第九話
工業的な風景は豊かな田園風景へと変わって行き、再び発展した都市部へと変わっていく。
そして車に揺られて数時間後、アレン達は目的地のアレシアの駅前通りに着いた。
二人は車から降りて運転していたノエルの部下に軽く頭を下げる。
手を振り彼らの車が見えなくなった頃、アレンは一呼吸し周りの街の風景を見渡した。
「此処が、アレシアか」
この国の最大の都市「アレシア」
最大都市とあってか辺りにはたくさんのビルや店が立ち並んでいた。
時刻は既に夜を迎えようとしているが依然として人通りは多く、中核都市・ヴィオラとは一風違った雰囲気を醸し出している。
「さて、こんな時刻になったが……。とりあえず行くか」
「そうですね。地図によれば、此処から近いみたいですよ」
二人は持ってきた資料を持ち大通りを抜けていった。
アレン達の服装をあまり見たことが無いのか、通り過ぎる人たちはこちらを見ているが彼らは気にする素振りもなくそのまま歩き進めていく。
「……此処だよな?」
「……みたいですね」
駅前の大通りを抜けると人はまばらにしか居ないがそれでも建物は非常に多い。
いくつかの建物に囲まれて居るその中にミーティア本部が建てられていた。
本部の建物は彼らの想像以上大きく、一体、何階まであるのかと言うほどの大きな高層ビルに近代的なデザインが施された大きな扉が建物の威圧感を出しており、その扉の前には数十人の警備員と思われる人々がこちらを見据えているのだ。
「流石、この国の中枢を図ってる組織は違うよな」
「そう……ですね。こうしてても仕方ないので入りましょうか」
「ああ。ったく、こんなに無駄にでかい建物作ってどうするんだって話だよな……」
アレン達はそんな小言を言いながらも一人の警備員に近づいていき、ソルドの者だが、と話し始めた。
既に警備員には話は伝わっているらしく、二人はソルドの身分証明書を彼らに見せた後、閉ざされていた扉を開け中に入っていった。