第103話 ホームレス隊、作戦を開始する
「クニカズ中佐、敵の防衛線が崩壊をはじめました」
「アルフレッド将軍からの合図はどうだ?」
「いま、狼煙が上がりました。出撃が許可されました」
「よろしい。今回は夜間を狙って敵の第二防衛線の主力を強襲する。不要な事故をおこさないように相互距離をしっかりとるように……隊列はギリギリまで崩すな。脱落者がいないか相互に注意しながら前進する」
「「「了解!!」」」
隊員たちは力強く返事をした。士気は十分だ。しっかり休養が取れていたからな。
休養は大事だ。緊張を持続すればするほど、質は低下しやすい。どんな時でも休める状況は作り出した方がいい。
軍隊においても、休養は戦略の成功率を上げる重要な要素になっているらしい。俺は昔、ネットニュースで読んだことを思い出していた。
日本の自衛隊でも、大規模な災害による災害派遣の時は「戦力回復センター」という休養所を設置していることが多い。人命救助がある程度終了した際に設置されるそこでは、不眠不休で肉体と精神を酷使する自衛隊員のストレスを緩和するために、温かい食事や入浴が保証されていて留守にしている家族との電話などができるように整備されているようだ。
さすがにこの時代の技術力では、現代の自衛隊ほどはしっかり休養できる場所は作れないが、戦場のやや後方でしっかり肉体を休めることができるだけでも全然違う。
一見無駄のように見えるものでも重要な意味がある。補給や休養は特にないがしろにされやすいものだが、軍人はスーパーマンではないからやはりこのような考えは重点的に見ておかないといけない。
クリスタはそう言うのをよくわかっているし、計画を作るのが得意だ。この補給基地もそれに対応できるように必要最小限だが増設されている。
魔道具に魔力を充填する。このエンジンのような魔道具には、妖精の加護入りのダンボールが入っている。それを媒介として長時間の浮遊が可能になる寸法だ。
俺に続くようにみんながゆっくりと空に向かって飛びあがる。
作戦は開始された。




