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第19話 ホームレス、優等生と競う

 さて、次の授業は戦略論だな。

 これは机上演習を中心に行われる実戦的な授業だ。


 数人のペアを組んでも机上で演習が行われる。サイコロとチェスの駒でやる原始的なシミュレーションゲームと考えればわかりやすいだろう。


「兵棋演習」や「図上演習」とも言われて、今でも世界中の軍隊で採用されている。ちなみに、現代の机上演習は、PCゲームを使っておこなう国もあるという。そう考えると、あながちシロウトが遊んでいるゲームもバカにならなかったりする。実際、中世から近世ぐらいまではチェスがその役割を務めていたとされる。


 ちなみに、ゲームみたいなものと侮るなかれ。


 有名なところだと、こういう逸話がある。

 第二次世界大戦で、日本海軍による真珠湾奇襲で壊滅状態に陥ったアメリカ海軍を立ち直らせたアメリカ太平洋艦隊司令長官チェスター・ニミッツは、戦後にこう語っている。


「太平洋戦線は、海軍兵学校で学んだ机上演習の再現だった」と。


 つまり、戦争にめちゃくちゃ影響する。なめていると痛い目に合うんだ。


「クニカズ大尉、よければ僕と組まないか?」

 クリスタ大尉が昼食の時にそう言ってくれたから、俺もあぶれることなくチームを作ることができた。


「教官! 私は、クニカズ大尉のチームと戦いたいです」

 リーニャ大尉が大声でそう言った。もう仕掛けてくるのか!? さすがに早すぎるだろ。

 

「うむ、異界の英雄と秀才・リーニャ大尉の戦いか。おもしろそうだな。よろしい。ならば、両者のチームで戦ってもらおう。最初の授業だからな。わかりやすくリーニャ大尉の攻める側が5万の兵力。防衛指揮官のクニカズ大尉は2万の兵を率いる設定にしよう。兵数では有利だが、攻める側よりも地の利はあるうえに、補給的にも有利だからな」


「「わかりました」」


「それでは2時間ほど両チームで設定資料を読み込み作戦を考えるがいい。他のチームは、その設定資料を読み込んで自分ならどのように作戦を立てるか考えてレポートにすること。以上だ」


俺たちは今回の設定資料を渡された。う~ん、難しそうだな。


「クニカズ大尉、お話したいことがあります!!」

 背筋を伸ばして、リーニャ大尉が俺に詰め寄って来た。やけに近いな。


「なんですか?」


「私は、一番にならないといけないのです。家の名誉のためにも、私の矜持(きょうじ)にかけても言わせていただきます。あなたには負けません。今回の演習でそのことを証明してみせます。覚悟しておいてくださいね!!」


 とても威勢のいい女の子だな。俺は苦笑して首を縦に振る。


「負けませんよ!」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 浮浪者。 予定通りに才媛に絡まれる。
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