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トラ・オブ・ラビリンス  作者: シード
第8話「正と邪の女神」
26/46

第8話「正と邪の女神。」5つめですね。

迷宮の旅人である、ガーネと猫のトラが織りなす、別世界での旅のお話です。

第8話「正と邪の女神。」5つめですね。のお話です。

この回では、緑の間で、ゴーレムのサドラスと戦います。


第8話「正と邪の女神。」5つめですね。


私たちは、大広間の中央に戻りました。

「さてと、これからどちらへ行く?」

おじいさんは、私たちに尋ねました。

「さっきも話し合った通り、特にこっちがいいという事も無いわ。

だから普通に、2番目の出入り口に進みましょう。」私はそう言いました。

「2番目じゃの。了解。」

おじいさんは私の意見を受け入れて、2番目の出入り口に進みます。

そこは、出入り口もその通路も緑色でした

赤の間と同様、幾らも経たないうちに別の広間に出ます。

「ここが緑の間というわけじゃな。」

私たちはレイグルに乗ったまま、その部屋の中央まで行くつもりでした。

ですが、部屋の中に入った途端、ガシンと音がして、床が崩れてしまったのです。

「ウワァ。」レイグルはそのまま、地の底に落ちて行きました。

暗くて何も判らない所を、ただひたすら落ちて行ったのです。

でも、それは時間にして、あっという間の出来事だったのでしょう。

「ザブーン。」気が付いてみたら、私たちのレイグルは水の中に落ちていました。

おじいさんはレイグルのライトを、全部点灯させました。

その結果、私たちは今、地下洞の湖に浮かんでいる事が判ったのです。

「ホバークラフト展開。」

おじいさんは車両を収納し、水上でも走れるホバークラフトを展開しました。

「格好いい。変形メカなのね。」「いやあ、なかなかいいんじゃないですか。」

モニターで映し出されている、機体変形動作にガーネとトラちゃんは大喜びです。

私は何度も見ていますし、その事自体に興味はありませんでした。

ただ、このおかげで助かったのは、間違いありません。

ですから、これを作ってくれたおじいさんに、あらためて感謝しました。

「おじいさん、子供の頃に見た子供番組のおかげですね。」


ホバークラフト化したレイグルは、順調に走行しました。

しばらくすると、岸を確認する事が出来たので、そこに降りて見ます。

「ここまで来てしまいましたが、この先どうしますか?」

ガーネはおじいさんに尋ねました。

「探索をしたいが、その前にこの湖の水質検査をしたいの。」

「えっ、おじいさん。それは何でですか?」

私はすぐに、周りの調査を始めるものとばかり思っていたのでした。

「今、レイグルの貯水槽にある水は、何度も再利用されておる。

もし、この湖の水が飲料用に耐える物なら、それと取り換えたいのじゃよ。

もちろん、品質は今の状態でも良好なのじゃが、いい機会なのでな。」

そうか。そうですよね。私は、このおじいさんの意見をもっともだと思いました。

良く考えてみれば前回、水を取り換えたのはかなり前の事です。

やはり、このあたりで換えた方が無難かもしれませんね。

「判りました。では、調べて見ましょう。」

私は水質検査器具を持って、湖の水を調べ始めました。

見た限りでは透明度も高く、とても清らかな水に思われます。

しばらくして、検査結果が出ました。

良好です。飲み水として、何の問題もありません。

私は早速、手ですくって飲みました。「美味しい。」その一言です。

私たちは、その場所でしばらくの間、休憩する事にしました。

