4話 王
・「おいっ!!お前達そこで何をやっている!!!」
そう楽羅と小春に言ってきたのは警察だった。
先程の騒ぎを聞きつけて来たのだろう。
・「やばっ、警察かよ。逃げるぞ小春!」
ガシッ、
楽羅は小春の手首を掴んで走り出した。
・「ちょっ、ちょっと、勘解由くんっ、」
すると前には逃げ道を遮るようにパトカーが3台、待ち構えていた。
・「ちっ、……こっちだ!」
楽羅は路地へと入る。
・「待って!勘解由くんこの先はまた大通りに出ちゃうよ。」
・「なら……しっかり掴まっとけよ。小春。」
・「えっ?」
ガバッ…
楽羅は小春をお姫様抱っこのように抱き抱えた。
・「えっ?えっ?えっ?」
すると楽羅は路地の壁の室外機や突起にジャンプして飛び乗りぴょんぴょんと上へ上がって行く。
スタッ……
2人は建物の屋上へと出る。
楽羅はニヤリと笑う。
そしてその建物の屋上を勢い良く駆け抜けた。
・「ねぇ、まさか?ねぇ!ちょっと!嘘でしょ!」
・「はははっ!飛ぶぞっ!!」
・「きゃあぁああああ!!!!」
なんと楽羅は小春を抱えたまま高い建物の屋上から飛び降りたのだった。
辺りはすっかり暗くなっていた。街の光がキラキラと輝いている。
・「ほら綺麗だぞ!小春!」
・「そっ、そんなの見る余裕ないよぉおお!!!!」
2人は風を切りながら落ちていく。
ドスンッ!
華麗に着地を成功させる楽羅。
・「よし巻いたな。」
楽羅はその場に小春を下ろす。
すると小春はその場にへたり込んだ。
・「ホント有り得ない……あんな高いところから飛び降りるなんて……」
・「でも楽しかっただろ?」
・「……全然楽しくない。勘解由くんの基準に合わせないで。」
・「ははっ。悪かった、悪かった。」
・「てか、私別に悪いことしてないから逃げなくても良かったんだけど。」
・「だって小春には聞かないといけないことがあるし、それに俺を探してたって言ってただろ?」
・「そうだけど……。」
・「っで、そろそろ教えてくれよ。なんでCUBE持ちが命狙われるんだ?」
・「…………理由はあれだよ。」
そう言って小春は街頭の大きな液晶モニターを指さした。
・「あれ?」
モニターにはニュースが流れていた。
見出しは噂の都市伝説という題でニュースキャスター達がそれについて話をしている。
・「………昨今世界中で噂になっている都市伝説。「地球首都」これはいったいなんなのでしょう?」
・「世界には196か国の国が存在しますが、なんともうひとつ我々が認知できていない幻の国が存在する。それが地球首都です。」
・「国ですか?そんな大きなものが見つからないなんてありますかね。」
・「にわかには信じ難いですよね。」
・「それでその国は、何をしようとしているのでしょうか?」
・「世界統合、絶対王政。つまり、地球を私物化、独裁を目的としいてるのではないかと密かに囁かれています。……それでついた名前が地球首都なんです。」
・「うーん。そんな事できるんでしょうか?誰がどのようにそれを行おうとしているかはわかりませんが神様にでもなりたいのですかね?」
・「そうですねー。この噂、最初は誰も信じていないただのネットの作り話と言われていたんですよ。ですが最近この噂の信憑性が高くなってきた2つの理由があるんですよ。」
・「2つの理由?」
・「はい。私達人類が地球滅亡後に進化したのは言うまでもありませんが、一部さらに特別な変化をもたらした人間がいると言われていて、その人間の目撃情報があるんですよ。」
・「特別な変化ですか?」
・「それは人智を超えた魔法のような力であると。あの1年前にイギリスで起こった集団失踪事件、解決していないあの事件もその力によるものではないかと言われています。他にも各国で不可解な事例が起こってますが全て詳細が分からないのです。この謎の人物達が地球首都に住んでいるのでは?と。」
・「なるほど。もしかするとそのような事件が繋がっているのかもしれませんね。それでは2つ目はなんでしょうか?」
