26話 液
・「おい茜、今ゾディアって言ったぞ。」
・「ああ。まさかこんな大物が釣れるとはな。」
楽羅と茜は柱の陰でコソコソと会話をする。
・「どうする?突撃か?」
・「いや、まだもう少し様子を見よう。なんか嫌な予感がする。」
・「これはこれはゾディアさん。まさかあんたみたいな人が来てくれるとはね。」
パニーが少し偉そうに上から言う。
・「いえね。パニーさんが来るって言うのを聞きましたから。是非会いたくて。」
ゾディアは胡散臭い笑顔を浮かべながら答えた。
・「ほう?俺に会いたかった?何故だ?」
・「それは後ほど……。それよりCSSの使い心地はどうですか?」
・「いやー、最っ高だね!これがあればなんでもできそうな気分になるんだ。今なら正道組の竜胆に復讐できる。」
・「復讐ですか?」
・「ああ!俺はチグハグのかたきをとらなくちゃならねぇ。今のチグハグは負け犬も同然。目も当てられねぇ。ボスを取り戻す。……いや、友として前のように戻りたいんだ。」
・「友情ですか。実にどうでもいい。」
・「はっ?」
パニーの表情に苛つきが見える。
・「私はですね、友情とか愛情とかそう言ったものが大嫌いなんです。そんなものがあるから人間は繁殖し続けるんです。生き続けるんです。」
・「何言ってんだ?」
・「私は見てみたいんです。地球の全人間が死ぬところを。「死」が蔓延した世界を。」
・「まじで狂ってんだな。」
・「死とは素晴らしい!なのに、何故か人間はそれに抗おうとする。病気を治し、怪我を治療し、寿命を伸ばす。さっさと死ねばいいのに!!…………それだけでは飽き足らず、子を産み繁殖する姿はほんとに滑稽です。まるでゴキブリの様だ。子孫を残す?それに意味はあるのですか?やがて自らは死に消えて無くなるのに。死んでも尚、死に抗おうとするなんて許されない行為だ!!!」
・「ははっ、やばいなお前。」
パニーは顔を引き攣らせていた。
・「それほどでも。」
・「褒めてねーよ。お前がとんだイカレ野郎だと言うことはわかった。」
・「だったらどうするのですか?」
・「まぁ、このまま帰ってもいいが、それだと薬が手に入らない。だったらここで始末してCSSを奪うとしよう。」
・「始末?それは殺すということですね。なんとありがたいことでしょう。ですがね私はまだ死ねないのです。私が死ぬのは人類の最後を見届けた後ですから。」
・「はっ!ごちゃごちゃと都合が良いなぁ!!てめぇはよぉお!!!」
チャキッ……
パニーはポケットから折りたたみナイフを取り出した。
そして飛びかかろうとする。
しかし……
・「おや?どうしたのですか?」
・「(なんだこれ?動けねぇ。まるで金縛りにあったみたいだ。)」
パニーはナイフを振り上げたまま固まったように動けなくなった。
・「そのナイフはなんの為に出したのですか?」
ゾディアはゆっくりとパニーに近づく。
・「まっ、まってくれ!なんだこれ!……おいっ!お前ら助けろよ!」
パニーは近づいてくるゾディアに震えながら仲間達に声をかける。
・「ぱっ、パニー。すまねぇ俺らも動けないんだ。」
なんと後ろの仲間4人も動けなくなっていたのだ。
パニーの体はプルプルと震えていた。
ゾディアはパニーの目の前までやってきた。
・「おいっ、おい何するつもりだ!」
・「ふふっ……」
ゾディアは笑いながら、
グサッ!!!!
なんとパニーの目に注射器の針を刺した。
・「うぁあああ!!!!!!!!」
パニーは目を抑えながら膝をついて痛がった。
・「なんだ動けるじゃないですか。」
・「パニー!!!」
・「パニーさん!!!」
仲間の心配する声。
だが仲間達はまだ動けないでいた。
・「おいっ!あいつ刺しやがったぞ!!」
・「分かってる!!」
楽羅と茜は目の前で起こったことに驚き狼狽えていた。
・「どうしたのです?パニーさん。あなたが欲しがっていた薬ですよ。」
・「はぁはぁはぁはぁ……」
パニーは息を荒くしながらゾディアを睨みつけた。
・「ああ。目が見えなくなったのですか。大丈夫ですよ、目は2つ有るんですから。」
・「はぁはぁはぁはぁ………………」
パニーは睨み続ける。
・「うーん。何か言ったらどうですか?聞こえてないのですか?なら……、」
ゾディアはパニーが落としたナイフを広い上げ、
ザシュッ!!!
・「こんな耳要らないですよね?」
・「うぁあああ!!!!!!」
片方の耳を切り落とした。
・「大袈裟ですね。だから大丈夫ですって耳も2つ有りますから。」
・「やめて。やめて。やめて…………」
パニーはか細いい声で懇願した。
・「嫌なら逃げてもいいのですよ。……あっ、逃げられないのか。実はさっき私、間違ってCSSではなくて筋弛緩剤を打ち込んじゃいましたから。今度こそちゃんと動けないでしょ?私が調合した特別製ですよ。」
・「痛い……痛い…痛い痛い痛い……、」
パニーは耳と目から血が流れ出る。
パニーの足元には血溜まりができていた。
・「あちゃー。凄い血ですね。」
トスッ!!
