私以外の勇者
頑張ります。
あれから様々な人達が私の所に来た。そして毎回探られる感覚がした。多分私のステータスを見てるんだと思う。毎回驚いた顔をするからね。
それはそうと暇なんだよね。ん?何か聞こえる…?
「…「魔」の…ゆ……う………ち……のゆ……し………」
途切れ途切れでわかんないや。そういや私は「魔」の勇者何だよね?じゃあ魔法とか使えるのかな?今欲しいのは…耳が良くなる魔法だよね。聴力強化?とかかな。
そう思い私は聴力強化と念じる。
………何も起こらないなぁ。
『勇者の力「魔」を使用しますか?』
うわっ!…びっくりした。えっと具体的に使ったら何が起きるの?
『…現在使える魔法一覧表を提示出来ます』
おぉ!それなら使います!
『表示』
魔法一覧:火属性の「魔」 風属性の「魔」 土属性の「魔」 水属性の「魔」 自然属性の「魔」 空間魔法の「魔」 身体強化の「魔」
『タップするとその中のリストが現れます。次回から説明は無くなりますのでご了承下さい』
私は迷わず身体強化の「魔」を押す。何個か出てきた中に聴覚強化という者が出てきた。それを押すと私の中から何かが出て行き耳が暖まる感覚がした。
「「智」の勇者が誕生したと思えば次は「魔」の勇者ですかっ!」
「いや…まさか我が娘が…。」
驚きだ。さっきまでは途切れ途切れにしか聞こえなかった言葉が鮮明に聞こえる。魔法はなんて凄いんだろう。そう私は思った。
ちの勇者って何なのだろう?血?智?地?……私とは違う勇者が居るのだろうか?それとも様々な勇者が居るのだろうか?
私は空間魔法って何なのだろう?と思い、それを空中でタップした。そうすると2種類魔法が表示された。
収納魔法「低」 転移魔法「低」
大体予想がつく名前だな。私はそう思った。
試しに収納魔法で私の下に敷かれているシーツを収納しよう。そう思い私は収納魔法「低」をタップする。使い方が分からなかったが、収納したいものを視界に捉えて念じると使えた。まだ容量はよくわからないが重さを感じる事は無く、とても便利な物だなと思った。
片方の転移魔法「低」も使ってみる事にした。
そのままの通り、転移することが出来た。これを使って3m程飛んでみた。その後に戻る為に使おうと思ったら視界がブラックアウトした。つまり意識が飛んだ。この事から魔法は何か魔力的な物がある事が分かった。
起きると気絶する前は割と外が明るかったのだけれど、今は空が綺麗な茜色に染まっている。
夕方まで寝ちゃった。
他にも色々試そうと思っているのだけれど、また気絶したとかになっちゃうと面倒くさいので少しだけにする事にした。
火は危険だし水は濡れちゃうしとにかく風属性以外は周りに跡が残ってしまう。その事も加味して風属性をタップした。色々種類があったけどその中で一番弱そうな物を選んだ。
高速詠唱風起こし
「びゅおぉぉぉ……」
少しの風が発生した。それでも私は魔法が凄いと感じた。収納魔法や転移魔法も凄いけれど、『何も無かった』場所に風を起こすと言う超常的な現象を起こせる事に興奮を覚えた。
す、凄い!何も無い場所に風を起こせた!!
私は素直にそう思った。そして興奮して連射した結果また気絶してしまった。
仕方ない…よねっ!
私はそう思う事にしておいた。
高速詠唱「ハイスピードアリア」を使うと高速で詠唱を出来ますが、威力は落ちます。
「低」しか使えない理由としてはまだまだ勇者としては「卵」の状態だからです。