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白銀

サイフォン

「このあたりだな……カーク! この位置から魔導砲を撃て」


隊の先頭にいたサイフォンは立ち止まり、背負っていたクレイモアを抜きながらカークに怒鳴りつけた。


カーク

「こ…ここからッスか!? まだ山の中腹付近じゃないっスか…ここからじゃ、とても狙撃なんて出来ませんよ。ましてやニックさんの情報だと、山の頂上付近の洞窟に天竜はいるんすよ」


巨体なクレイモアを地面に突き刺して、サイフォンの魔導人形はカークを見ながら話す。


サイフォン

「バカ野郎…誰が当てろと言ったんだ? ドラゴンを怒らせて、ココに誘い込む為に撃つんだよ。…それともなにか? オメーは山の頂上付近のキツイ傾斜で、ドラゴンと戦うつもりか? それとも、ワザワザ洞窟に入って狭い暗闇の中で戦うのか? ここならそんな事はねぇ…自分達が有利な場所で戦うのは当然だろうが」


まだそこは山の中腹に位置していたが、見通しが良く、なだらかな傾斜であった。ベルマー王国の南の山脈は、火山ガスが地面から吹き出しており、山頂に向かうにつれて木々が少なくなり岩山だらけになっている。


カーク

「た…たしかに。じゃあ威嚇射撃を1発…」


サイフォン

「1発? 足りねぇよ…全弾撃ちこめ!…せっかく天竜に生まれ変わったんだ。俺たちで祝福してやろうじゃねぇか」


乱暴な言葉の後にニックの魔導人形は、山頂に向けて索敵を始める。

ニックから情報を受け取ったカークは、肩膝を地面につけて魔導砲を構えた。


カーク

「は…発射角度よし! 洞窟の入口付近に着弾させます………たぶん」


肩の魔導砲から連続して光が放たれた。全弾撃ち尽くした魔導砲から円形状の筒が金属音を響かせながら飛び出し、地面に転がる…カークは素早く腰に付けていた同じ円形状の筒を、同じ位置に装填した。


サイフォン

「フン…装填時間の方は早くなってきてるな。まーまーってトコか…ニック!ドラゴンはどうしている?」


ニック

「…洞窟の入口に全弾着弾し、入口は崩れています。ドラゴンは、いまだに奥に……いえ…反応値が更に上昇しています。反応が一点に集まって…うわっ!!」


驚くニックの声と共に、山の頂上からは爆発音が鳴り響いた。それは、カークが狙った洞窟の崩れた岩を吹き飛ばした音であった。


アリーシャ

「どうやら怒らせたようですね。天竜は我々に向かってくるでしょう…どうしますか?」


サイフォン

「…ニックの魔導人形を中心に零の型だ!まずはブレスで攻撃してくるだろう。そのまま攻撃してくるならカーク! 接近戦になるならニックだ!言っている意味は分かるな」


「了解!」


魔導人形達はニックを囲むように防御体制をとる。陣形の先頭にいるサイフォンはクレイモアを盾のように構え、カークは両腕を交差させ、アリーシャは2本の魔導刀を十字に構えた。


洞窟の入口を吹き飛ばして、空を飛んでいたドラゴンは、サイフォン達を目視で捕らえると上空から急降下しながらブレスを飛ばしてきた。

風の性質を持つ天竜のブレスは、大きな岩でも容易く砕く威力はあるが、全面に防御を集中させた魔導人形の強固な防御は崩せなかった。


天竜のブレスは、構えた魔導人形達が全面に作り出した魔導障壁に阻まれて弾かれていく…


カーク

「うっひゃあ!……なんとか…持ちこたえられますね。魔力を防御に集中させれば…それでも結構…ヤバそうッスけど」


ブレスが障壁に当たるたびに操縦席に強烈な震動が襲ってくる。

ドラゴンは空を飛び回り、強烈なブレスで絶え間なく攻撃してくる。


サイフォン

「野郎…空から降りてこねぇつもりだな。なら魔導砲で叩き落としてやるまでだ…カーク!出番だぞ……っと! なんだ…降りてきやがったな」


防御陣形をとる魔導人形たちの正面に天竜は翼を広げて降りてきた。

白銀に光る竜鱗は日の光に反射して輝き、蒼く光る目は敵対する魔導人形達を睨み付けていた。

その大きな口から低い唸り声をあげ、聞いた事が無い言語で話かけてきた。


「サォン…ルイストワデス、セイブフェア…サイフ…ルクソール」



カーク

「ルイスト?……アイツ、何か言ってますよ」


サイフォン

「……おそらく竜言語だろうよ。今じゃ通訳出来る奴なんかいねぇ。俺達の目的は奴のドラゴンストーンだ…何を言ってるか知らねぇが、ほっとけ…ニック! アリーシャ! 準備は出来てるな?」


ニック

「皆さん、魔光防御を願います! 魔光弾投擲!」


肩に装備された丸い玉をドラゴンに向かって投擲した。投げられた玉はドラゴンの目の前で弾け、強烈な閃光と共に思わず耳を塞ぎたくなる高い音を響かせた。

突然の光と音に天竜は目を閉じ、首を横にして

怯んでいる。


アリーシャ

「喰らえっ!」


2刀で怯んだドラゴンに飛びかかるアリーシャの魔導人形。刀を垂直に降り下ろしドラゴンの体を斬り裂こうとするが、天竜の白銀の鱗が硬く…深い傷は与える事は出来なかった。


アリーシャ

「チィッ!…魔導刀で、この程度の傷しか与えられないとは…」


サイフォン

「下がってろ!アリーシャ!」


素早くドラゴンから飛び退いたアリーシャの魔導人形の後に、サイフォンの魔導人形がクレイモアを横に構えながら走ってきた。

左足を地面に勢いよく踏みつけ、それを軸に巨大なクレイモアを右から横一線に斬りつけた。


アリーシャの攻撃により仰け反っていたドラゴンは、サイフォンのクレイモアをまともに受け、ドラゴンは地面に薙ぎ倒された。


カーク

「や…やりましたね!」


サイフォン

「…駄目だ。殺ってねぇ…天竜の鱗がこんなに硬いとはな。今のは吹き飛ばしただけだ、大して効いてねぇよ」


地面に倒れたドラゴンは目を開き魔導人形達を睨み付けると、ゆっくりと起き上がった。

蒼い目は鋭さを増し、喉をグルグルと鳴らしている。

日の光で白銀に輝く尻尾を振り、ドラゴンの後方にあった岩を砕いたのと同時に、空に向かって咆哮をあげた。


「グオォォーーーーッ!!!」


サイフォン

「やっこさん…そうとう頭にきてるらしいな。テメェら、本腰いれねぇと殺られちまうぞ。こっからが本番ってとこだ」


カーク

「マジてやばくないっすかね…」


ドラゴンは口を広げながら突進してくる…魔導人形達は零の型で迎え撃った。


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