災害
初めてスライムを見た。感動した。スライムなんて…転生物のテンプレじゃないか!!
俺は森にまた勝手に入っていた。と言うかもう結構常連である。それでも魔物と6体程しか戦えていなかった。そんなある日いつものように森に行くと、スライムが3体も居るのだ。タダでさえスライム何て転生物の…異世界物のテンプレなのに…!やっと出会えた…。と言うかこの世界にもいるんだなぁ…。そう思った。スライムは近くに行っても特に何かしてくるわけではなく、ただひたすらに進んでいた。俺も気付かずに追いかけていた。スライムが、あれに怯えて逃げていた事に…。スライムが殆ど移動しないということを知っていれば…。そんな事、ラウィンは思いもしなかった。
ただひたすらにスライムを追いかけていると、森から出てしまった。気づいたのは森から出てからすぐ。日はもう傾いている。まずい…。そう思った時森から魔物が沢山出ていき、遠くから叫び声が響いた。俺は咄嗟にククル先生に聞いた。
「ククルっ!なんだこれっ!」
解…考えられるのはスピリチュアル迷宮…スピリチュアルにある迷宮…その迷宮での魔物が大量発生したと推測。今からでは到底間に合わないと思いますが?
「くそっ!迷宮があるなんてっ!!!ちっ!!ここ最近魔物が少なかったのもそのせいかっ!!?」
解…その通りかと…。ただ、この事に気づけなかった、私も…すみません。
「…ククル先生はいつも役立ってるよ…!」
解…………………ありがとうございます…ボソッ
「…ここからだと間に合うか?」
解……無理でしょう。そもそもラウィンが…戻っても死ぬだけだと思われます。
「くそっ!…でも…戻るしかねぇだろ!?」
解…死んでも知りません…勝手にしてください。
この時ククル先生に少し感情が芽生え始めた。ラウィンは1ミリも気づいていないが…。
ラウィン!!ラウィン何処なの!?ラウィン!!!
ラウィンの母は今必死にラウィンを探している。村の状況はあまり良くない。いや全く良くない。このままだと全滅は確定。いや子供を隠せば生き残れるかも知れない。今はホブゴブリンの戦士さん達が防衛している…が体力にも限界がある。もう既に何名かがやられ、ゴブリンの子供は数人…死んでしまっている。その中にはラウィンは居ない。死んでは居ない!?死んでない!!そう母は思わざるおえなかった。
「くそっ!!魔物が大量発生するなんて160年ほど無かったじゃないか!!!!!何でっ!!!」
「口を動かしている暇があったら戦え!!!じゃないと家族が死ぬぞっ!!!!!!」
「うおおおおおおぉぉ!!!!」
隊長が士気を高めるがそんなものは気力にしかならない。仲間がどんどん死んでいく内に気力も無くなり無力になり…死ぬ。そしてその死んだ人をみて気力が無くなり死ぬ…こんな悪循環が生まれていた。これが無くても結果は絶望的だが…。そもそもこの村は戦いを殆どしないため…いや戦士達以外はしないため、戦力が足りなかった。それでも良くやっている。魔物は殆ど死んだ。ゴブリンの村のゴブリンとホブゴブリンも殆ど死んだ。村は壊滅した。生き残ったのは…
「ラウィン…お母さん…お父さん……お母さん!」
アリエのみだった。何故生き残れたか?それは…スキルによるものだった。
スキル: カモフラージュ·····
このスキルが無ければ死んでいただろう。いや死んでいた。いや…今も殆ど死にかけに近い状態だった。左腹部を少し噛まれたのだ。噛まれただけならばまだ生き延びれたのだろうが、毒が含んでいる。なんと運のないことだろうか?こんな状況になった時ラウィンは…?もう村の直前まで来ていた。
「なんだこれ…?村にゴブリン達が…」
壊滅した後に辿り着いてしまった。
「だ、誰か!!!誰かっ!!!」
「ら、ラウィン!!!」
この声っ!アリエっ!!俺は声の聞こえる所まで走った。そこには左腹部を噛まれたアリエがいた。
「ら、ラウィン…多分私もう長くないや…友達で居てくれてありがとう…!」
「何言ってんだ!ククル先生っ!今アリエの状態はっ!?」
解…毒状態です。傷は浅めですが、このままだと死ぬでしょう。
「どうすればっ!!いい!!!?」
解……良かったですね、ラウィンがここ最近採取していた薬草の中に解毒草があります。あれを…ラウィンの家にある薬製造の物ですり潰し塗りたくってください。薬草も回復しやすくしましょう。
「流石だっ!ククル先生っ!!」
俺は急いで俺の家に入り解毒草と薬草を薬にした。作った後はまず、解毒から開始し、回復させた。ククル先生が言うにはもう助かったそうだ。良かった。