その理由は、「泳ぎたい。」と私が言い出したからです。

こんな綺麗な水の中を泳げるなんて機会は、めったにありません。

私はためらう事無く、進言したのでした。

「やれやれ、判ったわい。

じゃが、その前に貯水タンクの水の入れ替えが先じゃ。」

おじいさんにそう言われ、しぶしぶ、それを待つ事にしました。

もっともその間、ただボーっとしていたわけではありません。

私はガーネにも手伝ってもらって、水筒や空きボトルなどに、水を補充します。

なんのかんのとやっている内に、貯水タンクの水の入れ替えも終わりました。

「さあ、泳ぎましょう。」

私とトラちゃんは、湖に潜りました。

一方、ガーネは、おじいさんの臨時の助手として、作業を手伝っています。

それまでは、私は、水着を着る機会なんて無いと思っていたのです。

ですが念のためと、持って来たのが幸いしました。


「ザブーン。」水しぶきを上げながら、私たちは湖に飛び込んだのです。

最初は、キャッキャッ言いながら、交互にかけ合って楽しんでいました。

トラちゃんは結構、泳げるようです。

私も、童心に返ったようにはしゃいでいました。

その後、透明度の高い水の中を泳いでいきます。

レイグルのライトが明るいのも、私たちには好都合でした。

ある程度の距離や深さまで、潜る事が出来るからです。

そんな範囲でも魚影が濃く、魚がいっぱい泳いでいます。

しかも、いい型が結構いるのです。

私は魚の手づかみを、試してみる事にします。

レイグルから要らないバケツを持ってきて、それに水を注ぎました。

これで準備完了。私は再び、湖に潜りました。

魚は私に対し、、何の警戒もしていないようです。

むしろ、向こうから寄って来さえします。

私は、寄って来た魚に手を伸ばしました。

すると、どうでしょう。何の苦労も無く、簡単に獲る事が出来たのです。

私はそれを用意したバケツの中に放り込みました。

トラちゃんも、魚の手づかみに参加します。

トラちゃんは鉤爪で魚を引っ掛け、口にくわえた後、岸に上がりました。

最初の一匹はその場で食べたようでしたが、それ以後はバケツに入れています。

みんなの協力もあり、あっという間にバケツをいっぱいにする事が出来たのです。


私たちはまだお昼を食べていませんでした。

いつもビスケットだけだったので、さすがに飽きてきています。

特に私とおじいさんは、この生活が長いのでなおさらです。

私たちは、レイグルからキャンプ用のコンロなどの料理器具を持ち出しました。

これも念のためと、持参しておいたのが幸いしたのです。

一回も使っていなかったので、燃料は十分。

私たちは水洗いして、内臓を取り去った後、焼き始めました。

時間が経つにつれて、焼き色も付き、油もうっすらと浮かんできます。

そろそろ、食べる頃合いと、火から降ろしました。

「頂きます。」全員で、その焼き魚をパクリと食べました。

「あっ、とても美味しいです。」とガーネ。「いいわね。これ。」とトラちゃん。

「うん、いい塩加減じゃ。」とおじいさん。

「久しぶりのお魚。美味しいわ。」と私。

水が綺麗なせいかも知れませんが、なかなかの美味しさでした。

ビスケット以外の物を、久しぶりに食べたせいもあったと思います。

そんなこんなで私たち全員、1匹も残す事無く、食べ尽くしたのでした。


腹が膨れた後、しばらく休憩をしました。

他愛も無い雑談をした後、後片付けを行ったのです。

さて、時刻はもう午後。そろそろ出発しましょう。

私たちは、レイグルに乗り込みます。

すると、おじいさんがこんな事を言い出しました。

