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感情CUBE  作者: 刻咲 造花
22/27

22話 二つの流行



楽羅が入国してから2ヶ月以上が経過していた。

ここでの生活にも慣れてきた。

が、生活には資金が欠かせない。

楽羅の主な収入源は、竜胆率いる正道組の治安維持の為の手伝い。

と、それからもうひとつ。


狩りである。


この国では、今ジビエ料理が人気を得ていた。

これが結構良い稼ぎになるのだ。

楽羅にとっては一石二鳥であった。

身体の鍛錬とお金稼ぎが同時にできるからである。




火星区域


・「零、 今日はどっちが大物を狩れるか勝負だ。獲物はなんでもいい。鳥でも猪でも熊でもな。」

・「大物?基準は?」

・「そらぁ、でかさよ!!!とにかくでかい獲物を捕まえた方が勝利だ!」

・「わかったよ。」

・「じゃあ早速スタートだ。よーい、ドン!!」

楽羅はその掛け声共に走り出した。



・「(ふっふっふっ……狩りじゃ負けられねぇな!この山はもう知り尽くしてんだ!)」

楽羅は山の中を見渡し、

・「(おっ早速……。)」

猪を発見した。


・「(だが、あいつはまだ子供だ。子供がいるってことは……ほらっ!!)」

少し離れたところに大きな親猪を見つけた。

その猪は牙も発達しており見るからに獰猛(どうもう)そうだ。


楽羅は静かに近寄り、

・「(今だっ!)」

サッ!

猪に飛び乗った。


フンガッ!!!!

猪は驚きと同時に暴れる。


・「このっ、暴れんじゃねぇ!」

楽羅は妙に発達した牙を猪の背中に乗ったまま掴む。

フンッ!!

猪はそのまま走り出した。

楽羅は必死に掴まる。


すると、

バッ!!


興奮した猪は崖から飛び降りた。

崖の下には大きな岩が。


ヒュー……

落ちる猪とその背中に乗る楽羅。

牙をグッと引っ張る。

空中でバランスを崩した猪は頭を下にしながら落下。


そして、

・「ここだ!! 拍衝(クラップ)!」


ガンッ!!!!


楽羅は大きな岩に猪の鼻先を思いっきりぶつけた。

フガッ……

猪は脳震盪を起こして気絶。

この時、拍衝(クラップ)により岩との激突に加えて脳の揺れに拍車をかけていた。

それだけではなかった。楽羅は自分に来る衝撃も同時に拍衝(クラップ)で緩和させていた。


・「ふぅ。ゲット!ゲット!コイツはデケェぞ!!」

楽羅は嬉しそうに額の汗を手で拭った。


楽羅は猪の脚にロープを括り付けて木に吊るす。

・「せーの!!うお!重っ!!!」

 

グサッ!

更に、猪の首元にナイフを刺した。

ダラダラッ!!!

猪の首元から一気に血が流れ出る。

・「血抜き血抜き。獲物は鮮度が1番。」


 

しばらくして。

 

・「よし。そろそろ行くか。」

血抜きを終えた猪をロープを肩にかけるような形で担いだ。

・「おっらあ!!!!!」

ズンッ……

猪の重さが伝わってくる。

・「ははっ!これは200kgは軽く超えてるな!勝ったな!!」

楽羅は勝ち誇った顔で歩きだした。


 

 

