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第101話 要塞、ホームレスの襲撃に備える

―ボルミア公国・第2防衛線司令部―


「将軍、ついにヴォルフスブルク軍が我が国になだれ込んできています。第1防衛線突破は時間の問題かと……」

「クリット将軍、中央はこの防衛線を死守するように言ってきております」


 部下たちは悲壮な声を次々と上げる。


『おい、ヴォルフスブルク軍の空飛ぶ魔導士がうちの主力部隊を壊滅させたらしいぞ』

『それって、ニコライ=ローザンブルクを討ち取ったクニカズ中佐の部隊だろう……』

『ブラウン・ウルフ……』


 すでに兵たちには、ヴォルフスブルクの秘密兵器の噂は広まっていた。士気にも重大な影響をもたらしていた。


「皆の者、安心しろ。この防衛線は天然の要塞だ。高地、防衛に利用できる川、森に展開すれば大砲も隠せる。さらに、ボルミア公国中央はヴォルフスブルクの秘密兵器に対抗するために、空飛ぶ魔導士を養成している。この防衛線にも秘密裏に彼らが配置されている。安心しろ!! この防衛線でヴォルフスブルクのやつらを撃破する。諸君たちの奮戦に期待する」


『なんと!!』

『我が国にも空飛ぶ魔導士がいるのか!?』

『ならば勝機はあるぞ。防衛は、攻めるよりも有利だ』


 よし、これで士気は戻った。やれるはずだ。


「皆は防衛線の最終確認を頼む。敗残兵がこちらに逃げてくることになっている。彼らは吸収して、戦力を再編するぞ! 私は、航空魔導士隊と最後の打ち合わせをしてくるここは頼んだぞ」


 ※


―ボルミア公国・第2防衛線作戦会議室―


 ここは私と魔導士隊しか場所を知らされていない秘密の場所だ。

 暗い会議室にはすでに、腕利きの魔導士たちがすでに着席して待っていた。


「諸君、今回は当初の想定通り守備に専念してほしい。地上部隊と協力して航空魔導士隊を追い払って欲しい」


 航空魔導士隊長は不敵に笑った。黒いフードを被って顔はよく見えない。悲壮な覚悟を固めている他の兵士たちとはまるで違う余裕を持っていた。


「将軍? たしかに追い払うつもりだが……何を弱気なことを言っているんだ? 撃ち落としてしまっても構わんのだろう。クニカズを討ち取れば、俺が世界最強だ」


「ああ、もちろんだ。敵のクニカズ中佐を倒せれば、こちらは圧倒的に有利になる」


「楽しみだぜ。将軍、俺はね、すべてを持っている奴がムカつくんですよ。だから、戦場でそんな奴を殺すために軍に入ったんです。最高なんですよ。こちらに未練があるやつが、俺と出会って死ぬとわかるまでの顔を見るのがね。ああ、早くやりたいぜ……」


 黒フードは残虐な笑みを浮かべた。

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