「とりあえず、ジェミコを使って、この地下洞を調べてみよう。」

「ジェミコって何ですか?」ガーネはそう尋ねました。

「ジェット・ミニ・ヘリコプター、略してジェミコじゃ、

まぁ、小型無線探索機というところか。」

おじいさんはそう言って、傍らのBOXより、ジェミコを取り出します。

「これがジェミコじゃ。」

それは、両手で持てるぐらいの大きさのボールでした。

それをおじいさんは、左手側にある丸い引き出しを開けて、その中に入れます。

その引き出しを戻すと、カタンと音がしました。

「よし、射出じゃ。」おじいさんは近くにあるボタンの1つを押します。

すると、レイグルの上の方から、あのボールが空気圧で射出されました。

その後すぐにボールが変形し、プロペラが回り始めました。

「準備完了じゃ。」

おじいさんは、ジェミコ専用コントローラーを取り出し、操縦を始めました。

「ラジコンみたいなものなんですね。」

「見たいなでは無く、ラジコンそのものじゃよ。まぁ、高性能ではあるがの。

ガーネ、どうじゃ。ちょっと触ってみんか?」

「え、いいんですか。」

「構わん。ちょっとやそっとの操作で壊れるほど、柔な代物ではないのでな。」

おじいさんはそう言って、コントローラーをガーネに手渡します。

「これは...。2スティックタイプですね。これなら扱いやすそうです。」

「頼むぞ。ほれ、レーダーとモニターはこれじゃよ。」

レーダーもモニターも、コントローラーに装備されていました。

モニターは2つでした。

ジェミコ自身が映し出されている物と、ジェミコが映している物でした。

これらを見ながら、ガーネは操縦を始めます。

「ガーネ。どう?操縦出来そうなの?」

何だか楽しそうに、トラちゃんはガーネに話しかけていました。

「操縦だけなら、あのスカイダーと同じやり方みたいです。

なんとかやれそうですよ。」

ガーネも何故か、目をキラキラさせながら、モニターを見ていました。

何がそんなに嬉しいんでしょうね。

私はもともと、メカものには興味が無いので、ただ黙って見ているだけでした。

ジェミコはこの地下洞全体を次々と、私たちに目の前に映し出してくれます。

その結果、この湖が案外、大きい物だと判ったのです。

この地下洞を1通り調べた後、ジャミコに記録された映像を確認して見ます。

私たちはその映像の中に、大きな砂の山が映っているのを発見しました。

そしてその後ろに石壇があり、長方形型の箱らしき物が映っていたのです。

「ひょっとして、またお宝かも。」私は期待に胸が踊りました。


「発進!」レイグルは湖の上を走りました。

目的の岸にたどり着くと、おじいさんはホバークラフトを解除します。

そして今度は、キャタピラにて走行を開始したのです。

やがて、あの砂山が、私たちの目の前に現れました。

私たちは降りるために、シートベルトを外そうとした時です。

突然、その砂山が、高くせり上がり、大きな巨人の姿に変身しました。

「ゴーレム。あれはゴーレムだわ。」私はそう叫びました。

ゴーレムはドシンドシンと、地響きを立てながらこちらに向かって来ます。

「いかん。ここはひとまず退散じゃ。」

おじいさんは、ゴーレムを背に、急いでレイグルで逃げます。

幸い、ゴーレムはレイグルの走行速度に比べれば、かなり遅い歩みでした。

このまま逃げ回っていれば、多分追いつかれる事は無いでしょう。

「と言ってもじゃ。このままでは燃料切れになってしまわないとも限らん。

何とか早く手を打たねばな。」

おじいさんは運転をしながら、私たちに対策の検討を促しました。

「レミアさん。ゴーレムの事で、何か役に立つ情報はありませんか?」

