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異種族趣味の管理者【アドミニストレータ】  作者: てんとん
3章 正式サービス:魔法界
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幕間 ガォとガゥのしあわせ

2章17話~18話で、ガォとガゥが何をしていたかというお話です。

3章に入れたのは設定上の問題です。

異なる三種族を、淡い水色の光が包む。

アーティによる魂の転移で、巧、ナタリー、ミカの三つの魂は地球の体へと移動した。

その場から仮想の体、魂共に消え去る。


「がぉ・・・。」

「がぅ・・・。」


ガォとガゥは涙をぬぐって、巧たちを見送る。

広がる草原にはぽつんと寂しく、先ほどまで皆一緒に寝ていた小屋が残されていた。

そんな二人を見かねてか、アーティが声をかける。


「さあ、私の部屋に行きましょう?」


その言葉に、ガォとガゥはこくりと首を縦に振った。



『その香草使って料理を作ろうと思ってるんだけど、良かったら一緒にどうだ?』

『お前らが魔物だろうが魔法使いだろうが他の何かだろうが、どうでもいいのさ。』


その言葉が、どんなにうれしかったか。

僕とあたしは皆にとって、怖いもので、じゃまで、一緒に居ちゃいけなくて。

でも、ご主人たちはちがった。

一緒に居ようって。

居ていいんだって。

最初に見る顔が笑顔だったのは、ご主人たちが初めて。


僕とあたしは、失うのが怖い。

仲間やともだちは、とっても得難いって知ってるから。

自分たちを認めてくれる人が死んだとき、とってもとっても悲しかったから。

だからご主人たちがどこかに行っちゃうって分かったとき、嫌だと思った。

やっと見つけた僕とあたしを理解してくれるひと。

絶対、失いたくない。

・・・でも、ご主人たちが僕とあたしと居るのが嫌になったのなら、しょうがないって。

そうも思った。

嫌だけど、しょうがないなって。


ちょっと、早とちりだったみたい。

ご主人たちは僕とあたしと一緒に居たくない、じゃなくて、何か用事があるっぽい。

皆に抱きしめられて、それが分かった。

寂しいけど、それもちょっとの間だけ。

あーてぃも一緒に居てくれる。


ああ、なんてしあわせなんだろう。

母さんが言ってた。

これが当たり前なんだって。

自分を認めてくれるひとがいつも近くにいてくれる、それが普通。

普通って、こんなにもしあわせなんだ。



「ガォ、ガゥ、あなたたちを転移させる前に注意があります!」

「がぉ、なに?」

「がぅ、?」

「ナタリー様は転移時に気持ちが悪くなるみたいです。それはすでにチューニング済みなので解消していますが、あなたたちにも同様に転移酔いの可能性があるのです!」

「がぉ、気持ち悪くなる?」

「がぅ、うぇうぇ?」

「体に何か異常があったときは、すぐに言ってくださいね?」

「「わかった」」

「それでは、行きましょう!」


三者を淡い水色が包み込み、体を別の場所へと運んだ。



僕とあたしは、ゆったりとまどろむ。

心地よい水色の光が、凍り付いた意識を柔らかく溶かしていった。

瞼の向こうが、ちょっとまぶしい。

意識が覚醒へと向かい、目覚める。


「がぉ、・・・?」

「がぅ、・・・んっ。」


・・・なんだか体があつい。

全身の毛が軽く逆立つような。


「いらっしゃいませ、ガォ、ガゥ。ここが私の部屋ですよ!」


目の前には、四角いものがいっぱいの景色が広がっていて、そのどれもが淡い水色に光り輝いている。

緑の景色はよく知っているけど、こんな景色ははじめて。


「がぉ、すごい、綺麗・・・はぁ・・・。」

「がぅ、ほんと・・・んんっ。」


「ガォ、ガゥ?ちょっとすみません、ステータスを見させてもらいますね。」


あーてぃはそういって、何もないところで指をうごかした。


「がぉ、・・・あーてぃ、いいにおいする。はぁ・・・。」

「がぅ、ガォ?んっ・・・。どうしたの?」


がばっ!とガォがあーてぃに抱き着いた。

しっぽをブンブンと振り、かおがとっても赤い。


「わっ!?ガォ、どうしたんですか?急に抱き着いてきたりして。」


「がぉ、あーてぃ、あーてぃ・・・。」

「わふっ!?くすぐったいですガォ!?あ~・・・、首のあたりを舐めないでくださぁい・・・。」


ガォがへんになってる?

