10話 出会い
どうしてこうなってしまったんだろうか。
あの時の自分は少しおかしくなっていたと思う。
テオドミスの浮気相手に今さら嫉妬なんかして心が冷静じゃなかったというのは言い分けになるだろうか。
今、ジュリアの目の前にはジュリアのエプロンを着た男がいた。
薄ピンクでフリフリのエプロンを付けながら鼻歌交じりで朝食を作っている。
男は今、ジュリアを悩ませている元凶であった。
「ジュリアさん、お願いがあります!」
男の真剣な顔にジュリアは戸惑った。
なぜだか胸がトクンと打ったような気がした。
それは期待だったのか、それとも不安を暗示させる予兆だったのか、それともまた、別の何かだったのかジュリアには分からなかった。
ただ、その時のジュリアには初対面のこの男の願いを例え何であったとしても何故だか叶えなくてはいけないと使命感だけがあった。
「あの…‥っ…あ‥あの!?厚かましいのは承知の上で云わせてください!!1ヶ月だけでいいんです。妻として一緒に住んで頂けないでしょうか?お願いします。」
ジュリアは唖然とした。たが男が言った提案はジュリアにとってとても魅力的に聞こえた。
今のジュリアの現状の中で一番の素晴らしいことのように。
「……はい。」
「……どうかお願いします。」
「はい。」
「ジュリアさん?」
「その話お受け致します。」
「……えっ。えーーー……本当に、本当ですか!?」
「はい。私決めました。アナタの妻になります。」
「……本当にいいんですか?」
「ええ、正し、条件があります。」