「そうねぇ、無い事も無いわ。

但し、それは私が今、読んでいる本からの情報でしか無いの。

だから正しいかどうかは判らないけどね。」

「それでも構いません。どうか聞かせて下さい。」

「そうね。私たち、こういう事にはうといもの。

レミアお姉ちゃん、何か参考になる事があるなら、是非聞かせて。」

実際、事態は緊急を要します。

それは、レイグルのモニターや後部窓から外を見れば、一目瞭然です。

ためらっている場合ではありません。

「ゴーレムの身体は、魔術師が土や泥あるいは砂を利用して造ったものなの。

その身体に何枚か護符を貼りつける事によって、命が吹き込まれるというわけね。

ゴーレムを倒すには早い話が、その護符を破ってしまえばいいの。

事の真偽はともかく、そんな風に書かれてあったわ。」

私は若干得意げに、話をしていました。


人に何か教えると言うのは、結構気持ちがいいものだと気が付きました。

私、教職も採ろうかしら。

そして、ゆくゆくは考古学の教授にでもなろうかしらん。

私の思いは、既に未来へと羽ばたいておりました。

念のために言っておきますが、これは現実逃避ではありません。

ゴーレムに潰されるのではないかという、不安を払拭したいからではないのです。

その点は、誤解の無き様に。


「他に対策が無い以上、この説を信じるしか無いでしょう。

ゴーレムの護符を見つけて破きましょう。」ガーネはそう提案しました。

「そうね。他にどうしょうもないもの。」とトラちゃん。

「では、決まりじゃな。

ガーネ。先ほどと同じようにジェミコを操縦して、護符を見つけてくれ。」

「判りました。」

ガーネは手元にあったコントローラーを操縦して、ジェミコを操作しました。

「レミアさん。トラ。一緒にチェックをお願いします。」

ガーネから声がかかり、ひとまず私は、自分の将来設計を中断しました。

そしてトラちゃんと一緒に、モニターチェックをしたのです。

ジャミコは、追いかけてくるゴーレムに接近しました。

そしてゴーレムの頭から足までを、丹念にぐるぐると回ったのです。

「あっあそこ、...あそこもそうじゃない。...そしてあそこにも。」

運転中のおじいさんを除く全員が、必死でモニターを眺めていました。

護符が見つかる度に、それを記録したのです。

1通りのチェックを終わった結果、護符は3枚と判りました。

「首の右側の付け根、左足首の内側、

そして右腕の脇に隠れている胴体部分の3枚ですか。」

ガーネはそう言い、私たちもうなずきました。

「これで護符の場所は判りましたが、どうやってあの護符を破りましょうか?

レミアさん、何かいい考えはありますか?」

「もし、あの本に書いてある事が真実なら、火や水では駄目なの。

もちろんレーザーもね。」

「えっ、それは何故なんですか?」

「護符は、生きている物の手で無ければ破れないの。

それ以外だと、護符にかけられている力で跳ね返されてしまうの。」

「本当でしょうか?やってみる必要がありますね。」

ガーネは、レイグルで試してみる事を提案しました。

レイグルから、一番狙いやすい首の護符に、レーザーを命中させます。

すると護符が赤く輝き、レーザーを180度跳ね返したのです。

その結果、発射した後部のレーザー砲が破損してしまいました。

それをレイグルの乗っている全員が、モニターとその時の衝撃で確認したのです。

「ガーネ、今のは。」私の声は震えていました。

ガーネはうなずいて答えました。

「確かに、あれはラドムアの防御と全く同じです。

多分、護符どころか、あのゴーレム自体にもその力が備わっているのでは?

