16話 逃がさないよ
チグハグとその仲間を包囲する男達。男達は制服なのか皆同じ格好をしている。
その場は緊迫した空気に包まれていた。
・「おい!誰かこのあんちゃんを手当してやれ!」
助けてくれた男が部下に向かって言った。
・「うぅ、……いい。俺はまだやれ……る。」
楽羅は苦しそうに声を絞り出す。
・「おぉ、凄い根性だな。だが無理すんな、刺されてんだから。……俺はあいつを、チグハグをずっと追っていたんだ。今日こそあいつを捕まえる。悪いなあんちゃん、俺にも因縁があんだ。」
・「ねぇ!! 正道組 がいったいなんの用なのさ!ねぇ! 竜胆 蘭丸 さん!!!」
チグハグが言った。
竜胆蘭丸。楽羅を助けてくれた男の名だ。
・「なんの用だぁ?ここで会ったが百年目ぇ!!!おめぇを捕まえに来たんだよ!!」
竜胆は男らしい声で叫んだ。
・「じゃあ、次は千年目にでも会いにきてよ。……だから、みんなー逃げるよー!!」
・「OK!ボス!」
チグハグの言葉に仲間達が返事をする。
・「いつものパターンいくよー。」
チグハグ達は何かゴソゴソと動き始めた。
・「はははっ!!今日は逃がさねぇってつってんだろ!おめぇらやれ!!!!」
・「はいよっ!隊長!!!囲め!!!」
竜胆の合図と共に部下がチグハグ達を囲む。
シュルルルルッ!!!
そしてチグハグ達に向かって分銅鎖を投げつける。
ガッ!!ガッ!ガッ!……
・「くっそ!!!」
・「なんだこれ!!」
スッ……
・「おっと、」
チグハグはそれをかわすが、仲間達は避けることが出来なかった。
鎖は足首に巻きついている。
・「2人でいけよ!!せーのぉ!!!!」
部下が2人ずつで思いっきり鎖を引っ張る。
・「うわぁ!!!」
するとチグハグの仲間達は四方八方に引き寄せられた。
・「殺しはするな!!!」
グサッ!!グサッ!!グサッ!!…………
・「ぐぅあ!!!」
・「痛ってぇ!!」
・「ちきしょ、」
部下達は引っ張った相手の足を刀で刺した。
そして瞬時に鎖で拘束をする。
・「くそっ!!」
・「離せよ!!」
チグハグ以外はあっという間に捕まってしまった。
・「あらら、これってまずいかなー。」
チグハグは周りを見渡す。
・「ボス!俺らのことはいいんで逃げてください!!」
・「だから逃がさねぇって言ってるだろ。」
竜胆が刀を構える。
・「だって。やるしかないかぁー。」
・「おめぇら、手出すなよ。おめぇらじゃ歯が立たねぇからよ。」
・「承知!!!」
竜胆の指示に部下が返事をする。
・「おらぁあ!」
竜胆が刀を振り下ろす。
ガキンッ!!
チグハグがそれをナイフで受け流しながら、反撃の蹴りを入れる。
ドッ!
竜胆は膝を上げてそれを防ぐ。
続けて刀の刃を自らの方に向けながら柄の頭の部分で相手のみぞおちを突いた。
ここまで流れるような洗練された動きだ。
・「うっ、」
チグハグは一瞬息が詰まりよろけた。
竜胆はそれを見逃さなかった。
首を狙い刀で大きく横払い。
ザッ!!!
間一髪だった。
チグハグは上半身を反らせてそれをかわしていた。
そしてそのままバク転をしながら後ろへと下がる。
竜胆は追いかける。
刀を振り上げ飛びかかった。
シュッ!!!
滞空中に何かが飛んでくる。
それはチグハグがバク転をしながら飛ばしたナイフだった。
サッ……
ツー。
竜胆は咄嗟に顔を横にずらしてナイフをかわした。ナイフは頬を掠め後ろへと飛んでいく。頬からは血が垂れる。
好機だった。
・「追い詰めたぜ!」
竜胆は武器をなくしたチグハグにそのまま斬りかかった。
パキンッ!!!!
だが……
折れた刃が飛んでいく。
竜胆の持っていた刀の刀身は真っ二つになり無くなっていた。
そしてチグハグの手には大きなハンマーが。
チグハグは相手から逃げる振りをしてハンマーを取りにいっていたのだ。
・「えへへ。残念だったね。」
・「やるじゃねぇか。」
・「お返しだよ!!」
ガツンッ!!
チグハグはハンマーの柄の部分を使い竜胆の太腿を勢いよく突いた。
・「くっ、」
ドサッ!
ハンマーの重みも加わったこともあり竜胆は片膝を地面につけてしまう。
・「逃がさないよー。」
チグハグは大きくハンマーを振り上げ、躊躇いもなく振り下ろした。
ゴッ!!!!!!!
鈍い音が響く。
チグハグはハンマーで思いっきり竜胆の頭を殴った。
・「隊長っ!!!!!!」
部下の心配する声。
・「あはっ、流石に死んじゃった?……って、あれ?」
チグハグはすぐに様子がおかしい事に気づく。
手加減なんかせずに殴ったはずなのに、目の前の相手が倒れないのだ。
・「不屈功徳」
膝を突いたまま顔を上げる竜胆。
頭からは血を流していたがその表情は笑っていた。
・「効かねぇなぁ。」
・「へー。それが噂の「正義のCUBE」の力かぁ。」
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