3話 怒りと挨拶
【音樂】楽観のCUBEの能力。相手の攻撃を完全に見切り間合いが合致することにより威力を相殺する。この時ズレが生じた場合は能力は発動しない。更に合致する間隔が寸分狂わずピッタリだった場合、相手の威力を載せて跳ね返す事ができる。
・「あー。痛ってー。」
天を仰いで倒れていた茜は、だるそうにゆっくりと立ち上がり、
ドゴンッ!!!!
近くにあった自動販売機を殴った。
自動販売機はグシャッと大きくへこみ、そこからは飲み物の液体が流れ出る。
・「っだよなぁ。俺つぇーよなぁ。なんでアイツに効かねぇんだ?…………あー、イライラするわ。」
・「なんだ?もう終わりかよ!威勢だけは良かったな!もっと遊んでやってもいいんだぜ!」
楽羅は煽るように言った。
それを聞いた茜は、
・「……完全っにキレた。全身の骨ボキボキに砕いてやるよ。」
・「ははっ!来いよ!あかねぇええええ!!!」
・「後悔させてやるよ!らくらぁあああ!!!」
2人はお互いに向かって走り出した。
すると2人の間に人影が。
・「はぁーーーーーーーい!!!!!」
なんと小春が割り込んできたのだ。
・「うぉっ!!!」
・「なんだ?!!!」
2人は咄嗟に動きを止めた。その反動で体のバランスを崩し少しよろける。
・「はいっ!!!終わりぃいいい!!!!」
・「……止めんなよ。小春。」
・「おまえには関係ねぇだろ、女。」
・「何言ってるの?そんな傷で動いて言い訳ないでしょ。」
そう言いながら小春は楽羅の横腹に指でツンッと触れる。
・「痛っ、」
・「ほら、折れてる。…………それに茜くんっていったっけ?その腕、筋繊維がボロボロでしょ。」
・「…………ちっ、」
茜は図星だったため言い返す事が出来ず舌打ちをした。
・「勘解由くん、動かないでね。」
・「あ?」
ちゅっ。
小春はいきなり楽羅の頬にキスをした。
・「(えっ?)」
楽羅は突然のことに驚き、時が止まったかのように動けなかった。
それを見ていた茜は、
・「はぁ、興醒めだ。いったい俺は何を見せられてんだよ!」
イラつきを見せながら振り返り歩き出した。
・「待って。」
小春は茜を追いかけて、
ガシッ。
腰の辺りに腕を回して抱きついた。
・「はぁ?!!!なにすんだっ、てめっ、」
・「いいから!……いいから動かないで。」
・「……………………。」
茜はイライラが沸点に達していたが小春の抱擁により急に心が落ち着いた。背中からは小春の体温が伝わって来るのがわかる。この温もりに少しだけドキドキした。
スッ……
小春は腕を解いて、
・「はい。お終い。…………2人とももう痛くないでしょ?」
楽羅と茜は自分の体を触って確かめた。
・「……確かに痛くねぇ。」
・「……いったい何したんだ?」
・「私のCUBEの能力だよ。私が愛情を持って触れることで怪我や傷を治すことが出来るの。…………ってことで、」
小春は茜の手を引っ張り、
・「おいっ、」
強引に楽羅の元に連れていく。
・「はいっ!」
・「はいって……」
・「あ、く、しゅぅうう。握手して!」
・「なんで俺がこいつなんかと……」
・「いいからっ!!」
小春は無理やり楽羅と茜の手を引っ張って握手をさせた。
・「はい!これで仲直り!2人ともごめんね言って。」
・「はぁ?!!俺は喧嘩売られた方なんだぞ!なんで俺が謝らないとっ、」
・「すまん。」
・「はっ?」
茜は楽羅にすんなりと謝った。
・「あっ、まっ、まぁ別に良いけど……」
楽羅はその素直さに調子を狂わされていた。
・「お前も謝れよ……」
・「はっ?」
・「おめぇも謝れっつってんだよぉおお!!挨拶とか詫びは大事だって言っただろうがよぉお!!!!」
・「だぁかぁらぁああ!!!さっきからてめぇはどこにキレてんだよぉおお!!!悪かったよぉお!!すまねぇなぁあああ!!!!これでいいか?ああ?」
・「ああ。それで良い。」
茜は急にスンッと素の表情に戻る。
・「(……なんだコイツは?情緒どうなってんだ?)」
楽羅は茜の怒りっぽいのに礼儀正しいそんなところを目の当たりにして、なんだか不思議な感覚に襲われて戸惑い理解できないでいた。
・「良かったぁ!これで仲直りだねっ!」
・「……えっと、こはるさんだっけ……」
・「小春でいいよっ!」
・「……その小春、ありがとな。傷治してくれて。」
・「うん!!お安い御用だよ!!」
小春は茜に返事をした後に楽羅の方を振り向いてニンマリと笑顔をみせた。
楽羅は照れくさそうに、
・「わーったよ。あっ、ありがとな。」
・「ふふっ、どういたしまして!」
・「じゃあ俺はもう行くわ。」
そう言って茜はどこかへ歩いて去って行った。
去って行く茜の後ろ姿を見送る楽羅と小春。
・「…………なぁ?俺、今殺されそうになったんだよな?」
・「そうだね。」
・「はぁ、なんか調子狂うなホントに。」
・「でも楽しそうだったじゃん!」
・「………………ああ。なんだろうな。このCUBEを通して楽しさが伝わってくるっていうか、わくわくすんだよな。」
・「勘解由くん、CUBEの力使えたんだね。」
・「何となくな。今までは何となくだったけど、「楽しい」を具現化できるんだ。でも今日、明らかな変化があった。CUBEの名前を知って、そして茜のあの1発を貰った瞬間、脳に電撃が走ったような感覚ってか、分からないけどなんかが分かった。」
・「ふふっ、またそれ。変な言葉ー。」
・「それにしても小春の能力は凄いな。あんな傷を治すなんて。」
・「まーねー。でも流石に死んだ人間を生き返すなんてことはできないよ。万能じゃないから。それに色々と条件もあるしね。」
・「へぇーそうなんだ。………………ってかさっきの、」
・「さっきの?」
・「………茜はハグだっただろ。なんで俺には…………。」
楽羅は少し恥ずかしそうに聞く。
小春はその楽羅の顔を見て口に手を当てながらニヤニヤした表情をする。
そして数歩前に歩いた後振り返り、
・「えへへ。ないしょっ!」
小春は満面の笑みでそう言った。
風になびく髪の毛。夕焼けにに照らされたその天真爛漫な笑顔はまるで名前の通りの小さな春のようだった。
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