・「うっ、」
ゾディアは注射器をパニーの首に刺した。
・「止血剤です。あっ、治療行為では無いですよ。まだ話の途中ですから。」
・「………………………………。」
パニーは膝をついたままぐったりとしている。
・「あれ?意識を失ったのですか?だからまだ話の途中だと言ってるでしょう……が!!!!!」
グチャッ!!!
ゾディアはパニーの股間を思いっきり踏みつけた。
何かが潰れる嫌な音が聞こえる。
・「うんぐぅ!!!」
パニーは声にならない声で悶え苦しんだ。
・「大丈夫。大丈夫。2つ有りますか……あっ、生殖器はい1つしか有りませんでしたね。あら残念。これで二度とSEXできなくなっちゃいましたね。でもいいじゃないですか。繁殖なんてやめた方が良いですよ。」
・「(おいおい、何なんだあいつ。ヤバすぎるだろ。)」
楽羅と茜はこの悲惨な状況に声が出なかった。
いや、本能的に声を押し殺していたのだった。
・「や……め…て………………」
パニーの姿は惨たらしかった。
目と首には注射器が刺さり、片耳は無くなり、玉は潰されている。
・「おや?起きましたか、まったく。パニーさん私はあなたに会いたかったと言ったじゃないですか。理由はですね…………あなたの「CUBE」が欲しかったからです。用心深いあなたですから、ここまで回りくどいやり方をしました。もう分かってるでしょう?CSSの正体。それは薄めた「CUBE」です。薄めてる、だからあんなにも粗悪なんですよ。そして知っていますか?CUBEを奪う方法を。」
ゾディアはパニーの仲間の1人に指をさして、
・「そこのあなた。」
指名した。
・「はひぃ!!!!」
指名された男はブルブルと震えながら返事をした。
・「パニーさんの体を抑えておいてください。」
・「はっ!はい!はい!!!」
男は泣きながらパニーに抱きつく。
・「あれを持ってきてください。」
次にゾディアはピエロ仮面に指示を出した。
・「はい。」
そう言ってピエロ仮面は釘がたくさん刺さったバットを持ってきてゾディアに手渡した。
・「見てください、釘バットです。……昔の人は本当に残酷なことを考えますね、こんなもの作るなんて。やれやれ、全く恐ろしい。………………いいですか?そこのあなたしっかりパニーさんを抑えててくださいよ。じゃないとあなたに当たっちゃいます。」
・「ごめんごめんごめん……パニーごめんごめん……」
男は泣きながら必死にパニーにしがみつく。
・「それではパニーさん実演しますね。」
パニーの顔は苦痛で歪んでいた。
ゾディアはバットを振りかぶって、
・「せーの!!」
グシャリ!!!!!!
思いっきりパニーの頭を振り抜いた。
ズチャア……
頭は首から引きちぎれて床に転がった。
首からは噴水の様に血が吹き出る。
近くにいたゾディアとパニーの仲間達にも血が雨の様に降ってくる。
ゾディアは顔色ひとつ変えずに、
・「うん。これで取りやすくなった。」
そう言いながらパニーの首に着いていたチョーカー型のCUBEを引っ張り、自分の顔の上まで持ち上げた。
・「CUBEはですね。持ち主が死ぬと。卵の殻のように脆くなるんです。こんなふうに……」
グシャッ!!
ゾディアはパニーのCUBEを握りつぶした。
するとそこから液体が垂れてくる。
ゾディアは大きく口を開けて、
・「あーん……」
なんとその液体を飲んだのだ。
・「うん。美味しい。やっぱり上質なCUBEは違いますね。」
パニーの仲間達は体をビクビクと震わせている。
中には失禁している者もいた。
・「CUBEとは体の一部です。つまり今飲んだのはパニーさんの体液ということです。こうやって自らの体に摂取することによりCUBEエネルギーを奪うことができます。パニーさんのCUBEは上質だったので私が直接頂いちゃいました。…………さっきも言いましたがCSSはこの体液を薄めて作ったものです。そこら辺の有象無象のCUBEを抽出したものでつまらないものです。作っておいてなんですがゴミも同然ですね。」
・「さぁ、私の目的は達成しました。あなた達はどうしますか?パニーさんが目の前で殺されたんです。だったら私を殺しますか?どうぞどうぞ構いませんよ。」
そう言ってゾディアはナイフを4人の前に投げて落とした。
・「……………………………………。」
4人は震えるだけで動けない。
・「ああ、そうでした。動けないのでしたね。だったら私が動けるようにしてあげます。今から3秒数えます。私が3と言ったら動けるようになりますから。そしたら自由にしてくださいね。」
・「それではいきますね。……1……2の…………」
・「3!!」
グサッ!!
グサッ!!
グサッ!!
グサッ!!
・「あらら。」
なんと4人は動けるようになった瞬間にナイフを自らの喉に突き刺していた。
躊躇うこともなく。深く、深く。
4人は全員即死だった。
・「なんだ。1人くらいは飛びかかって来ると思ったのに、みんな自殺を選びましたか。私の「CUBE」はそんなに強くないですよ、」
・「私の「恐怖のCUBE」は。」
ゾディアは笑っていた。
べっとりと他人の血を顔につけたその笑顔はおぞましい、ただただおぞましかった。
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