・「はい。なんとあのアメリカの宇宙開発局の天才化学者シュタイン博士が全世界に向けてのメッセージを発表しました。いきなり発表したこのメッセージには謎が多く地球首都について示唆しているのではと一部で考察されております。」
・「今日はそのメッセージを番組で放映いたします。それではこちらをどうぞ……。」
ニュースの画面は切り替わり、画面にはシュタイン博士が映し出された。
・「おはよう、人間諸君。今日はちょっとした雑談をしに来た。なに、ただ私の研究の途中経過を話そうと思っただけだ。私はずっとエネルギーについて研究を進めている。今もなおだ。エネルギーとは素晴らしいものでね、これが大きければ大きい程比例して新たな発見がある。そして私はとあるエネルギーに注目した。それが人間の「感情」だ。……ん?非科学的?何を言っている、この世に非科学的なものなんて存在しない。なぜなら人間の想像するものは全てエネルギーさえあればなんでもできるのだから。……人間の想像力は神をも超える。それが感情であり、感情は宇宙よりも膨大である。つまりこれこそロマンだ。ロマンを追い求めよ。……さすれば王にだってなれるだろう。……話はこれで終わりだ。…………新たな世界の扉は開かれた。CUBEの導きがあらんことを。では。」
プツン……
ここでシュタイン博士の映像は切れた。
画面は切り替わりニュースキャスターの映像に戻った。
・「うーん。なんとも謎に包まれたメッセージでしたね。」
・「そうですね。エネルギーの研究。これをしているというのはわかるのですが次第に言っている事が難しく感じましたね。それに最後のCUBEという発言。これはいったいなんなんでしょうね。」
・「確かに地球首都とCUBEこの謎の言葉達を結びつけたくもなりますよね。」
・「まぁ、全ては噂の範囲ですからね。あることないこと全部鵜呑みにはせず、正しい情報を追っていきたいですね。」
・「そうですね。…噂の都市伝説についてでした。…………それでは続いてのニュースです。渋谷駅に新たに……………………………………。」
・「ふーん。なるほどね、あれは俺達に向けたメッセージって事ね。」
楽羅はニュースを見終えて小春にそう聞いた。
・「そういうこと。」
・「あの胡散臭いおっさんの口振りからして、CUBEの力でなにかしようとしているのは確かだな。」
・「…………。」
小春は少し黙り込んだ。
・「ん?」
そして再び話し出した。
・「…………CUBEの力、あれ奪う事ができるの。」
神妙な面持ちの小春。
それに対して楽羅は、
・「ははっ!だからか。だから茜は俺を殺そうとしたのか。」
笑って呑気に答えた。
・「そうかもね。でもどうやって奪うかまでは私は知らないわ。」
・「茜は俺を殺そうとしてたから、殺したら奪えんじゃね?」
・「どうだろうね?でも1つ分かっていることは、CUBEを奪ってもCUBEの能力は引き継ぐことは出来ないらしいの。」
・「じゃあ何のために盗るんだ?」
・「能力は使えなくても、自分のCUBEエネルギーが増えるの。」
・「CUBEエネルギー?」
・「要は能力を使うための源。これが大きくなれば、能力の幅も広がるから。」
・「はーん。分かってきた。分からんけど分かった。つまり力が欲しいならCUBEを集めろって事だろ?」
・「そうかもね。シュタイン博士の本当の目的は分からないけど、CUBEのエネルギーを集めると莫大な力になることは確かみたいね。」
・「面白そうだな……これは楽しくなるな!!!よし!決めた!!!」
・「決めた?」
小春は不思議そうに楽羅の顔を見る。
・「俺はこの世界を統べる王になる。」
決意なのか思いつきなのか。
はたまた突如芽生えた、夢か野望か。
これが、この気持ちが何なのかは分からないが楽羅は直感していた。これが自分の目指す道だと。
その表情から心を踊らせているのが見て取れる。
まるで新しいオモチャを見つけた子供のように…………。
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