5話 始まりまで
昨夜テオドミスとエリオットが出て行ってから一人で家の中に居たくなくていつも使っている鞄だけを持ち、突発的に家を出た。
友人のアリスに連絡をし、アリスの持ち家の一つのアパートメントで昨夜あった出来事をアリスに話した。
アリスはジュリアが家に帰りたくないことを悟っしてくれて家を提供してくれた。
「ジュリア。もうそんな男と別れたら?」
「ええ。分かってはいるのよ。でも、結婚当時を思い出すとまた、前に戻れる気がして…。」
「甘いわよ!あの男は絶対に浮気しているわよ!それに今回のあの新人モデルの件が済んだってまた同じことを繰り返すわよ!」
「……そうかしら?」
「そう!そうに決まってるわ!考えてもみなさい。貴方の旦那は世界の大富豪で色男と名高いあのテオドミスなのよ!結婚当時の愛妻家のほうが奇跡で今が元に戻っただけよ!」
「………。」
「それにそんな最悪な秘書も側にいるんじゃジュリア、貴方が不幸せになるわ。早めに別れたほうがいいわよ。テオドミスだってそのエリオットとかいう秘書を辞めさせるとかしないでしょ。」
「ええ。それはないと思うわ。テオドミスにとってエリオットは片腕といってもいいのよ。」
「なら決定的ね。別れなさい。」
「……考えるてみるわね。」
「離婚、決まったら教えて頂戴。良い弁護士を知っているから紹介してあげるわ。」
「アリス。ありがとう。」
「いいのよ。此処にも好きなだけ居て頂戴。ずっと使ってなくて困っていたのよ。貴方が使ってくれるんなら嬉しいわ。」
「本当に何から何までありがとう。」
テオドミスとの言い争いからテオドミスからの連絡もなく、そのまま別居、離婚調停へと向かった。