0話 「お前フラッシュ投げるなら最初に言えよ‼‼‼ 殺すぞ‼‼‼」
第二次世界大戦が終戦して、丁度70年。
平和が訪れたと思われた日本だったが乾いた銃声が響き渡る。
「くそっ!! もう弾ないぞ!! どうすんだよ!?」
「落ちてるSRでも拾っておけよ。 ヘルスも無いだろお前」
「スナなんてどこに落ちてんだよ!?」
「味方のスナがAロングで死んでただろ? 拾いに行けばいいだろ」
俺がそういうとそいつは舌打ちしてAロングへ走って行った。
仕方ない…… たしかさっきのキルログだと敵の最終ポイントはA前。
今、Aロングに行けば置きスナに狙い撃ちされるだろう。
そうなれば後で何を言われるか……
俺はキーボードの「4」を押してフラッシュグレネードを取り出す。
フラッシュグレネードとは、投げて数秒後に爆発し周りの人間の視力と聴覚を奪う手りゅう弾である。
いくら置きスナといえども画面が見えてない状態で、敵を撃ち殺すほどプロゲーマーじゃないだろう。
よし、やってみるしかないな。
そう思いA前に向かってフラッシュグレネードを構える
「大体こんな感じか?」なんて言いながらピンを抜き、そのまま放り投げる。
遠くから「カンカン」というグレネードが地面をバウンドする音の後に「ピーン」という破裂音。
「うわっ!!」
ん? なんか聞こえたぞ……
そんな疑問の最中、スナイパーライフルの銃性が聞こえる。
確か味方の使っていたスナイパーはモシンナガン。銃声を言葉で表すなら「ぱぁ~ん」という甲高い音だ。
しかし、今聞こえた音は「ずごぉん」という音だ。 たぶんTPG-1だろうな……
ってことは敵の銃声か。
「メンダウン‼‼‼」
やばいぞ。 今ラジオで「メンダウン!!」って言ってないか?
「メンダウン」とは日本語にすると「見方がやられた」ということだ。
さっきまでの状況は味方が俺とあいつ。
敵がA前に居るであろう置きスナ。
そして、今聞こえた死亡報告。
つまり、あいつは死んだ。
いいやつだtt……
「お前フラッシュ投げるなら最初に言えよ‼‼‼ 殺すぞ‼‼‼」
死んだ人間の声が聞こえる。
あぁ~、俺は昔から霊感が強かったからなぁ~。
つまりは、あいつは俺の投げたフラッシュの巻き添えになって撃ち殺された。
罪悪感はあまりないが、あいつの為にもひと肌脱いでやるか。
「おい!! 聞いてんのかよ!! お前のせいで私は死んだんだぞ!? どうすんだよ!?」
「勝てばよかろうなのだ」
「お前はカー○かよ!!」
ホントこいつの守備範囲は意味が解らん。
女子高生がジ○ジ○の不思議な冒険を普通知っているのか?
世界は広いな。
「お前負けたら明日覚えておけよ」
「C4をAロングに落とした阿保に言われたくない」
「んだとっ!?」
なんて、呑気に話してる場合じゃないぞ。
相手は高倍率スナイパー。 俺は悲しみのアサルトライフル。しかも、AK47。
そして今いる場所はセンターロング。
さっきのフラッシュ投下で俺の居場所もばれているだろう。
残り時間は50秒。C4設置は確実に無理だろう。
つまり、一騎打ち。
相手リスポーンから遠回りしても足音を立てなければ間に合わないが、かといってAロングまで戻る時間もない。
なら、決め撃ちか。 ロングショットで。
無理だな。
さて、明日殴られる覚悟を決めるか。
と、試合の心配ではなく明日の心配をしてしまった。
「作戦は失敗した。ただちに帰投せよ」
試合の負けと明日の死刑が決定した。
スナイパーライフル:遠距離攻撃が得意な銃器。大口径で威力がピカイチ。
アサルトライフル:中距離が得意な銃器。連射ができる。
スナ SR:スナイパーライフルの略。
置きスナ:同じところにずっといるスナイパーライフルを持ったプレーヤー。
Aロング A前:FPSゲームでは通常、マップの構成は基本的にA設置場。センター(C)、B設置場の3大構成である。AロングとはA設置場に向かうまでの長い直線。A前とはA設置場の前。
キルログ:相手を殺したり、見方が殺されたりすると表示される画面。(大雑把)
最終ポイント:最後に該当プレーヤーがいたところ
C4:A、B設置場に設置する爆弾。テロリストはこれを設置場に設置すること、カウンターテロリストはC4爆弾を設置後に解体すること、もしくは相手を全滅させることがFPSの主な目的である。
こういう特殊用語は後書きで説明していきたいと思います。
ご観覧ありがとうございます。 よろしければ、これからもお付き合いください。