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感情CUBE  作者: 刻咲 造花
23/27

23話 作戦会議


 

・「死屍累々の偏愛ルナティック・レリジャスだと?」

茜が聞き返す。

その名を聞いて皆が険しい顔をしたのが分かる。


・「ああ。残念ながら確かな情報だ。それで、これまでの経緯とこれからの捜査については、はじめが詳しく説明してくれる。はじめ頼んだ。」

竜胆は筧に話を振った。


・「はい。では私の方からお話を。まずは経緯からですね。最近乱雑なオモチャ箱(メッシートイズ)が分裂したのは知っていますか?」

・「チグハグの所が?」

・「はいそうです。理由は我々正道組との花一匁(はないちもんめ)に負けたことによる自由度の低下みたいですね。内部ではそれを面白くないと思った者達が組織を抜けるといった選択肢を取りました。チグハグもこれをあっさりと許し、いとも簡単に組織は二分化されました。」

・「まあ、チグハグらしいっちゃらしいか。どうせ困った困ったとか言って許したんだろ。」


・「そこで抜けたのが「焦燥のCUBE」保持者で元幹部のパニーです。このパニーは組織内部でも信頼が厚かったみたいで半分近くの仲間がついて行くという形になりました。パニー達は金星区域でたむろするようになり、ここに目をつけたのが……、」

・「死屍累々の偏愛ルナティック・レリジャスってことか。」

茜が言った。


・「その通りです。奴らはパニーに近づき覚醒剤「Cube Stress Sink」(キューブ ストレス シンク) 通称「CSS」を流したのです。」

・「そのルナティックなんちゃら?はCSS?を使って何がしたいんだ?」

楽羅が筧に聞いた。

・「目的はまだ分かっておりません。」

・「これから捜査ってことか……。んでそいつらはいったい何者なんだ?」


・「はい。死屍累々の偏愛ルナティック・レリジャスは総勢400人からなる組織で宗教活動のようなことを行っているようです。この組織のトップには先導者と言われる人物が存在します。この先導者は全ての決定権を持っており、信徒はそれに基づき動きます。」

・「先導者?」


・「この先導者こそ最悪の思想を流布している張本人であり、名前を「フィアエル・M・ゾディア」と言い、その「死」という概念に魅了された姿から死惹(しじゃく)のゾディアと呼ばれています。」

 

・「なんかおっかないな。」

・「はい。ゾディアの残虐性は異常です。組織の形は宗教のような形態ですが1度入ると抜け出すことはできません。何故なら……歯向かうと殺されてしまうからです…………。これらは噂や憶測にすぎませんがおそらくその通りなのだと思います。水星区域に行った者が帰って来たということを聞いたことがありませんからね。」


ゾディアの話をすればするほどこの場の空気が重くなっていく。

そんな中で楽羅が、


・「なぁ、そのルナティックなんちゃら潰さね?」


そう軽々しく言った。


・「え?」

・「え?」

・「え?」

楽羅があまりにも簡単に言うからみんなはその発言に戸惑った。


・「いやさ、それが難しいってことも分かってる。それから竜胆さんみたいに正義感があって言ってるわけでもない。ただなぁ、そんなの楽しくないじゃん。」


・「………………。」

・「………………。」

みんなはキョトンとしていた。

そして、


・「はっはっはっはっ!!!!!」

竜胆が大笑いした。


・「楽羅ぁ!おめぇーやっぱおもしれぇやつだなぁ!!」

・「そっ、そうか?」

 

・「正直俺はビビってた。死屍累々の偏愛ルナティック・レリジャスに手を出すってことは、正道組の仲間を危険に晒すってことだから。でもよぉ、俺ら正道組は守る為の組織だっつーのを思い出した。この街の人間だけじゃねぇ、ゾディアの下にもその守るべき者がいるかもしれねぇ。だったらそいつらも助けなきゃだよな。」

竜胆の覚悟の決まった顔が輝かしかった。

 

・「俺もやるよ。」

・「茜?」

・「俺はムカつく奴がいるとぶん殴らないと気がすまねぇんだ。」

・「茜ぇ!!」

ガシッ!

竜胆が茜の肩にグッと手を回す。

・「竜胆さんっ、暑苦しいって!」


・「もちろん私も尽力させて頂きます。」

そう言って筧は話を再開させる。

 

・「それでは具体的な捜査方法を説明しますね。今回はCSSの取引場所を抑えて取引の阻止とCSSの押収が目的です。なのでまずは金星区域での捜索から行っていきます。」

・「どうしてだ?水星区域だっけ?ゾディアって奴のアジトは分かってんだろ?だったらそこを叩けば良くないか?」

・「馬鹿は黙ってろ。物事には順序ってもんがあんだよ。なんでこんな巨大な正道組という組織が今まで手を出せないでいたかを考えろ。」

・「そっ、そっか。」

楽羅は茜に怒られてシュンとした。

・「筧さん馬鹿はほっといて続けてくれ。」


・「楽羅さんの言ってることは、言わばゴールです。今回はそのゴールに向けての道筋の1歩目ということですね。」

筧はニコッと笑顔で優しく言った。

・「はい。……はじめさん……優しい……。」

楽羅は筧の優しさに目をうるうるさせながら床で膝を抱えてうずくまる。


・「それで楽羅さんには作戦で1番大事な部分に協力して頂きたいのです。」

・「おおっ!!」

楽羅が急に元気よく立ち上がる。

 

・「(筧さん……さすが副隊長だな。下を引っ張るのが上手い。もしかしてかなりやり手なのでは……。)」

茜の考えは正しかった。この大きな正道組を存続させている理由は竜胆のカリスマ性とそれを支える筧の先見の明であった。


・「楽羅さんと茜さんとで最前線に赴いて欲しいのです。」

・「なんだっ、こいつと一緒かよ……。」

・「足引っ張んなよ。」

・「お前がな!」


・「これには理由がありまして。お2人は私達正道組よりも顔が割れてないことです。…………それから、お2人の強さは花一匁の時に見させてもらいましたからね。1番の理由はこちらの方でしょうかね。信頼しています。」

・「ははーん。聞いたか?茜ぇ?」

・「調子に乗るな。」


・「そういうことだ!2人とも危険な捜査になるが頼んだぞ!!」

ガッ!

竜胆は楽羅と茜の肩を力強く掴んだ。

・「任せとけって!!」

・「やれるだけの事はやる。」


・「まぁ、心配すんな。俺らも変装して捜索はするからな。人海戦術でいこう。」


・「おーけー!おーけー!!やってやるぜ!!」

楽羅はやる気に満ちていた。

拳にぐっと力を込めて、


・「しゃあ!!!!」

気合いを入れた。



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