あたしもなんだか頭がぼやあっとする。


「"発情(エストアス)"の状態異常(バットステータス)が・・・。これが原因ですか!?」

「がぉ、あーてぃ!!」

「落ち着いてくださいガォ!ダメです!ああっ!?」


ガォとあーてぃがじゃれあうのを、あたしはぼーっとしながら見ていた。



「がぉ、あーてぃ、ごめん。」

「はぁ、はぁ、大丈夫です・・・。元はといえば転移させた私のせいですから、ガォは悪くないんですよ?」


あーてぃが僕の頭をくしゃくしゃとなでる。

さっきさんざん顔やら首やら耳やらを舐めちゃったのに、怒ってないみたい。

あーてぃはやさしい。


「ガゥがおかしくならなかったのは、相手がいなかったからですか。マスターがいたらきっとガォ同様になってましたね・・・これは早く修正しないといけませんね!」

「がぅ、あーてぃ、"発情(えすとあす)"ってなに?」

「・・・ネットワークを検索した結果、この内容はガォとガゥには不適切なようです。ええっと、ガォとガゥがもう少し大人になってから、教えてあげます。」

「がぉ、ざんねん。」

「それじゃあ少し待っててください、ソースコード作っちゃいますから!」

「がぉ、わかった。」

「がぅ、りょーかい。」



待っている間、やることがなくて暇なのであたしたち2匹でじゃれあう。


「がぉ~、がっおがっおが~♪」

「がぅ~、がぅがぅがっうが~♪」


リズムに合わせて尻尾を地面に打ち付ける。

この遊びは今よりまだちっちゃいころ、お母さんとお父さんも合わせてよくやった。

今やってみると、正直あまり面白くない。


「がぉ、飽きた。」

「がぅ、別のことしよ?」

「ガォ、ガゥ、衣装のサンプルが出来たので着てみませんか?」

「がぉ、わかった。」

「がぅ、着る。」

「それではいきますね!」


僕とあたしの体を、光が包む。


光が晴れたとき、僕の体は灰色をした下着に、くすんだ銀色の全身鎧を着ていた。

あたしの体を包むのは、ガォと同じ灰色の下着に、動きやすい軽装の装備だ。


「ガォ、ガゥ、この中で使えそうな装備はありますか?」


あーてぃがそういって手をかざすと、何もないところから弓やら杖やらがボトボト落ちてきた。すごい。


「がぉ、どれでも使えると思う。」

「がぅ、あたしたち狩りは得意だから。」

「それはすごいですね!・・・うーん、では衣装に合わせたジョブでいいでしょうかね?今のマスターたちに不足しているのは防御力と回復力ですが、回復についてはマスターに"薬師メディコ"のジョブを取ってもらって、回復薬(ポーション)を作ってもらえばいいですから・・・。」

「ガォはこの盾を使ってくれますか?」

「がぉ、わかった。」

「ガゥは近接中射程の槍を使ってもらいます。」

「がぅ、槍はつかえるけど、きんせつ?なあにそれ?」

「剣よりも長くて、弓より短いってことです。」

「がぅ、りかい。」

「ではガォが"盾使い(ガードマン)"でガゥが"槍使い(ランサー)"のジョブに設定しておきますね!」

「初期装備はガォが木の大盾、ガゥが鉄の槍です。」

「がぉ、おっきい盾。体がすっぽり。」

「がぅ、いい長さ。」


僕とあたしは、しばらく二匹で武器試しをした。



組み手をして、体も疲れてきたので、地面で丸くなって休憩。

この水色の部屋はとてもまぶしいので、寝にくい。


「がぉ、あーてぃ、この部屋まぶしい。」

「がぅ、ねる。」

「ごめんなさい、私は睡眠が必要でないので気づきませんでした。明度を調整しますね!」


あーてぃが空中で指をうごかすと、部屋が暗くなった。

あらわれたのは、夜に見上げるとみえるもの。


「始まりの平原の夜空をスクリーンショットしておいたので、再現しました。どうでしょう?」

「がぉ、いいかんじ。」

「がぅ、・・・zzz。」

「・・・ついでにマスターの家のベットも再現しましょうか。」


まどろんでいると、体の下がふわふわで包まれた。

きもちい、しあわせ。



「やあ、ただいま。」


起きたらみかがいた。


「がぉ、みか。」

「がぅ、はやかった。」


もうちょっと長い時間お別れかと思ってた。


「うん?ああ、ここは時間の流れが曖昧なのかあ。」

「ガォとガゥが寝てしまったので、早めました。」


「う~ん、すごいね。"時間"の柱が見たら目を回しそうだ。それにこの空間も・・・。全く、不思議だよ。」

「私も、できることが急激に増えて戸惑っています。」


「たぶん、誰かさんがガォくんとガゥちゃんと一緒に居たいって思ってるからだろうね・・・。まあいいや。アーティちゃん、ソースコードそろそろできた頃かなと思ってこっちに来たんだ~。」

