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異種族趣味の管理者【アドミニストレータ】  作者: てんとん
3章 正式サービス:魔法界
28/33

25話 攻略:獣王の森 最終戦②

戦闘シーンまだ続きます。

終わったらほのぼのいっぱい書きます。


--あかい軌跡を描いて、槍が銀狼ぎんろう穿うがたんと迫る。

瞬間、軌道上に白い輝線が割り込みをかけた!

魔力同士が衝突し、灰色と銀色の獣の間に衝撃波が吹き荒れる。


ガゥが『一閃突ピアシング・ストライク』を発動する以前に、銀の王は魔力をその爪に溜めていた。

魔力が光り、戦技と成す。

--は貴様らだけの特恵とっけいでないと知れ。


そう言わんばかりに、純白の輝きが爪を纏うように展開した!

熊手のようなかぎ爪状の輝線が四つ、左右で八つ。

戦技名『裂爪(ネイルリッパー)』、銀狼の専用技(ユニークスキル)

爪での斬撃の有効範囲を広げ、切れ味を増す魔力による武装。

獣王は右の『裂爪』を、死角から飛び出した槍に向かって放つ!

槍とかぎ爪による鍔迫つばぜり合いは果たして、互角とは言い難かった。



ガゥの槍が魔力のかぎ爪を穿った。

ガラスが割れるような破砕音を響かせて、砕け散る。

両者とも衝撃波によって少し後退。

--ガゥの槍の魔力が消える。

一閃突ピアシング・ストライク』は一突きの威力を極限まで高める戦技だ。

そう、体を穿てない時点で、両者の趨勢すうせいは決した。


脚で地を蹴り、二度目の攻勢。

銀狼が左の『裂爪』を持って、ガゥを切り裂きにかかる!

ガゥが目を見開く。

躱せば有効範囲内の『裂爪』が体を裂き、受ければ確実に組み伏せられ、牙が体を穿つだろう。

「詰み」の一手が、迫った。


「がぉ、『硬化ハード』!!」


灰色の同胞はらからが、盾を掲げてガゥの前に立ち塞がる。

その盾と体は魔力によってコーティングされてより強固となっていた。

邪魔だとばかりに盾を回りこみ、銀狼が『裂爪』を飛ばす(・・・)


「がぉ、甘い、『攻撃誘導アタック・インダクション』」


飛翔する白い輝線が、曲がった。

歪んだ光は赤い魔力を纏うガォの盾へと吸い込まれる。


--ガァン!!

衝撃音が響く。

先刻矢毒女王蜂トキシンホネット・クイーンに受けた毒針の跡からみしみしと異音が発される。

一瞬の判断。

ガォは攻撃を受けながら体を半回転させ、『裂爪』を受け流した!

奇しくもそれはミカの使う『捌き』に似る。

魔力の発生源、爪を飛ばした狼もその煽りを受け、体勢を流された。


「がぉ、ガゥ!!」

「がぅ、『乱突ディスアレイスピア』!!」


脚、胴、頭。

体勢を崩した銀狼をガゥの槍が捉えた!!

--直後。


「『光線ルクス・ライン』!!」


光線が銀を焼く。

咆哮を止めんと詠唱を終えたナタリーの魔法が、王に突き刺さった。



カラン・・・。

投げた毒針が、白い体毛によって阻まれ、落ちた。

少しでも傷が付いていれば、かなり有利に戦闘が進むのだが・・・。

毛で傷口が見えないな。

と、元気よく迅飢餓狼(ガル・エリート)が俺に飛び掛かってきた!

あー、不発かな?


敵の飛び出しに合わせて、側方に回り込むように移動。

同時に狼の胴に剣を這わせるように出す!

戦技ではないが、剣道で「抜き胴」と呼ばれるテクニックだ。

--ギャリン!!

剣が白い毛の上を滑る!

