第18話 ホームレス、優等生に目をつけられる
「さすがですね! クニカズ大尉!! まさか、異世界から来ているのにこちらの歴史についても精通しているなんて」
授業が終わって、クリスタ大尉が俺に話しかけてくれた。
もしかして、アウェーの洗礼でこのまま大学ボッチになると覚悟していたら話しかけてくれたことが最高に嬉しかった。
「いやぁ、まぐれだよ。さっきも言ったように、俺の世界でも似たようなことがあったからさ……それでわかったんだ」
「なるほど! 今日の昼食ですが、よかったらご一緒させてください! 俺、異世界の話聞きたいです」
「ああ、いいよ。俺もこっちに来ていきなり大学で勉強になったから、どうすればいいのか悩んでいたんだ。こちらこそ、まだまだ不慣れだからいろいろと教えて欲しい!」
幸運なことにこうして俺は友達を作ることができた。転校生は目立つうちに友達を作れないとボッチになると決まっているからな。
初日に話せる人ができてよかった。
※
―軍事大学・学食―
俺たちは学食で食事をしながら、とりあえず自己紹介をしていた。
クリスタ大尉は、農家の出身で仕送りしながら軍で働いているらしい。
やはり、無償で勉強できる軍事大学ではそういう人も多いんだな。
「すごいですね、クニカズ大尉は、異世界でも大学をでていらっしゃったんですか! もしかすると、異界の貴族様かなにかなのですか?」
「いや、普通の庶民だよ」
「庶民なのに、大学まで行けるなんて夢のような国ですねぇ。俺も生まれたかった」
そう言いながら、彼は美味しそうにポテトを食べていた。
「ところでさ、クリスタ大尉。教えて欲しい。さっきから、リーニャ大尉が俺をにらんできているんだけど……俺、なんかしちゃった?」
「あ~、彼女はプライドが高いですからね。仕方ありませんよ。さっきの教官からの問題で、自分が解けなかったのに、クニカズ大尉があっさり解いてしまってかなり落ち込んでいるんじゃないのかな? 彼女はずっと士官学校から主席のエリート中のエリートだから……」
「なるほど、そういうことかぁ」
たしかに、それは嫉妬されるよね。怖い。
「でも、気をつけた方がいいですよ。彼女、自分が勝つまで結構執着するタイプですからね……たぶん、相当、対抗心を向けられてますよ、クニカズ大尉は」
そうだろうな。食堂の中なら大丈夫かと思っても向こうはこっちを強くにらんでいる。
「どうやったら許してくれんだ?」
「全力を出して負けてあげればいいんじゃないですか。手加減すると間違いなく怒りますもん。彼女は有力貴族出身の女性士官ですからね」
なんだよ、かなり厄介な人に目をつけられてるじゃん……
―――
登場人物紹介
クリスタ大尉
知略:71
戦闘:40
魔力:39
政治:60
スキル:実務処理・ロジスティクス・合理主義
ヴォルフスブルク軍事大学の学生。実家は農家で、家族を楽にさせたいので軍人を志望した。
まだまだ、発展途上の能力値。
ゲーム内では、シナリオ1では未登場で、シナリオ2から登場する。
能力値は、はっきり言って高くなく中途半端。しかし、スキルに有用なものがそろっており、後方支援要員としてトップクラスの人材になる。特に、輸送部隊の指揮官や計画策定に関しては、序盤最高クラスの人材であり、最強国家ヴォルフスブルクの裏の支配者としておそれられている。