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感情CUBE  作者: 刻咲 造花
20/27

20話 花いちもんめ



楽羅が国に来てから1週間が経っていた。

海王星区域

 

・「おらぁ!!残党狩りじゃあボケぇ!!!!!」


楽羅がチンピラ達を殴りつける。

チンピラ達は負けじ3人で飛びかかる。


・「ははははははははははっ!!!!」

楽羅は揉みくちゃになりながらも笑っていた。

チンピラ達をぶん投げる。


・「あんな新参者に負けられっかよ!!!」

・「いけいけいけ!!」

・「根性見せろよー!!!」

チンピラ達は5人一気に楽羅に飛びかかった。


・「重拍衝(フォルテ クラップ)


パァアアン!!!!!!


・「うわぁ!!!」

・「ぐっ、」

・「くっそ!!」

凄い音と衝撃波と共にチンピラ達は四方八方に飛ばされた。


・「おらぁ!!!!俺の勝ちだぁ!!!!!」

楽羅は拳を天に突き出しながら雄叫びをあげた。



ドゴンッ!!

バコンッ!!!

ズドンッ!!!!

遠くから凄い音が聞こえてくる。


・「噛みごたえねぇなぁ!!!!ほらもっと来いよぉお!!!!」

声の正体は茜だった。



・「もう2人とも柄が悪いんだから。勘解由くんにいたっては絶対楽しんでるしあれ。」

小春は遠くから2人のことを眺めていた。

そこの横にいた竜胆が、

・「はっはっはっ!!!本当にあの2人は威勢がいいな!!活力ある男共は見てて気持ちのいいもんだな。」


楽羅と茜は竜胆率いる正道組の手伝いをしていた。

内容は 乱雑なオモチャ箱(メッシートイズ) の残党との決闘である。



価値観交換。

通称、


花一匁(はないちもんめ)


この国では金よりも重宝されている取り引き方法である。

価値観と価値観がぶつかりあった時、当事者同士でルールを決めて対戦を行なう。対戦に勝利したものが相手の価値観を奪うというものである。つまり奪われた者は主張を取り下げなければならない。

感情の箱庭エモーショナル・ボックスでは、法律が無いに等しいのでこの取り引き方法が浸透したのであった。


今回の花一匁は 乱雑なオモチャ箱(メッシートイズ) 側からのチグハグの解放の要求が発端である。

正道組はこの要求を飲むかわりに相手を花一匁の場へと引きずり込んだのだ。

取り引きの内容は、今後一切木星区域と土星区域での迷惑行為を禁じるというものである。

何故正道組がこんな回りくどいことをするかというと、それは相手の更生が目的だからだ。実際のところ悪事を働いた者をずっと牢屋に閉じ込めておくのは資金面や労力面で難しいことなのだった。


 

花一匁 対戦内容「喧嘩祭り」

ルールはシンプル、海王星区域内で 乱雑なオモチャ箱(メッシートイズ) 168人と 正道組 168人が殴り合う。

相手を戦闘不能にし全滅させた方が勝利。この時相手を殺してはならない。


海王星区域では昼夜絶えずに男達の怒号が響き渡っていた。

荒々しい喧嘩は文字通り祭りのようであった。

 