だとすれば武器を使っての攻撃は一切、出来ないでしょう。」

「レミアお姉ちゃんの言っていた事が、正しかったわけね。」

トラちゃんも、それが事実である事を認めました。

「自分が言いだした事なんだけど、まさか事実とはね。厄介な事になったわ。」

私は愚痴をこぼしました。

「大丈夫。あたしが行く。」

そう言って、前に進んだのはトラちゃんでした。

「でも、どうやって。」私は尋ねました。

「あのゴーレムを見てよ。身体は、石のブロックで構成されているわ。

私ならその間接部分を足がかりにして、身体中駆け回れる。

私は生き物だし、この鉤爪も私の身体の一部よ。

きっと全部の護符を破れると思うの。」

トラちゃんのこの言葉に、私は勇気づけられる思いでした。

「そうね。トラちゃんならうまくやれるかも。ガーネ、あなたはどう思う。」

多分、ガーネも賛成するだろうと思っていたのですが、その答えが意外でした。

「駄目ですね。絶対に出来ません。」

「あの、どうしてなのでしょうか?」「そうよ。何故なの?」

私とトラちゃんが、口々に尋ねました。

「トラ、あれを見てご覧なさい。」

ガーネがそう言って、指さしたのは後部窓です。

そこには追いかけてくる、ゴーレムの姿がありました。

「ゴーレムの走行速度は、確かにレイグルよりは遅いでしょう。

でも、それなりの速さで、迫って来ているのも事実です。

それに御覧なさい。

あのゴーレムが走る度に、砂が撒き散らされたり、戻ったりしているでしょう。

あんな状況下での移動は、あなたと言えども無理です。

トラ、あなたがあのゴーレムの身体の周りを、駆け回るにはね。

どうしても、ゴーレムの動きを停止させる必要があるんです。」

なるほどね、それはもっともだわ。私もそう思いました。

トラちゃんも頭をうなだれて、ため息をついています。

ガーネの意見が、正しいと思ったからでしょう。

「いや、あのゴーレムの動きを止める方法はあるぞよ。」

おじいさんが運転しながら、私たちの会話に入って来ました。

それにしても器用ね、このおじいさんは。もうお年でしょうに。

私もこれぐらいの器用さが欲しかったかも。私は切実にそう思いました。

「どうするつもりです。」とガーネ。

「左右のロボットアームに、ロボットハンドを装着する。

それで、あのゴーレムを押さえようと思う。」

「ええと、それってつまりロボットの手のような感じなんですか?」

「そうじゃ。人と同じ5本指での。あのゴーレムと一緒じゃよ。」

「大丈夫ですか。向こうの強さは半端じゃないと思いますが。」

「わしがこのレイグルを造ったんじゃ。わしを信用してもらおう。

ただ、燃料切れはまずい。早めに護符を破いてもらわんとな。」

おじいさんの言葉に、ガーネはうなずきました。

「それからじゃ。あと、こんなものを使ってみてはどうかの。」

おじいさんはそう言って、ガーネにある物を手渡しました。


「わぁーっ。面白い。」

トラちゃんは大喜びです。レイグルの中を、ガーネの操縦で飛び回っています。

今、トラちゃんの背中には、ジェミコが取り付けられています。

トラちゃんは、ジェミコの下部のダブルハンドで固定されていました。

「空飛ぶトラですか。

それにしても、よくこんな便利なオプションがありましたね。」

ガーネは感心していました。

「ジェミコは、単に探索機というだけでは無い。

小道具や薬箱を運搬したりするのにも、使われておる。

その際使用するのが、このダブルハンドでの。

これをジェミコに装着する事よって、運搬にも利用出来るようになったのじゃ。

以前、深い井戸に落ちた子猫を、助けるのにも使った事があっての。

これを使う事を思い付いたわけじゃ。」

「わーい。」トラちゃんは飛ぶ事が出来て、ご機嫌です。

実はおじいさんに、これを使って私も空を飛べないか、と打診した事があります。

ですが、その回答は短く、かつ残酷なものでした。

「重いのは、駄目じゃ。」

決して悪気があって、言っているので無い事は判ります。

ですが、私の繊細な心は、傷つけられました。

それ以来、この件に関して聞く事は、2度とありません。

今、そのジェミコを使って、トラちゃんが楽しそうに飛んでいます。

私はそれを見守りながら、うらやましさを募らせていました。

「そろそろ、練習はこのくらいでいいでしょう。」

ガーネは、トラちゃんを着陸させました。

「どうです、飛んだ感想は?怖くはありませんでしたか?」

「うーん。最初浮き上がった時は、少し不安だったわね。

でも、飛行が始まったら、後は楽しかったわ。」

なかなか、好評価のようです。

ガーネはトラちゃんの言葉を聞いて、決心したようでした。

「判りました。では、作戦を実行しましょう。」


「ゾア博士。ロボットハンドの装着は、どのくらいかかりますか?」

「もうやっておる。まもなく完了じゃよ。」

私はこの機会に、あのゴーレムの名前を決めようと思いました。

「ねぇ、あのゴーレム、何て言う名前にするの?