「はい、できておりますよ。仮想の体も作成済みです。」


「あ、仮想の体のことだけどさ、耳と尻尾、あと体毛の調整って可能かな?」

「できますが、なるべくこちらの体と近しいほうがいいと思います。あまりに異なる体だと、魂が定着できないという問題があるので。」


「なるほど、うーん・・・体毛だけでもなんとかならない?向こう(地球)には魔物すらいないからね。」

「分かりました!調整しますね。体の鋳型いがたを少し変更すればいいので、すぐ終わると思います。」


「がぉ、なんのはなし?」

「がぅ、ご主人となたりーは?」

「もうちょっとでタクムくんの家に行けるよ~、それまで遊ぼうか!」

「がぉ、組み手、する。」

「がぅ、負けない。」

「ふふ、二対一でいいよ?二人はまだジョブがないでしょ?」

「がぉ、なめすぎ!」

「がぅ、いたいめみるよ!」


僕とあたしは、みかに向かっていった。



目覚めたら、体中の毛が薄くなっていた。


「おはよう、二人とも、ここがタクムくん宅だよ~。」

「がぉ、ご主人のにおい、する。」

「がぅ、今いない?」

「今は外出中のようですね。」


「あれ、アーティちゃん来れるようになったんだ?」

「ふふっ・・・マスターの要望ですから。頑張りましたよ!魂の設計は本当に骨が折れました。」

「・・・魂の設計??」

「はい!」

「いやなんかもう、神は要らないんじゃないかな・・・?ワタシコンビニで食べ物買ってくるよ・・・。」

「がぉ、僕もいく。」

「がぅ、あたしも~。」

「私もマスターのいる世界を見ておきたいです!」

「じゃあみんなで行こうか・・・。」



透明ながらすに向かって歩いていたら、勝手に開いた。

すごい。魔法かな?


「いらっしゃいませ~。」


「えっとね、ここら辺にあるのがお弁当。見慣れない容器に入ってると思うけどちゃんと食べられるから安心してね。」

「がぉ、まよう。」

「がぅ、パンもある。」

「なるほど・・・これがコンビニですか。確かにいろいろありますね。」


僕とあたしはお弁当を買った。

おいしそうなお肉のにおいがするやつと、いろんな香りがする茶色い食べ物。

あーてぃはパン、みかはぱすたという糸みたいなのがたくさん入ってるやつ。

みかに買い方を教えてもらって、れじに並んで買い物をした。

うまく買い物をするには算術がいるみたい。

お母さんに教えてもらっていたけど、狩りのほうがとくい。


「ありがとうございました~。」


皆で一緒にご主人の家に帰った。


「・・・コスプレ家族か?」



椅子に座って買ってきたお弁当を食べる。

これまで食べたどんなものより、おいしい。


「がぉ、はぐあむ!!」

「がぅ、はむあむ!!」

「んぅ!?これは味覚パラメータの調整が必要ですね・・・!」

「パスタもおいし~!コンビニでこれなら期待が持てるね・・・。タクムくんに今度連れて行ってもらおう。」


僕が食べてるのは、ちきんなんばん定食で、あたしが食べてるのが、かれーというものらしい。

途中交換して食べてみたが、どちらもおいしかった。



食後、ご主人の部屋に皆で集まる。

ここは"ちきゅう"の"にほん"というところらしい。

ご主人の出身地はここで、お仕事をしている。

今はなたりーとでーとに行ってて、もうすぐ帰ってくるみたい。

みかから、"にほん"のいろんなことを聞いた。

ご飯がおいしくて、平和。魔物いない。

そして何より、ご主人がいる。

皆いっしょ。

しあわせ。


「「ただいま(です)ー」」


あ、帰ってきた!!

僕とあたしは、ご主人となたりーのにおいに向かって駆けだした。


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