そして決着はついた。


・「おら、出ろチグハグ。」

竜胆はチグハグを牢屋から出した。


・「もう悪さすんじゃねぇーぞ。」

喧嘩祭りの勝者は正道組であった。


・「んもぉー。負けちゃったかー。」

チグハグはノソノソと扉から出る。

・「ボスー!!!」

・「ボス!!!」

外では 乱雑なオモチャ箱(メッシートイズ) の仲間たちが待っていた。



・「おいチグハグ!!」

楽羅が声をかける。

・「ん〜?君っち誰だっけ?」


・「てめぇー!!!楽羅だ!覚えとけこの野郎!!」

・「……だってお前弱いじゃん。」

・「あんだっこのっ、ってやっぱり覚えてんじゃねぇか!!!舐めてんなぁ?絶対舐めてるよなぁ!!殺す!!絶対殺すからな!!負けたままじゃっ、」

・「楽羅落ち着け。」

竜胆が今にも飛びかかりそうな楽羅の服を引っ張って止めた。

・「小春ちゃん頼む。」

・「はーい。勘解由くん行くよー。」

小春は楽羅の背中を押しながらその場から去っていく。

・「チグハグ!俺は弱くねぇ!さっきの喧嘩でおめぇの仲間100人はぶっ飛ばしたんからなー!!!!」

・「はいはい。勘解由くんは強いよー。」

・「次会った時はっ………ボコボコっ……………」

楽羅の声がだんだんと遠くなっていく。



・「チグハグお前は外に出るが花一匁で決まった事だ。」

・「すなわち、分かってるってー。」

竜胆はチグハグに釘を刺した。


・「みんな行くよー。」

チグハグは頭の後ろで手を組んで歩き出した。

・「ボスおかえりなさい!!」

仲間達は嬉しそうにしながら先を歩く。


チグハグは茜の横でピタッと止まった。

・「君でしょ?シャタードやったの。」

・「あ?だったらなんだ?」

茜はチグハグを睨みつける。


・「シャタードといると疲れるよね。はははっ。」

チグハグは笑いながら言った。

・「何が言いてぇ?」

・「いや別に。でもね、あんなんでも結構良い奴なんだよー。」

・「ちっ、」

茜はイライラをあらわにしながら舌打ちをする。

そして、

・「君は悪くないよ。」

チグハグはそう一言だけ言って去っていった。


・「くそっ!(どいつもこいつも……)」

いっそ罵ってくれた方が楽だったのかもしれない。

茜は心の中でそう思っていた。




4大勢力のひとつが陥落。

花一匁の後、 乱雑なオモチャ箱(メッシートイズ) は二分化することとなる。

ボスについていく者、おとなしくなった組織に嫌気がさす者。チグハグは後者が去って行くのを黙って見過ごしていた。

 

街に平和が訪れる。

皆はそう思っていた。

だが均衡が崩れた今あちらこちらで不穏な空気が漂っていた。

必要悪。

乱雑なオモチャ箱(メッシートイズ) の存在は、意図せぬ形で悪意を抑制していたのだった。

そしてその悪意が動き出すこととなる…………………。




5日後。

楽羅と茜と小春の3人は花一匁後、竜胆達と別れて再び情報収集を行うことにした。

 


夕暮れ時。

 

楽羅には日課があった。

チグハグに敗れてからCUBEエネルギーの扱いを研究するようになったのだ。

バシャッ!バシャッ!バシャッ!


海の水の上を走る楽羅。

拍衝(クラップ)の応用だった。

水面と足が当たった瞬間に微量の衝撃波で水面を弾く。これを繰り返すことにより、水面走りを成功させていた。


ザブーン……

・「おっとっ、」

楽羅は波に足をつまづかせ転ぶ。

バチャンッ!

体は海の中へと沈んでいく。


プカー……

楽羅は顔だけ水面から出してプカプカと浮かんだ。

・「ははっ!これおもれぇー!……でも制御むじーなー。CUBE、まだまだ色々遊べそうだな。……ん?」


楽羅は波打ち際に人影を見つける。

バチャッ、バチャッ、

楽羅は浅瀬を歩いて興味本位で近づいてみた。


そこには黒いコートを着た髪の長い男が立っていた。

男は無表情で海を眺めている。


・「何してんだ?」

楽羅は男に話しかけた。


・「ん?」

男が振り向く。

キラッ……

すると夕日に照らされた男のピアスが光を反射させて光った。


・「(こいつ、CUBE持ちか?)」

楽羅はそのピアスにCUBEが付いてることに気づく。


男は答えた。

・「夕日を眺めてるんだ。」


・「ふーん。楽しいか?」

・「分からない。」

・「分からない?」

・「僕は楽しいとかそういった感情が分からないんだ。ただ夕日を見てるのは嫌な気分はしないかな。」

・「……それはそうだろ。普通、景色が綺麗だからとか好きだからとかじゃねぇのか?」

・「普通ってなんだろうね?好きってなんだろうね?」

・「………………変な奴。お前名前は?」


・「僕は(れい)。」


・「零か。俺は楽羅だ。」

・「楽羅…………。」

・「お前の耳の。それっピアス、CUBEだろ?」

・「そうだよ。君と同じだね。」

・「(何だ、気づいてたのかよ。)…………。」


・「楽羅。君はここで何を?」

・「俺?俺はちょっと遊んでただけだ。……ん?ってかここどこだ?」

楽羅は辺りを見渡すと知らない景色だということに気がついた。

・「ここは火星区域だよ。」

・「火星区域?(CUBEに夢中になってたらそんな所まで来てたのか……。)」


・「ここに来るのは初めて?」

・「ああ。この国にもまだ来たばっかなんだ。」

・「そっか。……さっき、遊んでたって。それって楽しい?」

・「ん?まぁまぁおもれぇかな。」

・「そっか。」

・「…………お前は何だかつまんなそーだな。」

・「つまんなそう?」

・「ああ。表情ひとつ変えずつまんなそうだ。」

・「だったらそうなのかも。」

・「そうなのかもって、……お前いつもここに居んの?」

・「たまにかな。」

・「なら明日も来いよ。」

・「明日?」

・「俺も明日来るから。そしたら遊んでやるよ。」

・「遊ぶ?何して?」

・「ははっ!それはその時のノリと勢いよ!遊びは無限大だし楽しいも無限大だ。」

・「楽しい……。」

・「どうせまた楽しいが分からないって言うんだろ?だから俺がお前に楽しいを教えてやるよ。」

・「………………うん。」


・「じゃあ、俺はもう行くわ。明日絶対来いよ!」

楽羅は振り返り去っていく。

その背中を零は見つめる。


何故だろう?楽羅は零に興味を惹かれていた。

楽羅は楽しいことが好きだった。自分が楽しければそれで良かった。

でも初めて、初めて楽しいを共有したいと。そう思ったのだった。


きらきら輝く海。

沈む夕日が2人の姿を真っ赤に染める。



読んで頂きありがとうございます!!

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これからも作品をよろしくお願いいたします!!

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