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第十八話

翌日、アレシア市内は混乱に満ちていた。

突然の襲撃とあって市民は不安を隠しきれない表情で一杯になっており、中にはミーティア本部に詰め寄って暴動を起こしかねない人も出てきたらしいが警備隊が厳しく鎮圧させたらしい。

朝、ウィルは病室においてあるテレビを付けるが、何処のチャンネルも昨日起きたアレシアの郊外地区の襲撃事件で持ちきりであるようで、しばらくしてからリモコンのスイッチを切ってしまった。

未だに麻酔が効いており、傷の状況から見て、特に全身を動けるようなことは出来ないため午前中は暇を持て余しながらも窓の外をしきりに見上げていた。


昼からはアレン達が彼のお見舞いへとやってきた。

その隣にはなぜかフィオナにいるはずの警備隊長のノエル・イザベラも一緒に並んでこちらへ向かってきた。

彼女はお見舞い用に持ってきたフルーツの盛り合わせを机の上に置き、心配そうな表情でウィルの方を見る。


「具合はどうですか?……と言ってもその様子じゃあまり良くないようですね……」


「いや、そんなことは無いですよ。確かにちょっと見た目はショッキングだけど……。たいしたことはないですから」


手をわずかに動かして大丈夫だという意思を伝える。

だが、包帯で固定されている為か、動きは少しぎこちない。


「ったくよ……。朝、泊まってる宿舎の部屋にいきなり乗り込んできたと思えば、お見舞いへ行こうだなんて言いやがって……」


アレンはノエルが居るからなのか少し不機嫌な口調でそう言った。

その言葉を聴いたノエルは不服と感じたのか彼を睨み付け、声を荒げ言い返す。


「あんた、その言い草は何よ!そりゃ、二人が謎の襲撃犯に襲われたなんて聞いたらこっちはたまったもんじゃないわよ!特にあんたは無茶し過ぎるんだから……」


「だからって言ってもそっちには電報で大丈夫だって打っただろ!わざわざ来るなよ!」


「ちょっと!二人とも落ち着いて……」


いつもは二人の仲裁をしているウィルだが今回に限っては、体を上手く動かすことが出来ずに口で言うしかない。

だが、当の二人は全く聞いてないようで声はだんだん大きくなり話はさらにヒートアップしていく。


「わざわざ来るななんて幼馴染にいう言葉!?大体、あんたは無茶しすぎるのよ!毎回私がどれだけ心配してると思ってるの!」


「五月蝿い!お前に心配されることなんかない!」


「はぁ!?じゃあ、あんたが昔、連続通り魔に刺されて死にそうになってたのをずっと看病してたのは誰だっけ?」


「うっ……そりゃお前が勝手に看病してたんだろ!!あの時は看護婦さんも叔父さんも手伝ってくれてたしお前なんかの手伝いは……」


「おい、そこの二人いい加減にしやがれ!」


取っ組み合いが始まりそうな寸前、丁度、ドアを開けて入ってきたアドルフのきつい仲裁により二人は驚いて黙ってしまった。

彼に気づく暇も無いほどいきなりきつい拳骨をいきなり喰らったのだ。驚いて黙るのも無理は無いだろう。

眉を吊り上げて睨み付けているアドルフに恐怖を感じたのか二人は黙って下を向くしかない。


「お前らはその歳にもなって何をやってるんだ!場所を考えろ!ほら、謝れ!」


「えっ……だってあいつがいきなり……」


その言葉を聴いたアドルフはさらに厳しい表情を向けて二人を睨み付けた。

その目はあまりにも鋭く二人は思わず後ずさりしてしまう。


「だってもクソもあるか!やらないんだったらこっちが無理にでもやらすがそうでもいいのか?」


「わ、分かったわよ……。アレン、言いすぎたわ。ごめんなさい」


「こっちもちょっと言い過ぎた。悪かったな」


若干、アレンとノエルはふて腐れた表情を浮かべていたが、二人の謝罪で事が収まり一段落したところでアドルフは近くにあった椅子を引っ張り出し座った。

他の二人も同じようにウィルのベットの周りに椅子を置いて座る。

そしてアドルフは一回咳払いをし、話を紡ぎ始めた。

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