何がための知
今さらながらと思いながら
僕は旅に出る
ボートの浮かばない湖畔の
満月のない夜の
正義を知るために
生きた魚を通したのどが
燃え盛るように熱くなる
と覚悟して
道端の花に水を施す
病に伏す君を思う
優しさを知るために
故郷に草を生やす
いつかそれは雑草と呼ばれる
と恐れて
笠を懸けたあのお地蔵に
友が握り返したこの手に
信じることを知るために
僕の目の前の終末の世に
旅に出て知をもたらす
知をもたらして光を恵んで
首までおおう濁り水に
汚れたサメの腐った目に
小さな魚の小さな瞳に