25話 探偵の心得
金星区域
・「おらぁ!!」
茜がチンピラの顔面を殴りつける。
ドゴッ!
チンピラは勢い良く壁に激突する。
茜はチンピラに顔を近づけて、
・「てめぇ次見かけたらまじでぶっ殺すからな。」
脅すように威圧をした。
・「ひぇー!!!」
チンピラは目に涙を浮かべながら一目散に逃げていった。
・「おーい。そっちは終わったか?」
茜が言った。
・「ああ!!」
ゴツッ!!!
楽羅は返事をしながらチンピラに頭突きを食らわした。
チンピラは地面に這いつくばりながら気絶する。
・「ちょうど今終わったところだ。」
楽羅は気を失ったチンピラの上に座って、
・「それにしてもどうなってんだこの街は……。」
茜に聞いた。
・「ああ。かなり荒んでんな。今日だけでカツアゲ3件、拉致誘拐未遂2件。異常な数字だ。」
楽羅と茜は金星区域にCSSの捜査に来ていた。
街は閑散としていて、人が出歩いていない。街の皆は家に閉じこもっているのだ。
理由は明らかだった。CSSによる使用者の暴徒化である。それに伴い一般人までもが悪事に手を染めていた。
まさに郷に入っては郷に従えである。
これにより捜査は難航していた。
・「くそっ!どこにいんだよ!パニーってやつは!」
楽羅は変わらない状況にイライラしていた。
・「まさか一般人まで暴れてるとはな。これが法がないことの弊害だな。悪事に対して反抗ではなく加担を選ぶか……。(まるで社会実験をしてる様だな……。)」
・「茜ー。どうするよ?」
・「暗くなってきたな……。今日は一旦帰ろう。筧さんと情報共有だ。」
・「はぁ、また収穫なしか。」
・「まだ捜査を始めて2日目だ。焦るな。」
2人は捜査を切り上げた。
1時間後。
・「おかえりなさい。」
正道組の屋敷で筧が待っていた。
・「ただいまぁ〜はじめさん。」
・「どうでしたか?何か見つかりましたか?」
・「ぜっんっぜん。」
・「中心街を捜索していたが、特に目立った動きは無かったな。いるのは小悪党ばかりだ。」
茜が楽羅の代わりに詳しく説明をした。
・「そうでしたか。やはり捜査範囲が逆なのかもしれません。」
・「やはり?」
・「はい。実は街の外れの方を捜査していた私の部下が怪しい人物を発見しました。」
・「怪しい人物?」
・「はい。ピエロの仮面をつけた怪しい人物です。」
・「ははっ、なんだそのあからさまな奴は。」
楽羅が興味を持つ。
・「おそらくパニー達の変装もしくは、死屍累々の偏愛の関係者だと私は考えております。これは仮説ですが、近々取り引きが行われるかもしれません。薬、CSSも無限ではないでしょうから。」
・「ああ。その可能性は高いな。明日は街外れを優先して捜査した方が良さそうだな。」
茜が提案をする。
・「そうしましょう。今日確認できただけでも街外れには3箇所廃ビルのような建物が存在しておりました。なので明日は3班に別れてそこを張り込んでみましょう。楽羅さんと茜さんにもひとつお任せしたいと思っています。」
・「わかった。」
・「おーけー!おーけー!なんか探偵っぽくなってきたな!」
わくわくした様子を見せる楽羅に、
・「遊びじゃねーんだぞ。」
軽く注意をする。
・「わかってるっつーの。」
翌日。
朝5時。
楽羅と茜は廃ビル近くの物陰に車を隠してその中で待機していた。
・「ふぁあ……。ったく朝早すぎねぇーか?眠てぇんだけど。こんな朝っぱらから来る必要ねぇーんじゃねぇの?」
・「馬鹿か。目標と鉢合わせたらどうすんだよ。相手が動くより先に準備しないと意味ねぇだろ。」
・「はいはい。そーですねー。」
楽羅は聞き流しながら、何かゴソゴソと荷物を漁っていた。
・「茜、見ろ!じゃーん!あんぱんと牛乳だー!張り込みって言ったら、っぱこれっしょ!!!屋敷出る時にはじめさんが持たせてくれたんだ。優しいよなー、はじめさん。」
・「はん、ガキかよ。あんぱんって………。」
茜は呆れ顔で、
シュボッ!
煙草に火をつけた。
・「おい、茜!煙てぇーよ!!」
・「知るか。文句あんならお前も吸え。」
・「なんでそうなんだよっ!俺は煙草嫌いなんだよっ!」
車の中に煙草の煙がふわりと漂った。
3時間後。
・「なー、茜ー。しりとりしよーぜ。」
楽羅は既に飽きが来ていた。
・「だまれ。」
・「はぁ?別にいいーだろそんくらい。こちとら暇で暇でっ、」
・「だまれっつってんだろ。」
・「なんだとこっ、」
・「あれ見ろ。」
・「あん?」
楽羅は茜の視線の先を見る。
すると廃ビルにチンピラ達が近寄って行くのが見えた。
・「おお!!」
楽羅は身を乗り出して外を見る。
そしてなんと、
その廃ビルからチンピラ達を出迎えるようにピエロの仮面
をつけた怪しい人物が出てきた。
・「ビンゴだな。」
茜はニヤリと笑みを浮かべた。
・「あー。やっと動けるぜ!体カチコチだからあいつらシバいて運動させてもらうぜ。」
楽羅は肩を回しながら言った。
・「降りるぞ。」
2人は静かに車を降りた。
・「チンピラが5人。ピエロの仮面が3人。……楽羅、周りも警戒しとけよ。」
・「わかってる。」
2人は細心の注意を払いながら目標を追いかける。
カツ……コツ……
目標は階段を登っている。
廃ビルは元々オフィスビルだったのだろう。
階ごとに大きなフロアがいくつかある。フロアに家具などは何も無くコンクリートの打ちっぱなしがただただ広がっている。
ビルの持ち主の撤退後、立地の問題で買い手が見つからずそのまま2年ほど放置されていたのだ。
ビル内は薄暗く所々埃が被っている。
4階
目標はフロアへと入っていく。
楽羅と茜の2人は大きな柱の影に隠れる。
ギリギリ目標の声が聞こえる距離だ。
チンピラの1人が前に出た。
リーダーの様な風格。彼こそパニーである。
・「あいつがパニーみたいだな。」
楽羅が静かに言った。
・「ああ、おそらくな。だがまだ動くなよ。証拠が出るまで待つんだ。」
パニーが話し出した。
・「いやー、最高だよこれ!気持ちがいいんだよ!」
パニーが注射器を見せながら言った。
・「満足していただけたようで。」
ピエロ仮面がそう返す。
・「それで、これが最後の1本なんだよ。今日はもっと欲しくてここまで来たんだが。くれるんだろ?CSS。」
・「もちろん準備しております。」
・「だったら早くくれよ。もう薬がきれて、禁断症状でほらっ、手が震えてんだ。」
・「分かりました。ですがその前に会って頂きたいお方がおりまして。」
・「会って頂きたい?誰だ?」
すると……。
コツ……コツ……コツ…………
足音と共に男が現れた。
・「どうもこんにちは。」
男は爽やかに挨拶をした。
男は端正な顔立ちで好青年のようであった。
黒いローブに身を纏い、首からはペンダントを下げている。
ペンダントには立方体の装飾に十字架が突き刺さっていた。
そう「CUBE」である。
パニーはニヤリと笑いながら言った。
・「へー。あんたが………………」
「フィアエル・M・ゾディア」
男は不敵な笑みを浮かべている。
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