表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/271

第15話 ホームレス、妖精と対談する

「あっ、このパイ美味しい! やっぱり、王宮料理ってすごいな~」

 ダンボールの妖精は機嫌を取り戻していた。よかった。


「ごちそうさまでした~」

 結局、美味しそうに食べるターニャを見ているのが楽しくて食べ終わるまで見てしまっていた。


「それでさ、ターニャ。聞きたいことがたくさんあるんだけど……」


「ええ、パイに免じて3つまでなら聞いていいですよ」


「じゃあ、どうして俺を選んだんだ?」


「あ~ひとめぼれですよ」


「嘘!?」


「冗談です。先輩は魔力特性が高そうだったから、私に気づけたんですよ。たまにいるんですよね。日本とか魔力が必要のない世界なのに、そっちに才能が特化した天才がね。科学世界では絶対に使わないはずなのに、少し加護を与えてあげれば怪物に生まれ変わっちゃう人」


「それが俺なのか……そもそもさ、ターニャ……お前みたいな妖精がどうして日本にいたんだよ?」


「ああ、やっぱり気になっちゃいますよね。ダンボールってどうやって作られるか知っていますか?」

 質問を質問で返された。


「え~っと、たしかリサイクルだよな。ダンボールの原材料は、ほとんどリサイクルされたダンボールって聞いたことがある」


「正解! そうなんですよ、私ってある意味、先輩以上に転生していると考えてもらっていいんですよ。そして、何度も何度も転生を繰り返せば繰り返すほど、人間の執念や気持ちが私たちに集中する。魂っていろいろと伝わるものなんですよ。哲学には《魂の不死》っていう考え方があるじゃないですか。そして、私はその魂の集合体。何度も転生したことによって、私は多くの人間の魂をもらったんです」


「なるほどな」

 正直、難しいからわかったようなわからないような感じだ。でも、不思議と説得力があった。それなら仕方がないみたいな……


「でもさ、現実世界で生まれたダンボールの妖精が、どうして俺をゲーム世界に飛ばせたんだよ? おかしいじゃないか」


「あ~それ聞いちゃいますかぁ。まあたしかにそうですよね。普通に考えたらおかしい。でもね、センパイ、世界ってひとつだけじゃないんですよ。いくつもの並行世界が存在している。一部の小説家やシナリオライター、ゲームクリエイターの人って意識的にその並行世界を覗き見ることができるんですよ。高度に成長した妄想の力は、世界の壁すら超えてしまうんです。そして、マジックオブアイアン5はそのクリエイターによって、異世界の情報を読み取って作られたゲームなんです。だからここは、ゲーム世界であって、遊びじゃない」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 妖精、妖怪怪異の類いであった
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