二人だけの時間
始めて短編を書きました。
ピアノの音が聞こえる。
美しい旋律。確かこれはショパン。
圭子はそっと、音楽室に入った。途端、ピアノの音が止まる。
「邪魔しちゃったかな?」
圭子がそう言うと、先ほどまでのピアニスト、一子は困惑した表情を浮かべた。
「貴女を待っていたの」
圭子は不意を突かれ、驚いた。
「どうして、かな?」
「貴女に聴いてほしくて弾いてたから」
そう言うと、また一子は鍵盤に指を掛けた。
そして、ピアノの演奏を始める。
曲は、ショパンのマズルカだ。
「この曲!」
「そう、貴女と始めて会った時に弾いていた曲」
一子は柔らかい笑みを浮かべた。
「今日は、一緒に帰ろうね」
圭子は嬉しそうに声を弾ませた。
二人だけの聖域。
神様、どうかこの時間が永遠に続きますように。
二人はそっと、願った。
のんびり読めれば良いなぁと思って書きました。