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運命は変えるもの  作者: ひろぽんすけ
旅立つ者
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自分の心

「…おっ!?生き返ったのか?」


意識が自分の体に吸い込まれると俺は目覚めた。

身体は剣で傷つけられた跡は無くなっていた…それにしても、何故直ぐに生き返えらせてくれなかったのか。

おっと…こうしては考え事をしてはいられない。

薬を打たれたセラが村の場所を教えてるからな。


いやまて…今から村に戻っても遅いな。

アイツらは馬に乗っていた…ここからだと村までの距離は、そんなに無いから既に着いているだろう。


……村人を生け捕りにするとか言っていたな。


村のハーフエルフは希少価値が高いと言っていた…殺しはしないだろう…となれば充分に準備した方がいい。


俺は辺りを見回し、セラが殺した男達の装備を物色する事にした。


しかし…凄惨な光景だ。

血反吐を吐いて死んでいる者や、身体の一部が欠損している者もいる…一体どんな力で殴ればこうなるのだろう。俺はハイエルフの力というものに戦慄を覚えた。


皆、フードがめくれて地肌が露出しているが

…なんだってコイツらは肌が灰色なんだろうか?


まぁ…いっか。それでは失礼して


……自分と体格が似ている者を探し装備を物色する。

まずは身を守る物が必要だ。


倒れた男達は革で作られた鎧を着ていた。

これなら軽そうだし、俺にも装備出来そうだ!


えーと…あとは盾か。


鎧を剥ぎ取った男の傍に、斑模様の木目が特徴の「リーン」と呼ばれる丈夫な木で作られた盾が転がっていた。


家の材木にも重宝される軽くて丈夫な木だ。

これは持っておこう。

後は…使い方が全然分からないが、剣も貰っておこうか。


倒れた男達は、それぞれ剣の好みがあったのか色々な種類の剣を持っていた。

その中で、俺にも何とか使えそうな小振りの剣を拝借する。



しかし…やってる事が盗賊みたいだな。



気を取り直して俺は男達のフードを手に取った。

これがあれば、奴等の目を誤魔化せるからな…


モニカの力を使って生き返る事が出来ても、奴等には敵わないからな…こいつを被り、何とか村の皆を助け出すチャンスを見つけるつもりだ。


俺は奪った武具を装備し、村へと向かった。



村に着くと、すでに人々は村の中心である役場に集められ、奴等に見張られていた。

…30人以上はいるな。

こんな中に飛び込んで勝てる訳がない。


…ん?


俺を殺した奴はいないな…そして、セラもいない。

親父もまだ捕らえられて無いのか…見張られている中にいないぞ。

まさかとは思うが、教会にまだいるのかもしれないな…行ってみよう。


俺はフードを深くかぶり偽装すると奴等のフリをして村の北側へと向かった。

以外にバレないもんだな…難なく教会についた。


外から見ると教会自体に損傷はない…まだ奴等が来ていないのか?

俺は念のため裏口から教会に入った。

…食堂は荒らされた形跡は無い、祭壇があるホールに向かうとするか。



…ホールには人が倒れていた。


エイト

「っ親父!!」


親父のアレックスがうつ伏せになって倒れていた。 俺は駆け寄ると苦しそうに呻き声を上げている親父の身体を仰向けにする。

…両腕と両足は折られていて身体中はアザだらけだ。

生きているのが不思議なくらいに…


エイト

「親父!大丈夫か?しっかりしろ!」


声をかけると薄く目を開いて親父は俺を見た。


アレックス

「エイトか……よく無事で……ダークエルフ達が村を襲ってきた…私以外は皆捕まってしまったようだ」


エイト

「ダークエルフ?アイツらが…」


倒れた男達は皆、肌が灰色にだったな。

奴等はダークエルフだったのか。


アレックス

「お前には…謝らなくてはいかん。実は私達は人間ではない…ハーフエルフなのだ。奴等は…ハーフエルフである私達を狩ろうと村を襲ったのだろう」


エイト

「…知ってるよ。別に謝る必要は無いさ。ハーフエルフだろうが人間だろうが親父は俺の親父だ」


俺の言葉を聞くと親父の目に涙が零れ落ちた。


アレックス

「やはり…あの人の息子だな。私達に対して初めて優しく接してくれたのは…エイト…お前の本当の父と母だけだった」


エイト

「本当の親父とお袋だって?親父どういう事だ?知っているのか!?俺の両親の事を」


アレックス

「お前の両親から私はトール教を学んだのだ……だが…あの時…うぐ…ゴホっ!」


親父は苦しそうに咳をすると血を吐いた。

大量の鮮血…肺からの…これじゃあ


エイト

「…もういい。喋るな……血が…」


アレックス

「エイト……すまない……あの子を……セラを……守ってやってくれ……たのむ」


エイト

「わかったから喋るな!死んじまうぞ!」


アレックス

「……血は繋がっていない…が…本当の…息子と娘と……思って…育ててきた…エイト…セラ…お前達には幸せになって…欲しかっ…」


それが親父の最後の言葉だった。

眠るように静かに目を閉じて動かなくなった親父を抱き俺は涙を流した。


エイト

「親父…謝るのは俺の方だ。生き返って、すぐに村に行けば助けられたのかもしれないかったのに…俺は…クソッ!」


親父を静かに床に寝かせた。

腰に差した剣の柄を強く握りしめながら教会を後にする。


エイト

「…親父…俺がセラを守るよ…安心してくれ」


村の中心の役場へと俺は向かった。

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