27話 広がる恐怖
悲惨な光景だった。
飛び散った血液。
ゆっくり広がる血溜まり。
無造作に転がる5つの死体。
そこはまるで恐怖に包まれる地獄のようであった。
・「許せねぇ。あんなのが許されていいわけ……」
・「落ち着け、楽羅。」
今にもゾディアの前に飛び出して行きそうな楽羅を茜が落ち着かせる。
・「だがよぉ!」
・「落ち着けっ!!」
強い口調の茜。
楽羅が茜を見ると、茜はゾディアを凝視していた。
少しでも異変が有れば対処できるように。
緊張と警戒がこちらにも伝わってくる。
そして、茜のその姿が震えてるのがわかる。
・「(茜……。)」
・「はぁはぁはぁはぁ……。」
茜の呼吸が少し荒い。でも決して悟られてはいけないと浅く浅く息を吸っていた。
血溜まりの上に優雅に立つゾディア。
それを柱の陰から監視する楽羅と茜。
そんな中、ゾディアがひとりでに喋りだした。
・「やはり死とは素晴らしい!!見てください、パニーさんのこの顔を。」
ゾディアは転がるパニーの頭を踏みつけ顔を上へ向ける。
・「こんなに安らかな顔をしております。きっときっと、早く1秒でも早く死にたかったのでしょう。周りの方達も同じですね。自ら死を選んだ。そう!つまり死は解放なのです!!!」
・「私の「恐怖のCUBE」はですね、たいしたことないのですよ。私のCUBEの能力「命の収穫者」は私を見た者、私の声を聞いた者、私の匂いを嗅いだ者、私を記憶した者、私の名を知った者、私の事を考えた者、私を感じた者、全てに、恐怖を「伝染」させるのです。……私との距離、敢えてこう言いましょう。私との心と心の距離が近くなればなるほど恐怖が増大していくのです。ですが、たったこれだけです。たったのこれだけなのです。ほら全然大したこと有りませんでしょ?だから、ほら、そんなに怖がらないでください、」
・「楽羅さん。茜さん。」
・「!!!!!!!!!」
・「!!!!!!!!!」
楽羅と茜は驚いた。
突然名を呼ばれたことに。
心臓が飛び出そうになるほど。
・「くそっ、バレていた?どうする茜?」
・「やばいな、やばすぎる。」
2人の心臓の鼓動が速くなる。
・「気づかないとでも思っていましたか?」
ゾディアは大きな声で楽羅と茜が聞きやすいように話す。
・「正道組が我々のことを探っているのも知っていますし。それに。楽羅さんと茜さんは密かに噂になっているんです。上質なCUBEだってね。あはははははは!!!!欲しいなぁ。欲しいなぁあ!!!そのCUBE!!」
・「茜!!俺はやるぞ!!もうバレてんだ!!今ここでぶっ倒してやる!!」
・「楽羅……」
・「もう邪魔すんじゃねぇ!!」
・「楽羅っ!!!!」
楽羅は驚いた顔で茜を見る。
・「頼む。……楽羅、頼む。今は退いてくれ。」
茜は真っ直ぐと楽羅の目を見ていた。
こんな茜は初めてだった。
いつもの怒りっぽく、だが冷静で堂々としている姿はそこにはなく、少し怯えている様にも感じた。
・「わっ、わかった。」
楽羅は真剣なその茜の眼差しに断ることが出来なかった。
・「ありがとう。」
茜はそう一言。
ベチャッ……ベチャッ……
ゾディアの足音が鳴り出す。
ベチャッ……コツ……コツ……コツ……、
どんどんと近づいてくる。
・「楽羅、一気に逃げるぞ。俺が床を破壊する。」
・「わかった。」
茜が拳を握る。
だがその手は震えていた。
それを見た楽羅は、
パァン!!!
茜の背中を手のひらで叩いた。
・「大丈夫だ茜。」
・「ああ、すまねぇ。…………もう大丈夫。行くぞ!!!」
・「おう!」
・「破壊の腕!!」
ドゴンッ!!!!!!!
茜は思いっきり床を殴った。
崩壊する建物。
落ちていく2人。
ガラガラ……ガラ……
コツ……コツ。
ゾディアの足音が止まる。
・「逃げられてしまいましたか。またお会いしましょうね。」
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