5話 招待状
・「王になる?」
小春は楽羅にそう聞き返す。
・「そそ。あのおっさんも言ってたろ?CUBEの力は王にもなれるって。あれはつまりCUBE持ちで争って1番を決めようぜって話しだろ?」
・「そうなのかなぁ?」
・「そうと決まればCUBE持ち探して片っ端からボコって行くか!!」
・「どうやって探すの?地球にどれだけの人間がいてそのうちCUBE持ちが何人いるかも分からないのに。」
・「うっ、それもそうだな……どしよ……」
・「はぁ……私が居て良かったね。」
・「どういう事だ。」
・「私の目的、CUBE持ちを探してた理由まだ言ってなかったでしょ?」
・「あっ、そういえばまだだったな。」
・「第二紅鏡機構、通称セカンド・ヘリオス これが私が所属している組織よ。」
・「第二紅鏡機構?」
・「意味は第二の太陽、つまりあの火星をイメージして、CUBEの力を制御、解明するために作られた組織なの。」
小春は空を指さしながら言った。そこには太陽とは別に光り輝く物体があった。
【火星】この時代の火星は赤く燃え上がっていた。104年前の超巨大隕石の衝突の際にそうなったのである。隕石の中心には特殊な粘質性の半液体の物質が入っておりそれが爆発の際に火星全体を包み込みさらにそこに火が引火したのである。そして100年経った今でもなお燃え続けている。地球ではこれを第二の太陽と呼ぶようになった。
【第二紅鏡機構】3年前、CUBEの力を解明するために、CUBE持ちと研究者が一緒になり組織した機関。
・「あのおっさん博士とは違うのか?」
・「ええ。全く別物よ。シュタイン博士は宇宙開発局、国単位で動いている組織なの。組織自体はアメリカにあるらしいけど恐らく色々な国が関わっているはず。一方、私達は同じ目的を持った者が集まった民間ってとこね。」
・「なんだ、じゃあちっちぇのか。」
・「そうね。でも小さいって言っても組織に属している人は1000人位はいるよ。部所も各国色々な所にあるの。私は日本支部だよ。」
・「うおっ、思ったよりでけぇな……。」
・「だから勘解由くん、私達の所に来ない?」
・「うーん。でも俺は王になりたいんだよね。ってことはお前達は敵だろ?」
・「そうかもしれないね。だったら私のことも殺す?」
・「…………それが必要ならな。…………でも今はそうは思わない。」
・「良かったぁー。じゃあ勘解由くんが私のこと好きになってくれたらずっとこのままでいられるねっ!」
・「はっ、はぁ?なんだそれ?俺たちさっき会ったばかりだぞ!」
・「愛は直感だよっ!時間じゃないよっ!」
・「……そんなん、分かんねぇよ。」
・「分かんねぇけど分かるんじゃない?」
小春はニヤニヤしながら言った。
・「分かんねぇよ!!!!」
楽羅は恥ずかしそうに言い返した。
・「……それに王には民が必要でしょ?」
・「なんだ?お前達が民になってくれるのか?」
・「かもしれないってこと。理解者は必要でしょ?私達と思想が合えばそうなる可能性もあるかもよ。私達は勘解由くんのCUBEを知りたい。勘解由くんは情報を得られる。WinWinだと思うんだ。」
・「まぁ、それもそうか。いいぜ。ついて行ってやるよ。ちょっとは楽しめそうだしな。」
・「なら決まりねっ!」
ピー!!