すれ違いに交差して、彼我の距離差が開いた。


背中がミカにぶつかる。

丁度背中合わせで両者とも敵に対峙たいじする形だ。

相対するは2体の迅飢餓狼(ガル・エリート)


「なんだこりゃ・・・毛っていうより骨じゃないか?」

「そうみたいだねぇ、・・・すごい硬いし。」


うーん、多分戦技じゃないと切り裂けないな。

・・・ああ、そういうことか。

さっきの獣王の咆哮でMPを奪い取り、魔法や戦技を使えなくする。

んで、普通の攻撃では通らないから、後は甚振いたぶるだけ・・・と。

えぐい作戦だ・・・。

知性がないとかどうとかアーティもガリュードさんも言うけど、こと戦闘に関しては油断も隙もない。

まあ、地球の野生の獣もそこらへんは同じかぁ。

さて、少し戦ってみたところ飢餓狼(ガル)に防御力と敏捷を上乗せしたような個体だ。

戦技を確実に当てなければ、MPにも限度がある。


「ミカ、『捌き』頼む!!俺が戦技を当てるから、体勢を崩してくれ!!」

「おっけ~!!」


軽い口調とは裏腹に、ふぅっと息を一息吐いて集中を始める。


「『捌き』の神髄、見せてあげるよ。この戦技には派生があるんだ~。」


え、まって、じゃあ俺いらなくね?

そんなツッコミを入れる前に、白狼が攻撃を仕掛けてきた!



左右に体を振ってのフェイントから、ミカの上を一匹が飛び越える。

直後、背後にいたもう一体が噛みつきにかかった!


「はい、ど~ぞ?」


首を傾け、笑い、しなを作る。

知的生物には魅力的に映るその姿は、魔物にとってどうなのだろう。

ここを噛めを言わんばかりにミカが腕を白狼に差し出す。

舐めるなとばかりに、狼が狙ったのは脚だった。


「あら?まあ足でも関係ないんだけど、ねっ!!」


噛まれんとする方の脚を白狼に向けて蹴り出す!

狼は咄嗟とっさに跳躍。

蹴りを回避した。

--かに見えた。


ミカははなから蹴りによる攻撃など狙っていない。

片足で狼を追いかけて跳躍。

両脚で狼の頭を挟む!

狼の跳躍の勢いを殺さず、砲声ほうせい


「派生:『投げ』!!」


ミカの体が空中で魔力を帯びる。

刹那せつな、急加速した!


「うらぁ!!」


空中で捻りを加え、白狼を地上へ打ち付ける。

--丁度跳躍を終え、着地から攻撃に転じようとしていたもう一匹を巻き込んで。


「タクムくん!!」


二匹の魔物。

その生殺与奪の権利が、巧に渡された。



俺の目の前に、狼が二匹、滑ってくる。

ミカに投げられた方のHPが残り5割弱、巻き込まれたほうが7割といったところか。

これなら連撃系の戦技がいいかな。


「『刻々撃(ブレイド・バビン)』!!」


まずHPの低い方からだ!

鈍色の光が剣と脚を包んだ。

一匹に向かい、剣を上段から振り下ろす!

割と抵抗なく剣が入り、肩口を切り裂く。

--グァァァァアアアア!!

狼が苦痛を叫ぶ。

骨まで達する手ごたえが伝わってきたら、剣をわざと止めた。

脚に溜めた魔力を開放!

槍の突撃チャージよろしく剣に体重を乗せ、押し込む!

一匹を貫いて、重なっていたもう一匹にまで剣が届く。


「まだまだぁ!!」


手に魔力を込め、斬り上げる!

貫かれていた一匹の体が宙を舞い、もう一体の肌を軽く裂いた。

俺はそのまま両手で剣の柄を持ち、跳躍。

魔力のアシストを受けて、急降下を敢行する。

超人的な動きからの兜割かぶとわりは、白狼の背中から喉を貫いた!

コヒュー・・・と、呼吸が喉の風穴から漏れる音が響く。


「・・・ふう。」

「タクムくん!!そいつまだ動ける!!」


狼が体を回転させ、剣から逃れ、俺に噛みつきかかる!


「いや、もうこいつは動けないよ、大丈夫。」


MPバーの少し下。

赤い状態異常(バッドステータス)のアイコン。

"致死毒(トキシン)"の表示が点滅していた。

白狼はゆっくりと膝を折り、そのHPバーは消滅する。


割とMPを使ってしまった。

刻々撃(ブレイド・バビン)』は脚、手、剣に魔力を溜めるから消費がでかいのだ、連撃技だし。

ボスと戦っている残り三人はどうなったかと、視線を送る。


--直後、銀雷ぎんらいとどろいた。

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