これが現実なら戦史史上に残る歴史的な勝利だ。


「すごいです、クニカズ大尉。こんなにきれいに勝ってしまうなんて!! あなたは間違いなく天才です!!!」

 俺は最強の裏方の相棒を手に入れることができたな。今回の最大の収穫は、目の前で喜んでいるクリスタ大尉だ。


 ※


『すげぇ、士官学校主席のリーニャがなすすべもなく敗れ去ったぞ……』

『というか、えげつなさすぎるだろ。この展開……』

『なんだよ、あれが異世界の戦略かよ。どんだけ、体系化されているんだ。怖すぎる』

『言っちゃったなんだが、俺たちが教わってきた戦略なんて、子供のおもちゃみたいなもんだよな』

『リーニャ大尉が途中でかわいそうになったよ。あんなにうまく立ち回れたら勝てるわけがない』

『それにさ、あのクニカズ大尉は、周囲の才能まで開花させていたよな? 正直に言って、クリスタ大尉って特徴がないのが特徴だったのに……一瞬で輸送系の才能を見い出すなんて……』


―――

人物紹介


リーニャ大尉

知略:81

戦闘:45

魔力:79

政治:83

スキル:威圧・頭脳明晰・参謀


ヴォルフスブルク軍事大学の学生。実家は貴族の公爵家で、代々軍事部門の名門として知られる。

まだまだ、発展途上の能力値。

ゲーム内では、シナリオ1では未登場で、シナリオ2から登場する。

能力値は、かなり高水準。貴族出身ということで天性の政治センスも持つ。

学生時代から秀才と呼び名が高く、現場指揮よりも参謀として大将を補佐することに適性を持つ。最低限の指揮はできるが、頭でっかちになりやすいのが弱点。

女王とは親戚関係にあり、尊敬しつつもライバル心も持っている。ただし、周囲の評価は女王の方が高く本人も自分が彼女に及ばないことを自覚し苦しんでいる。

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