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転生したら世紀末だった  作者: シルル
4/6

DO☆GE☆ZA

『新世界』と、この手紙には書いてある。


この手紙を信じるのならば『地球』の俺はすでに死亡しており、このテンションのおかしい、頭のクソッタレな神様の気まぐれにより、『イグラ』という異世界に転生させられた――と、そういうことらしい。


なるほどなるほど。

なるなる、ほどほど。

なんともなしに腕組みをして数回頷いてみる。


「神様ってのはマジでいたのなー、ってのは早計か?」

 

本当に神だと仮定して、こんなに個性豊かだとは思いたくない。

俺はてっきり『ふぉっふぉっふぉ。わしが神じゃ』みたいな事を言うヒゲの長い爺さんだとばかり――いや、よそう。

神様とか考えるだけ不毛な気がする。

 

だが――、これは舐めてんのか。

 

なんだよ『あぶり出し』って。


とりあえず、もう一度だけ手紙の内容を確認し、ほかに新しい情報がない事を確認して封筒の中に戻す。


なにはともあれ、


「とりあえずここから出ますかね」


いつまでも馬小屋ハーレムの主を気取ってるわけにもいかないしな。

とりあえず外に出てみなけりゃ始まるものも始まらないさ。

そうだとも。

ポジティブに考えよう。


せっかくのセカンドライフだ。

どうせ始まるなら心の温まるハートフルラブストーリーであってほしい。

目指すはストロベリー100%のトラブルハーレム!


「扉扉~っとあそこか」


部屋の奥のほうに扉を発見! 

とりあえずは外にレッツラゴー!

あとは野となれ山となれってな。


鍵すらもついていないボロボロの木扉。

若干錆付いているノブに手をかけようとした、その時だった。


 


『ヒャッハーッ! 金と食い物、ついでに女ァ! 全部まとめて掻っ攫っちまえや、野郎ドモォオオオオオ!!!!』

 

『オオオオオオオオオオッ!!』

『任せとけや頭ァ』

『今夜はレッツ パーリィだぜえええええええ!!』

『ぶひゃあああああああ』

 

ドアノブにかけていた手が止まる。


そしてそっと引っ込める。

 

「……うん?」


おかしいなぁ。

幻聴かなぁ。


体中からへんな汁が吹き出してきてとまらないんだけど。


脳内では某世紀末伝説のオープニングが爆音で鳴り響いている。

恐らく俺の顔面表情筋は全力で引きつっていることだろうさ。

なに、見んでも分かる。

 

「神よ、これを俺にどうしろと」


まさか俺のステータスをバグらせて神拳使いにしてくれたわけでもあるまいに。

だってムキムキじゃないもの、北斗七星の弾痕も無いもの!


お父さん、お母さん。

新世界は既に世紀末を迎えておりました。

あまり尊敬しては無かったけど次回もし生まれ変わるなら地球がいいです。

勝手に死んでごめんなさい。

これからもう一度死んで帰還します。

さよなら『イグラ』。

さよなら愛しのハニーたち。

あとクソ神さま。

これから殴りこみに行くからちょっとまってろ。


「アーメン、ソーメン」


……あれ十字ってどうやってきるんだっけ?

あー駄目だこれ。 

なんかもういろいろ、終わってるわ。

 

そのときだった。

ガチャリコ、と何の前触れも無く扉が開いた。

ジャリっという世紀末の足音がすぐ傍で聞こえる。


「――ッ」


あ、やっべ、これマジで死んだわ。南無三。

せめてアホなこと考えてないで藁の中にでも隠れとくべきだったか。

 

だが、そんな俺の予想を裏切り、聞こえてきた声はヒャッハーな世紀末ボイスではなかった。


「アリサひとまずこの中に隠れておくんだっ! あとで必ず迎えに来る。必ず――」

 

「嫌ですお父様! 私も一緒に――」


「「「――え?」」」


ハモッた。

パーフェクトな完全一致! 


「え、えぇっと……」


とは動揺を隠しきれれない俺の声。


――うん。

唐突だけどここで一旦状況を整理しようか。


まず十字を切ろうとしたがよくわからず、まるでドラゴンボー○の悟○が気を探るかのようなポーズで立ち尽つくしている俺。

そして出入り口の敷居を挟んで正面。

ハゲでヤクザ顔のオッサン&ブロンドロングの超絶美少女が同じく唖然と立ってる。

今の会話から察するに親子だろうか。

涙でぐしゃぐちゃになった美少女が必死にオッサンの腕にしがみついている。

うらやましい。


二人の薄いブルーの瞳が俺に注がれる。


そして、

 

「「…………誰……?」」


再び二人同時にハモった。

あばばばばば。

ナニ!?

ナニこれどういう状況!? 

どう答えれば正解なの、教えてみのさん。ミリオネア!

 

はッ!

  

そのとき、俺の脳裏に電流が走った。

これだ、これしかない!

 

この危機的状況を脱するファイナルアンサー、それは、

 

「オ、オッス。オラ勇者。わくわくすっぞ」


「「…………」」

 

「まて今のなし。もっかい考えさせて」



今すぐ三秒前に戻って自分自身をオラオラしてやりたい



完全にやらかしてしまった。

俺は勇者でもなければサイ○人でもない一般人。

そう、言うなればスーパー地球人だ。

まかり間違って世紀末救世主にまで祭り上げられた日には命がいくつあっても足りない。


しかし、彼らの反応はそんな俺の想像とはまるで見当違いなものだった。


「ゆ、『勇者』、だと……!? なんてことだッ――! 私はどうなってもいい、だが娘だけは、娘の命だけはどうか」

 

ヤクザ顔のオッサンの顔が絶望に歪み、


「どうか、私はどうなっても構いません。お父様はお見逃しくださいーー!」


超絶美少女はその綺麗な髪や高そうなドレスが汚れるのも気にせず、地面に額を擦りつけはじめた。

あ、これ知ってるわ。

ジャパニーズDO☆GE☆ZAドゲザってやつだろ。


…………。

――うん?


「え、えーと、あの」


え。

なに、どいうこと?

なんで俺DO☆GE☆ZAされてんの!?


ワッツ!? 

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