確か今回は、ガーネが名前を付ける順番だったわね。」

「えっ、そうでしたっけ。

ええと、それじゃあ、「サドラス」としましょう。

もちろん、名前に意味なんてありません。」

「了解です。」私は笑って、答えました。

おじいさんの言った通り、それから幾らも経たないうちに装着完了となりました。

「では、ロボットアームを動かすぞ。」

おじいさんは、左右のロボットアーム・ハンドが動くのを確認します。

その後、直ちにレイグルの機体を反転して、サドラスと対峙しました。

サドラスが力任せにこのレイグルをたたこうと、両腕を振りおろしてきます。

そこをレイグルのロボットアーム・ハンドが、がっしりと受け止めます。

互いの両手が組み合ったため、レイグルもサドラスも動けなくなりました。

「護符を破るのは今じゃ。」

ジェミコ+トラちゃんは、その言葉を合図に、レイグルの窓から飛び出しました。


最初に、左足の護符を破りました。

「まずは1個ね。」

トラちゃんの装着しているジェミコからは、モニター信号が送られています。

それにより、トラちゃんの様子は絶えず、こちらのモニターに映っています。

また声の送受信も可能なので、孤立してしまう事はありませんでした。

次は胴体に貼り付けている護符です。一番難易度が高い場所です。

右腕の付け根近くの胴体部分に貼られている為、隠れて破りにくい筈でした。

ですが、今はレイグルが、サドラスの腕を押さえつけています。

そのため、楽に破る事が出来たのです。

最後は、首筋にある護符です。これは簡単です。

肩の上に着陸して、楽に破る事が出来ました。

「はい、これでおしまい。」

トラちゃんは、私たちの方を振り向きました。

「あら、ライトの光に照らされて、トラちゃんの歯がキラリと光ったわ。」

「日頃の成果ですよ。」

私の言葉に、ガーネは何故か自慢げにそう言って、胸を張りました。

トラちゃんは全ての護符を破ったので、レイグルに戻ろうとしています。

とその時、足元がぐらつき出したのです。

3つの護符が破れて、サドラスが砂の状態に戻ろうとしていたのです。

「ガーネ。早く。」

トラちゃんの要請を受けて、ジェミコは、最速でレイグルに戻りました。

「ただいま。」

「お帰りなさい。お疲れ様でした。」私とガーネはトラちゃんをねぎらいます。

トラちゃんは、ホッとした様子で、窓の外を眺めました。

その時にはサドラスは、完全に砂と化した後だったのです。

その砂の一部はレイグルも被りましたが、故障する程ではありません。

ガーネは、トラちゃんをジェミコから外しました。

トラちゃんは、足を伸ばしたり、首を捻ったりしています。

「やっぱり、あれは重かったのね。取り外したら、身体が軽くなったわ。

でも、面白かった。」ご機嫌のトラちゃんでした。


砂が静まった頃、私たちは砂山の後ろにあった石壇に近寄りました。

その上にはジェミコの記録通りに、長方形型の箱が載っています。

ガーネは、そのふたに手をかけます。

重いふたでしたが、鍵がかかっている事も無く、あっさりと開きました。

「これは。」

そこには一本の剣が、納められています。

ガーネはその剣を取り出して、鞘を引き抜いてみました。

「おおっ。」全員でどよめきました。

その刃から発せられている光が、黄金色に輝いていたのです。

「これはすごいですね。」ガーネはその輝きに圧倒されていました。

「じゃが、光が激しすぎる。これは宝刀というよりは、魔法剣じゃろな。

魔法の力で、輝いておるのじゃろ。

さしずめ、これから攻略する場所で使うアイテムと言ったところか。」

おじいさんの意見には、私も賛成でした。

お宝というには、発せられる光の力が尋常では無かったからでした。

ガーネは、剣を鞘に戻すと、おじいさんに尋ねました。

「で、これはどうします。ここに置いておきましょうか?

