ぼくは君が死ぬのを待っている
ぼくは君が死ぬのを待っている
本気で小説を書いてない君が死ぬのを待っている
王道を適当に書いただけで評価された君が死ぬのを待っている
一度成功したくらいで偉そうに説教を垂れる君が死ぬのを待っている
世間知らずな読者を騙くらかしてオリジナルをうそぶく君が死ぬのを待っている
つまらないくせに面白いと評価されている君が死ぬのを待っている
君が自殺するのを待っている
友人と話すときでもどこか上から目線な口調の君が死ぬのを待っている
世間をバカにすることで優越感に浸る君が死ぬのを待っている
出来るのが当たり前だと思っている君が死ぬのを待っている
人前で感情を出さないからといってぼくのことを感情のない人間だと言いはなった君が死ぬのを待っている
不当にぼくの上にいる君が死ぬのを待っている
年下なのにぼくよりも出来ている君が死ぬのを待っている
君が死ぬのを待っている
君が書けなくなるのを待っている
軽い気持ちで書き始めて成功を抑えたものの、次回作のプレッシャーに押しつぶされてスランプに陥りファンからも見放され二度と小説が書けなくなるのを待っている
いつも通りにパソコンをつけたある日、なぜかまったくアイディアが出てこなくてそのうちのたうち回るのを待っている
こんなはずじゃないと奮い立ったのに、どれだけ書いてもやっぱり小説にならず己に無力さを感じるのを待っている
そのままベッドに沈みこんで、今日は調子が悪いだけだと体のいい言い訳を独りごちるのを待っている
それから明日になっても明後日になっても一週間がたっても一ヶ月がたってもずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとつまり一生書けないことに涙を流すのを待っている
今の君の全能感が未来の君を殺すその瞬間を待っている
ぼくの願いが叶えられ、君が無様に野垂れ死ぬのを待っている
笑っている君が、笑えなくなるのを待っている
笑えないぼくを、笑わせてくれるのを待っている
ただそれだけを待っている
ぼくは君が死ぬのを待っている
ゆえに
その時を見届けるまで、ぼくは決して死ねない
つまり
まだ負けられない