小春は小さな笛を吹く。
笛の音は人間に微かに聞こえる程の小さな音だった。
バサッ。
その音に反応するかのように鳩が飛んできた。
鳩は小春の腕にとまる。
そして口にくわえた黒い封筒の手紙を小春に渡した。
・「ありがとう。」
小春が鳩にそう伝えると鳩は飛んで行った。
・「なんだそれ?」
・「手紙だよ。組織の連絡をこうやって動物に手伝って貰っているの。」
・「この時代に伝書鳩かよ。」
・「この技術が進んだ時代だからこそだよ。ネットに1度でも情報を落とすと完全に消すことの方が難しいからね。CUBEの情報が少ないのもそういう事だよ。」
・「ふーん。そういうもんなんだ。」
小春は手紙を見ながら、
・「勘解由くん、良かったね。世界中のCUBE持ちが集まるみたいだよ。」
・「世界中の?」
・「さっきのニュース、シュタイン博士のあの映像はいわゆるお知らせ。そう!CUBE持ちにしか分からないパーティー開催の周知。っでこれがそのパーティーへの招待状ってわけ。」
・「パーティーって……。それはどこであるんだよ?アメリカか?」
・「いえ、違うみたい。……私もびっくり集合場所は……地球首都。」
・「はぁ?地球首都?あれは都市伝説なんだろ?」
・「うん、都市伝説。あれは世の中が勝手に付けた名前。……本当の名前は「感情の箱庭」。」
・「感情の箱庭……いかにも胡散臭い奴が付けそうな名前だな。」
・「でもこれで目的がはっきりしたね。私はCUBEの解明の為の情報収集、勘解由くんは王になる方法を探しに、だねっ!」
・「ああ、そうだな。」
・「目的地までは船で行くみたいなの。船は1週間後に出発みたいだから……詳細は後でメールで送るよ。勘解由くん、連絡先教えて。」
・「ん?俺スマホ持ってねぇよ。」
・「えっ?今の時代に?」
・「だって友達がいる訳でもねぇし、別に使わないからな。」
・「親とか家族はどうしてるの?」
・「親はいねぇ。俺が物心つく頃には死んだって。そう伝えられてる。」
・「伝えられてる?」
・「ああ。俺は父親の友人に育てて貰った。だから俺にとってはその人が家族みたいな存在かな。」
・「そっか……じゃあ、」
・「その人も死んだよ。篩氷病でね。」
・「………………。」
【篩氷病】4年前、地球復活の際に流行った病。身体の進化に適合出来ずに細胞が死滅していく病気。発症して1週間から半年で死に至らしめる。全人口の1割がこの病気を患った。
・「……だから俺は1人だ。…………っておい、そんな顔するなよっ、」
・「だって、だって、」
小春は楽羅の生い立ちを聞いて悲しい顔を浮かべていた。
・「だっ、大丈夫だからっ、別に俺みたいな奴世の中にはいっぱいいる。小春が悲しくなることはねぇよ。なっ?」
・「……う、うん。」
・「………………ってか、小春こそスマホってあの変な鳥で連絡取ってんじゃねぇのかよ?」
楽羅は無理矢理話題を変えた。
小春も切り替えるようにして答える。
・「あれは組織内で行ってるだけで普段はスマホとかパソコンとか使ってるよ。それにシュタイン博士にはこちらからネットで連絡したからね。宇宙開発局のホームページにCUBE持ちしか分からない内容の文言で書かれたページがあるの。そこにうちの組織の優秀なエンジニアがアクセスしたらさっきその返事が返ってきたてわけ。あの鳩ちゃんの手紙ね。そのエンジニアが鳩ちゃんに持たせてくれたの。」
・「つまり?」
・「色んな手段があるってこと。」
・「ふーん。なるほどねぇ。」
・「あー、その反応分かってないでしょ。…………じゃあこれ。はい、港の地図ね。1週間後のお昼の12時にここに集合ね。」
小春は地図を楽羅に渡した。
・「…………………………。」
・「ん?どうしたの?」
・「いや、現地集合?」
・「そうだけど……なんか都合が悪かった?」
・「……自分から言うのもあれだけど、仲間に紹介とかないのかなぁって…………。」
・「仲間?……ああ!第二紅鏡機構の日本支部は私とエンジニアの2人だけだよっ!」
・「はっ?」
・「ふふふっ、それに行くのは私だけだから!」
・「えっ?」
・「じゃあ!当日遅れないでねっ!」
小春はそう言って歩き出した。
・「ちょっ、それだけ?」
楽羅は少し戸惑いを見せる。
すると小春はクルッと楽羅の方に振り返り、
・「勘解由くん!楽しみにしてるねっ!でーとぉ!」
満面の笑みでそう言った。
・「はぁあああ?」
楽羅は少し顔を赤くしながら小春の背中を見送った。
1週間後。
港
・「ちょっと早く着きすぎたか。」
楽羅は地図に描かれた港に来ていた。
港には巨大な豪華客船が目に入る。
・「でっけぇなぁ!!!これで行くのか?」
すると横から男の声が聞こえてきた。
楽羅は気になり隣を振り向く。
・「あっ!」
その声に隣の男も楽羅の方を向いた。
・「あ?」
・「おいっ!てめぇがなんでいんだよ!!茜!!!」
そこに居たのはなんと乱獅子 茜だった。
ビュー……
カラッとした海風が2人に当たる。
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