それとも、持って帰りますか?」

私はおじいさんが答える前に、すかさず答えました。

「持って行きましょう。この先何が起こるか判りませんし。

必要となることが、あるかも知れません。」

私の意見に、おじいさんもうなずきます。

そしてしばらく、あたりを見回した後、こう言いました。

「多分、ここにあるお宝は、これぐらいじゃろうて。

そろそろ、上にあがるかの。」おじいさんは、そう言いました。

「そうですね。でもどうやって、上にあがりますか?」

「先ほど録った映像の中に、らせん状の上り坂を見つけたのじゃ。

そこに行こうと思う。」

レイグルに戻った私たちは、その記録を調べてみました。

確かに、ここから少し走ったところに、そんな風に見える場所がありました。

「ここに、こんな箱があると言う事は、出たり入ったり出来ると言う事ですね。

多分、あそこがその出入り口なんでしょう。

他には、めぼしいところも無いようですし。じゃあ、ここに行きましょう。」

私たちはこの場所まで、レイグルを走らせました。


「ここですね。」予想通り、幾らも走らないうちに目的地に着きました。

確かにらせん状の上り坂があります。

私たちはその坂に沿って、上にあがって行きます。

ですが、その坂道の最後になって、レイグルを停止させました。

目の前が、壁になっていたからです。

私たちはレイグルを降りて、その壁に近づきました。

「完全に塞がっていまね。これでは進めないでしょう。」

ガーネは、がっがりしたようでした。

「そうじゃな。これではどうしょうも無い。」とおじいさん。

「折角、出られると思ったのにな。」トラちゃんもがっかりしています。

ですが、私はハンドライトを点けて、その壁を丹念に調べました。

こんなところに壁があるのは、どうしても不自然に思えてならなかったのです。

案の定、その壁には細工が施されていました。

本来、開いていた場所に、石を積み上げて塞いだ後が残っていたのです。

私がその事を指摘すると、おじいさんはこう言いました。

「なるほどな。

多分、誰かがここに入っても、楽に抜け出せないように細工をしたのじゃな。

じゃが、そうと判れば、ここから出る方法はある。」

おじいさんは、そう言いました。

「いつもの力押しですね。」ガーネは、当然のように言いました。

「そうじゃ。じゃが、この岩盤はひょっとして、他より固いかもしれん。

念のため、レーザー砲で切り取ってしまおう。」

私たちはその言葉を受け入れて、レイグルに乗り込みました。

おじいさんは、引き出しからキーボードを取り出しました。

「どうするんです。」ガーネが尋ねました。

「いやなに。コントローラーでも、レーザーを操作出来るのじゃがな。

あらかじめ、プログラミングした方が綺麗に切り取れるでな。」

おじいさんはそう言って、データを打ち込み始めました。

しばらくして、打ち込みが終わったのでしょう。

最後に、そのキーボードの右側にある大きなキーをたたきました。

すると、レイグルに装備された4つのレーザー砲から、ビームが発射されました。

まるで図形を描くように、四角く焼いて切り取っていきます。

やがて、作業が終了したのでしょう。レーザーが止まりました。

「よし。じゃあ、行くぞ。」

「おぅ。」みんな片腕を高く上げました。

「♪♪邪魔する奴らはぶっ潰せ。」「♪♪あたしらいつでも力押し。」

「ドガン。バターン。」

あっけなく壁は内側へ倒れて、レイグルは、中に入る事が出来ました。

そこは、あの緑の間の側面だったのです。

私たちが落ちたあの穴も、ぽっかり開いたままです。

私たちはレイグルを降りて、中を探索しました。

すると、部屋の少し奥に、細長い箱があったのです。

それは、あの地下洞にあった、魔法剣を納めた箱と同じ大きさです。

そのふたも同じように、鍵がかかっておらず、簡単に開ける事が出来ました。

中は空っぽです。ですがそこにも、剣を納めるくぼみがあります。

「もしかしたら。」

ガーネはレイグルからあの魔法剣を持ってきて、そのくぼみに納めました。

すると、どこからか「ガチャ。」と音が聞こえてきたのです。

ガーネの足元を見ると、その箱の側面から、引き出しが現れました。

私は、その引き出しに入っている物を、取り出してみます。

それは、小さな箱でした。あの赤い秘石が入っていたものと同じです。

ただ、向こうは全体が赤色だったにも関わらず、今回は緑がかった色でした。

私たちは、その小箱以外にも何かあるかもと、緑の間を探索してみます。

ですが、他にはお宝はありません。

それ以上奥に行ける、出入り口もありません。

私たちは、その小箱を持って、レイグルに戻りました。

そして例のごとく、私の「出会い鍵」で、その箱を難なく開けたのです。

「あっ、やっぱり。」

そこにも秘石と思われる石が、納められていました。

但し、それは緑色に輝く秘石です。

「また、お宝を発見したようですね。」

私たちは、全員、顔を見合わせて、にっこりとうなずきます。

午前中に引き続き、本日2度目のお宝を手に入れる事が出来たのでした。


第8話「正と邪の女神。」5つめですね。(終)


今回のお話は、第8話「正と邪の女神。」の第5回です。

今回も、戦いが中心のお話です。


みなさん、体調は如何でしょうか?

暑さはともかく、湿気が多いです。

入力してても、手のひらや腕などから汗が...。


こちらは熱中症にもならず、何とか生きていますので、ご安心下さい。


なるだけ、1週間に1回ぐらいは、投稿したいのですがね。

今度はいつ頃になるのでしょうね。


気が向いたら、また続きを書いてみたいと思います。

では、また会える日を。See You Again.


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