楽羅と零が別れてから1時間以上が経過していた。

・「どこにいるんだあいつ?そもそも獲物は捕まえられたのか?」

楽羅は零を探す。

すると、

・「(おっ、いた。)」

丘のような所に座った零を発見した。


・「おーい!!零!!!」

楽羅は猪を担ぎながら零に近づく。


・「あっ、楽羅。」

・「あっ、じゃねえよ。お前獲物は?勝負だぞ。こんなところで休憩してんじゃねえーよ。」

・「獲物なら捕まえたよ。」

・「はっ?」

・「ほら。」


次の瞬間楽羅はその光景に驚愕した。

零が座ってい丘がノソノソと動き出したのだ。

・「はぁあああ?!!!!!」


それは丘なんかではなく、

ヘラジカ。

大きな大きなヘラジカだったのだ。


ヘラジカは生きておりゆっくり頭を上げた。

丘と思っていたのは体で、太い木の枝だと思っていたのは角であった。

今まではただ眠っていただけのようである。

そして零の顔に頭を優しく近づけてきた。

まるで懐いているようであった。

零はヘラジカの頭を撫でる。


・「おいおいおいおいおいおい…………」

ヘラジカが立ち上がり、楽羅はその影に覆われた。

あまりのデカさに空いた口が塞がらなかった。


立った姿は更に凄かった。

重さ800kgは余裕で越えているだろう。それが見てわかった。


・「はぁ、今日は俺の完敗だ。」

楽羅は驚き過ぎて悔しさを微塵も感じなかった。

・「そうみたいだね。でも楽羅の猪もすごく大きいね。」

・「お前、それ嫌味か?」

・「ん?」

零は顔を傾げる。

・「まぁ、いい。それよりソイツどうやって連れてくんだ?」

・「一緒に山を降りるよ。」

・「一緒にってそんなこと出来んのかよ。いったいどういうことだ?懐いてんのか?」

・「大丈夫。おとなしいから。」

・「そういう問題なのか……。ってかソイツ食うんだよな?」

・「そうだけど……。そのために狩りしたんじゃないの?」

・「いや……。なんつーか、可哀想に思ったりしないのかなって。」

・「しないよ。」

零は真顔でそう言った。

・「まぁ、零が良いなら良いけど。」

・「うん。じゃあ山降りよっか。」

・「ああ。(うーん。コイツのこと分かってきたと思ってたけどやっぱり分からんな…………。)」


2人は山を降りた。

・「じゃあ僕はこっちの売り場だから。」

・「ああ。じゃあまたな。」

2人は獲物を卸す場所が違った。楽羅は木星区域で零は火星区域だった。


・「あっそうだ。」

楽羅が零を引き止める。

・「ん?」

零が振り返る。


・「零。これから俺、野暮用でちょっと忙しくなんだ。」

・「そうなんだ。」

・「だからいっときの間遊べなくなるわ。」

・「そっか。わかったよ。」

零は表情を変えずにそう答えた。


・「それだけだ。」

・「うん。」

・「また遊ぼうな。」

・「うん。」

・「じゃあ。」

・「じゃあね。」


2人は振り返り各々の帰り道を行く。

楽羅は少し寂しかった。淡白な零の反応。でもそれはいつも通りのことだった。

また。

またいつでも会える。

またいつでも遊べる。

楽羅はそう考えながら歩いた…………。




その日の夜。

楽羅は正道組の屋敷に呼ばれていた。

理由はとある事件の調査についてである。まだ内容は知らせられてはいないが、長期間の捜査になりそうとのことである。

 

楽羅が部屋の襖を開ける。

そこには、正道組隊長 竜胆、副隊長 (かけい)、竜胆の妻 桜 それから茜と小春がもうすでに集まっていた。


・「おっ、来たか。」

竜胆が楽羅を迎える。

・「遅かったじゃねーか。」

茜が言った。

・「今日は大物だったんだよ。何かと大変なんだ。」

楽羅が答える。


 

・「疲れてるとこすまねぇーな。ちょっとめんどーなことになってな。」

竜胆がさっそく本題に入る。

・「めんどーなこと?」

・「ああ、そうだ。今この国で流行ってるものがあるんだが何かわかるか?」


・「宝石でしょうか?」

小春がそう答えた。

・「宝石?」

楽羅が首を傾げる。

・「今流行の最先端よ。この国では質の良い宝石が出回っていて凄く人気なの。それもなんとこの国で発見されたもので、その中でも最も高価で希少なものが「ブラックダイヤモンド」なの。」

・「ブラックダイヤモンド?」

・「そう。美しい黒い輝きを放つのが特徴なの。その見た目からブラックホールと呼ぶ人もいるわ。まるで全ての光を飲み込んでるようだってね。」

・「ふーん。そんなもんが流行ってんだ。俺はてっきりジビエかと思ったぜ。」

・「ふーんって、この宝石を発見したの誰か知らないの?」

・「知らねぇけど。誰だ?」


・「麗華ちゃんよ。」


・「麗華?ああ、あのクソガキか。」

・「もお、ホント世間知らずなんだから。貴宝院 麗華 って今じゃ有名人よ。」

・「そうなんだ。俺あんま宝石とか興味ねぇからな。まー、あいつも頑張ってんだな。」


その話に竜胆が入ってくる。

・「確かにな。小春ちゃんの言う通り宝石は大流行だ。だがそれは表で、の話だ。今回話したいのは裏で密かに流行ってしまっているものについてだ。」

・「裏で?」

楽羅も小春も分からないようだった。


・「薬か。」

茜が答えた。

・「そうだ。茜は知っていたんだな。」

・「色々調べていたらな。」


・「薬?」

楽羅が聞いた。


 

・「ああ、薬。……覚醒剤だ。」


 

・「覚醒剤………………。」

楽羅と小春は驚いている様子だ。


・「それもこれがただの覚醒剤じゃないんだ。成分はわからん。ただ分かっていることはCUBEエネルギーが含まれているということだ。」

・「CUBEエネルギーが!」


・「厄介なことにこれを一般人に投与すると、一般人がCUBEに似た力を得ることができるらしいんだ。」

・「そんなことが……。」

・「だが所詮はまがいもん、CUBE本来の力を使うことまでは出来ないようだ。それに副作用もかなり危険だと聞く。俺はこれを止めたい。」

・「竜胆さん、もちろん俺も協力するぜ。」

楽羅が言った。


・「ありがとう。頼もしいよ。……噂を聞いて正道組で既に捜査を行っているんだが。………………ここから先はかなり危険になるだろう。」

・「危険?」

・「ああ。その薬を流してる奴らは、情報筋から言うとおそらく、いや十中八九…………、」

竜胆は険しい顔をしながら、



・「死屍累々の偏愛ルナティック・レリジャスだ。」

 


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